ミヤコタナゴ

掲載日:2017年8月1日

ミヤコタナゴ Tanakia tanago  

レッドリスト 県カテゴリ : 野生絶滅(飼育・栽培下でのみ存続している種) 国カテゴリ : 絶滅危惧1A類

コイ目 コイ科

ミヤコタナゴ

分布 明治時代の後半、東京市小石川(現在の東京都文京区)の東京帝国大学付属植物園の池で発見され、新種として記載されました。
日本固有で、分布は関東地方に限られています。
関東地方に広く分布していましたが、都市化に伴う生息地の環境破壊によって激減してしまい、現在の在の自然生息地は、千葉県と栃木県のごく限られた水域だけになってしまいました。
形態 体長5から6cmで、雄の方が大きくなる。婚姻色は、雄の尻びれの先が黒くなるのが特徴で、吻部に追い星が出ます。
ヒゲは2本で長い。側線は不完全
生態 雑食性の小魚で、春にドブガイやマツカサガイ等の淡水産二枚貝の鰓の中に卵を産みつけます。
卵は5日程でふ化しますが、ふ化後約20日間(水温20℃)は貝をゆりかごとして過ごします。
貝から泳ぎ出した稚魚は、プランクトン等を食べて成長し1年間で成熟します。
自然水域での寿命は約2年ですが、飼育していると3から5年生存する個体も少なくありません。全長7cm程度に成長します。
産卵前にになると 雌は産卵管が伸びてきます
備考

1974年、文化財保護法(文化庁)により国の天然記念物に指定されました。1994年には種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、環境庁)により国内希少野生動植物種に指定され、この2つの法律により捕獲や譲渡、生息地の改変などが厳しく制限されています。
神奈川県では、横浜市の権田池を最後に自然水域から姿を消してしまいました。しかし、その生残個体から県淡水魚増殖試験場(現内水面試験場)が増殖に成功し、遺伝子保存のための継代飼育を行っています。試験場では次のステップとして、本種を自然水域へ戻し生息地を復元するための研究をしています。

メス 雄のミヤコタナゴ
産卵管を伸ばした雌成魚 婚姻色のでたミヤコタナゴ

ミヤコタナゴ ふ化観察記録

神奈川県

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