お互いに個性を認め合い、助け合って生きて行く

共生舎の理念というのは、ここに書いてあるような内容ですね。

特定非営利活動法人 共生舎の理念

公的制度によらずそれぞれの立場の人が、
お互いに個性を認め合い、助け合って生きて行く。

石井:亡くなられた山本利昭さんがお作りになった理念です。僕たちはその理念に則って運営をしています。だから、ここに来たいというニートの人はむげには拒否しません。ただ、やはり都会とは勝手が違いますし、我々、元からのメンバーたちと、合う・合わないはあると思いますので、「まず、見に来てください」とお伝えしています。この理念以外のルールは、食費や光熱費などの拠出のほかは特にありません。

畑を耕す共生舎の住人。(写真提供:石井新/共生舎)

そのルールについては、石井さんのブログにも記述がありますね。

【必要なもの】

食費:1日500円。買い物した時にいるなら、割り勘でもOK。

光熱費:初日1000円、2~30日目は500円。31日目~ は300円。

「ニートではない」と言われてしまうかも

石井:それは実は短期滞在の「お客さん」用で、実際に長くここに住んでいる人はもう少し安くなります。ここにいる僕ら住人は皆、全部ひっくるめて月2万~3万円くらいで暮らしています。住居費はかからないですしね。収入は地域の人たちから依頼される農作業などの短期アルバイトや、ブログのアフィリエイトなどから得ています。僕の場合、ネットから得られる収入が月数千円。わずか数千円ですが、分母が2万~3万円ですから、結構大きな割合です(笑)。

ニートだけれど、最低限には働くのですね。

石井:僕たちは、最低限は働いてわずかな収入があるため、厳密には「ニート」(NEET=Not in Employment, Education or Training=仕事も通学も求職もしていない人)という言葉の定義に当てはまらないのかもしれません。定義に厳密な「ニート原理主義」とでも呼べるような人達からすれば、一切働かず収入がないのが「ニート」であって、僕らは「ニートではない」と言われてしまうのかも(笑)。でも、ほかにうまく言い表す言葉がありませんので、僕たちは自分たちを便宜的に「ニート」と呼んでいます。現代社会とうまく折り合いをつけられずに、山奥に居場所を見出した「山奥ニート」ですね。

人が増えれば、できることも増える

現在は、10代から30代の合計15人の住人がいると聞きました。

石井:はい。ニコニコ生放送やブログで一緒に住む人を募集していたら、仲間を少しずつ増やすことができました。とくに増えたのは、おととしから昨年くらい。本日について言えば、住人の15人に加えて、2人の短期滞在のお客さんがいます。人数はもっと増えればいいと思いますね。

 人が増えれば、おのずとできることも増えていきます。そして、何よりここの生活は実際、とても楽しいんですから。多くの人とこの楽しさをシェアしたいと思っています。この校舎跡に住める人は限られますが、周囲には空き家も多いので、追加で借りることができれば住人を増やす余地はまだあります。

本やマンガの多くは共生舎の住人の間でシェアしている。
共生舎の住人は皆、居心地がよさそうだ。ゲームに興じる者もいれば、本を読む者もいる。

一緒に生活するのは難しい、変な人が来たりすることはないのですか。

石井さんが寝起きしている、同じ敷地内にある家。廃屋化していたが、改造して住んでいる。

石井:今のところはないですね。しばらくここで暮らした後、山を下りて「下界」に戻って行く人はいますが。とくに大きなトラブルはありません。

 ただ、アルバイトの仕事が立て込んで来たりすると、やはりニートは精神的余裕を失いがちな傾向があるため、少々のもめごとがあったりはします。でも、もめごとがあるのは共同生活を営む以上、自然なことですよね。

 僕らはイベントや遊びが好きで、皆で熱く盛り上がることも多いのですが、基本的に「人は人、自分は自分」と思っているところがあり、必要以上に深くは関わらないのも、トラブルがあまり起きない理由かもしれません。とりわけ、ヒマで精神的余裕がある時はトラブルは起きませんね。