北海道初のクラスターの1人で、北海道内「74例目」と呼ばれた奥村光正さん。発熱から4日後も経過観察を指示され、入院できた時には重い肺炎を引き起こしていました。最悪の事態も頭をよぎった入院生活。再び感染が広がる今、訴えることとは。
全文を読む
新型コロナウイルスに感染した奥村光正さん。北海道内「74例目」と呼ばれました。電器店を営む奥村さんは、2月、家電の新製品が並ぶ展示会に参加。混雑する会場でも、マスクをする人はほとんどいなかったと言います。奥村さん「がやがや、ざわざわ。居酒屋の混んでいる時あるでしょ。あれと同じ」後に展示会の参加者11人が感染。北海道で初のクラスターが発生しました。北海道保健福祉部「クラスターが形成された可能性がある」奥村さんは展示会から1週間がたった夜、37度8分の熱にうなされました。奥村さん「熱下がるともひどい苦しくて、熱上がってくると苦しくて、解熱剤飲むとまた苦しくて」発熱から4日後、相談センターに電話しますが、指示されたのは自宅での経過観察でした。奥村さん「何で検査、検査してもらえば。6人くらい出てるって言ったしょあの展示会で」帰国者・接触者相談センター「そうか。展示会にいたんですか?」奥村さん「展示会に参加してるんだもの」帰国者・接触者相談センター「何日と何日に行ってたんですか?」奥村さん「14日、15日に行ってるって何回も言ってるしょ!」帰国者・接触者相談センター「あっそうなんですか。ごめんなさいね、人が変わっているので。それも含めて中で今検討することになっているので、ちょっと時間待ってもらってもいいですか」病院に入院出来たのは、発熱から1週間がたった2月29日。新型コロナウイルス感染症と診断。すでに重い肺炎を引き起こしていました。奥村さん「横になると圧迫感っていうのかな。とにかく苦しくて目が覚めるの。何回も目が覚める、苦しくて。もう人工呼吸器つける寸前だったから。(入院中)1日が長い。とにかく眠れない。本当にシャットアウトですから」隔離されたまま、1人で食べる食事。食器は使い捨てです。“最悪の事態”も頭をよぎりました。奥村さん「これから仕事しなきゃな」退院後、医師から許可をもらい奥村さんは再び仕事を始めました。日常を少しずつ取り戻すために…。奥村さん「行ってきます」奥村さん「動いてないと不安になっちゃうんだわ」街の人は“元患者”である自分を受け入れてくれるのだろうか?感染の経験を役立ててもらおうとチラシを作りました。奥村さん「入院してたの」街の人「あら大変だったね」奥村さん「これご挨拶の仕事始めたっていうご挨拶のチラシです。またひとつよろしくお願いします」地域の電器店として少しずつ仕事の依頼が戻り始めています。奥村さん「いただきます」妻・裕子さん「いただきます」奥村さん「家のご飯が1番おいしいですよね」妻・裕子さん「無事帰ってきてくれて良かった。一時はどうなるのかなあと思って心配してたから」再び忍び寄る感染の波。苦しんだからこそ、警鐘を鳴らします。奥村さん「ここが発生の元なんて信じられない。密閉、密接、密集ですか。その3つが重なっているところには絶対行っちゃならない。74例目だったのかもしれないけれども、奥村光正個人として言いたいですよね」※札幌テレビで制作したものをリメイク。2020年6月放送、NNNドキュメント「74例目と呼ばれて~新型コロナ“3密”原点からの警鐘~」より。【the SOCIAL×NNNドキュメントより】