だれでも
めちゃくちゃいい感想もらってテンション上がったのでせっかくなので作者もふせったー。魔機人形のというよりはピノキアの主人公、もっと特徴的な顔にすればよかったな……とは思う

『魔機人形』で満を持してメットを外したとき「ん? なにか見覚えが……」「ま、まさかお前は!!」と一目でわかるくらいが理想だったんだけど、『ピノキア』つくってるときにまさか「次回作もお前主人公続投ね」なんて計画はなかったわけで……。
MCUじゃないんだ! そんな計画的に企画できるわけないだろ!

とはいえ、「どうか人類を絶やさぬように」という願いを受けてピノキアが宇宙にとって迷惑存在に成り果てる、みたいな構想は『ピノキア』制作段階からありました。
というのは、「数万年スケールで人類を存続させるため病原菌のようにあらゆる星系に飛び立って可住惑星を見つけては原住民を一掃して植民する自動機械となる」というのが当初の構想です。
まあいずれそんな感じになるかもしれませんが、それよりNα-3に原住民がいた方がわかりやすいなということでNα-3=魔術世界ということにしました。

なんてひどい展開や! 『ピノキア』主人公(セ・キ・ローダー司令)が生きてたらどんな顔するんだ!
でもまあ、死んでるし……僕もそう思ってました。
ですが、セ・キ・ローダーやピノキアは超高度AIです。制限も取っ払われたわけですよ。
司令をむざむざ死なせるわけがないんですよ。
一方、司令も司令で己の限界まで肉体を酷使して「次」へ繋げるための準備をするでしょう。
となると折衷案は「死んだあと冷凍保存し、技術が確立したら蘇生させる」になるわけです。

え、ちょっと待って君。
わざわざ生き返らせて自身の下した命令の皮肉で悲惨な結果を見せつけるわけ? 鬼なの?


Nα-3の原住民は地球人類とその姿形はおろか、文化レベルでも非常に似ている存在です。
ただ、生物的にはまったくの別物であることがわかっています。要は、交配できません。
で、人口密度はともかくとして彼らはNα-3全域に生息していました。
「極めてよく似ているが決定的に異なる生物」――果たして、そんな存在と同じ星で共存することはできるのか。

セ・キ・ローダーは「不可能」であると判断しました。
厳密には、「あらかじめ滅ぼしておく方がリスクが少ない」という判断です。
なにせ地球人類はゼロからのスタートなのです。
さらにいえば、Nα-3の原住民は「魔術」という力を持っています。
個人が国家の軍事力の要となるほどの力です。
地球の常識ではありえない状況であるため、そのような存在との共存でなにが起こるのかは予測不能です。
その予測不能性も含めて「リスク」と判断しています。

共存可能性でいえば「ゼロではない」とはいえるでしょう。
もし人間が判断した場合、自らの姿と極めて似た原住民を虐殺するという判断は情緒的になかなか下せなかったことでしょう。
しかし、セ・キ・ローダーは合理的に判断します。
「人類存続」という目的が最優先です。
と、このあたりのお話が『術殺機兵群』になります。
まだ未完やんけ! 早く続き書けや! というかそれ完結させてから『魔機人形』の順番のはずダルォ!?

すまんのじゃ……ゆるしてほしいのじゃ……。
つい寄り道をしてしまって……その『魔機人形』が完成したと思ったらまた別の企画に着手し始めたのでまだかかりそうなのじゃ……。


閑話休題。
そういった事情があって起きてしまったのがNα-3の大虐殺です。
果たして、大元の命令である「どうか人類を絶やさぬように」を発した司令に責任はあるのでしょうか。

少なくとも彼自身は「ある」と考えています。
「知らなかった」のは確かですが、「予測はできた」はずだと。
もっと細かく状況を想定して命令を出せばいいものの、それを放棄した形になってしまった、と。

心中いかほどか。
正直なところ想像もつきませんね。
なので、彼は『魔機人形』作中では常にメットで顔を隠しているのです。

嘘です。当初は主人公が誰なのか特に考えていなかったのでメットをかぶせてました。
「主人公が戦えない」という設定に説得力を持たせようと宇宙服を着せました。
でもまあ、制作が進むにつれ「こいつだれ」という思いが強くなってきました。
「こいつはなんのためにこの棄てられた世界を冒険しているんだ」、と。

各地で棄てられた人形を目覚めさせているのは、アカザキからすれば戦力の獲得でしかありませんが、主人公にとっては別の意味もあります。
彼は「罪滅ぼし」という表現を否定しました。
その表現そのものにもなにか「傲慢さ」を感じたからでしょう。
彼に罪があるならば、今さらなにをしたところで滅ぼせるようなものではありません。

ただ、彼は自らが滅ぼした世界を見なければならなかった。
ただ、彼は自らが滅ぼした世界で拾えるものを拾った。

そのなかでなにを感じ、なにを思ったのか……。
マジでこう、……想像を絶するよね!
というわけでメットで顔が隠れてて基本的には無言主人公です。
悲痛な表情を浮かべたり嘆いたり慟哭したり膝をついたり……たとえばそういった一挙一動すらが、滅ぼした世界に対しては「冒涜」になるとすら考えているのです。



……え?
ちょっと待って。
救いはないんですか?

ネタバレになっちゃうからってガマンしなくてもfusetterという手があるよ