新型コロナ治療薬としての治験が進む富士フイルム富山化学の「アビガン」
藤田医科大学は10日、新型コロナウイルス感染症に対して新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の効果を検証した結果について「有効性は確認できなかった」と発表した。アビガンは富士フイルム富山化学が臨床試験(治験)も進めており、新型コロナの治療薬として承認を申請するかどうか改めて判断する。
藤田医科大の特定臨床研究は無症状や軽症の患者が対象。アビガンを飲まなかった患者33人に比べて飲んだ患者36人のウイルスが消えやすいかどうかなどを評価した。ウイルスの消失や減少、解熱が早まる傾向はあったが、有意差はなかったと結論づけた。重篤な副作用はなかった。
土井洋平教授は記者会見で「患者数が少ないため有効性の有無は確認できなかった」と指摘。「200人程度が参加すれば有意差が得られたかもしれない。ただ日本の流行状況では患者数を増やすのが難しい」と述べ、臨床研究は終了する。
アビガンの効果検証を巡っては富士フイルムによる治験も並行して進む。富士フイルムの治験では肺炎がある中等症の患者などが対象で投与しなかった患者に比べて症状などが改善するかどうかを調べる。4月に投与を開始し、6月末に終了予定だったが新規感染者が減ったことなどで遅れている。