SNS中傷規制強化へ総務省が中間報告案 発信者の情報開示に電話番号追加も

毎日新聞 / 2020年7月10日 11時53分

総務省=東京都千代田区霞が関で、根岸基弘撮影

 総務省は10日、インターネット上で名誉毀損(きそん)にあたる投稿をした発信者の情報を、これまでより迅速に被害者側に開示する裁判手続きの新設などを盛り込んだ中間報告案を示した。同日の有識者会議に提示した。匿名投稿の発信者を短期間で特定できるようにし、被害回復につなげるのが狙い。プロバイダー責任制限法の改正を視野に、今後、制度改正の具体案を検討する。

 中間報告案は、開示される発信者情報に電話番号を加える必要性も指摘し、「迅速に関係省令の改正を行うことが適当」とした。これを受け、総務省は今夏にも省令改正を行う方針だ。

 ネット上で中傷を受けた被害者が名誉毀損などの裁判を起こすには、まず発信者の特定が必要だ。会員制交流サイト(SNS)事業者が任意で情報開示に応じることはほとんどなく、現在は事業者に訴訟を起こしてIPアドレス(インターネット上の住所)を取得して、その情報をもとに携帯電話会社などに対し発信者の氏名や住所の開示を求めるという煩雑な手続きとなっている。

 この仕組みでは特定までに時間や費用がかかり被害者救済がされにくいとして、有識者会議は訴訟とは別に、裁判所が開示の是非を判断・決定できる仕組みを新設することを提案した。

 ネット上での匿名投稿を巡っては、SNSで中傷を受けたプロレスラーの木村花さん(22)が死亡したことを受け、対策を求める声が強まっていた。有識者会議は意見を公募した上で、年内に最終報告をまとめる。【古屋敷尚子】

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