ほぼ日刊イトイ新聞

2020-07-11

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・京都にいます。
 岩田さんの命日に合わせて、お墓参りに来ました。
 ホテルに 宮本さんがクルマで迎えに来てくれて、
 豪雨のなかをお寺に向かいました。
 思えば、三回忌のときにも宮本さんを運転手にして、
 法事の行われたお寺から駅に送ってもらったっけ。
 かつて東京で、いっしょの仕事をしていたときには、
 ぼくの運転で宮本さんや岩田さんを、
 駅やホテルに送ったものだったな。
 こんなことを、30年以上もくり返しているわけだ。

 お寺の駐車場でしばらく雨が小降りになるのを待って、
 「もう大丈夫だね」とお墓の前に立ったときには、
 すっかり晴れてお線香も雨で消えずに、
 ゆったりと煙を立ちのぼらせていました。
 お花を供えて、しばらくお墓の前にいました。
 自撮りの設定にして、墓碑を真ん中に、
 宮本さんとぼくと岩田さんのお墓とで写真を撮りました。
 ずいぶん老けてはいるけれど高校生のような気分でした。

 それから、積もる話もいろいろあるし、
 雨もすっかり止んで、いくつかの場所に立寄って、
 岩田さんも大好きだったお店で食事をしました。
 ぼくも、宮本さんも、岩田さんもお酒を飲まないので、
 ノンアルコールのビールとかお茶とかです。
 京都の家によく岩田さんが遊びに来ると、
 お酒もなしに何時間でもしゃべっていたのですが、
 この日も、宮本さんとそれをしました。
 そろそろ切りあげようと店を出て、
 ホテルまで送ってもらって、
 別れたときには、6時間も経っていました。
 帰りのクルマで『愛の不時着』の話題になりましたが、
 そのあたりの話はまたの機会にね、と。

 なんだろう、岩田さんは、そこにいました。
 ぼくのふだんの暮らしのなかにも、
 宮本さんの日々のなかにも、
 あきらかに岩田さんがいます。
 昔は、そんな言い方をひとつの比喩だと思ってましたが、
 ほんとにいるんですよ、亡くなった人なんだけど。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
この日京都に来られてよかったなぁと、しみじみ思います。


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