梅雨前線の影響で激しい雨に見舞われた8日、京都市では北区や左京区、右京区などの14カ所に避難所が設けられた。新型コロナウイルス感染症が発生してから初の避難所開設で、入り口での検温といった感染予防策が取られた。一方、避難所に駆け付けるはずの市職員が来なかった場所もあり、市は早急に改善を求められそうだ。
左京区の上高野小では、地域の自主防災会が午前6時ごろから約4時間、校舎の一室に避難所を開設し、4人が訪れた。入り口の受け付け場所には手指用の消毒液が用意され、スタッフの住民が非接触型の体温計で検温したり、マスク着用を促したりした。体調が悪い人がいた場合に備え、別室も準備した。
こうした対策は、市が5月下旬に改定した避難所の運営マニュアルに盛り込まれている。このほか、調査票を用いた体調チェックや居住スペースは2メートル以上の間隔を開けて設けることなども決められている。
避難所を開設した上高野学区自主防災会の山川義昭会長(69)は「避難者が少数で協力的だったので混乱しなかった」とした上で、「多数の人が来たら対応は難しい。過密になったらどうするか、換気や空調はどうするかなど課題は山積している」と指摘する。
別の問題も浮き彫りになった。市は避難所の感染予防を徹底するため、区役所・支所の職員が自主防災会のスタッフと一緒に避難所の受け付け業務を担うとする。しかし今回開設した14カ所のうち、4カ所には職員の姿はなかった。市防災危機管理室は「参集する職員の仕組みが十分に整っていなかった」とし、体制整備を図っていくとする。