Muscle Hypertrophy Response Is Affected by Previous Resistance Training Volume in Trained Individuals
https://www.researchgate.net/publication/339583180_Muscle_Hypertrophy_Response_Is_Affected_by_Previous_Resistance_Training_Volume_in_Trained_Individuals
一律のボリュームでのトレーニングと、被験者の直近のトレーニングボリュームの20%増しのトレーニングを実施し、筋肥大に差が出るか調べた研究。
★実験内容
・被験者
若い男性16人 トレーニング歴有り
・グループ分け
被験者の片脚ずつを一律ボリュームと、20%増しボリュームに、利き足が半々になるようランダムに振り分け。
・レジスタンストレーニング
一律ボリュームは大腿四頭筋のトレーニングを週間22セット。
20%増しを算出する元のボリュームは、実験開始前の2週間における被験者の大腿四頭筋のトレーニングボリューム(週間セット数)。平均だと20%増しで週間24セットになった。
実験期間は8週間で、週2日トレーニング。
種目は片脚レッグプレスと片脚レッグエクステンション。各セット8-12RM。種目ごとのセット数は明記されていないけどレッグプレスとレッグエクステンションで半々かな。
・測定方法
外側広筋の断面積を超音波で測定。
★実験結果
平均では、一律ボリュームの脚の外側広筋の断面積が+6.2%、20%増しの脚は+9.9%。
16人中10人が20%増しボリュームの脚の方がより筋肥大、2人が一律ボリュームの脚の方がより筋肥大、4人が同じくらい筋肥大した。
8週間の合計ボリューム(セット数×レップ数×重量)は、両グループで有意差無し。
一律ボリュームの週間22セットは、16人中8人にとってはそれまでの各自のトレーニングボリュームに比べて20%より多くなった。最も変化の大きい被験者だと120%増し。しかし20%増しボリュームの脚の方がより筋肥大する人が多かった。単に高ボリュームを行えば良いというものでもなく、普段自分が行っていたトレーニングよりも少しボリュームを増やしたほうが筋肥大しやすいという結果になっている。
★この研究のインプリケーション
・重量とストレングスの関係だけではなく、トレーニングボリュームと筋肥大の関係にも、漸進的過負荷の原則が適用されると考えられる。つまり、ボリュームを大幅に増やしたり、または楽に出来るボリュームをずっと続けるよりも、少しずつボリュームを増やしていくのが効率的な筋肥大をもたらす可能性が高い。
・トレーニングボリュームについての研究を考える時、実験での一律のボリュームは被験者の普段のトレーニングに比べて増えたのか、減ったのか、変わらないのか、といったことを考えたほうがいいだろう。トレーニングボリュームと筋肥大の関係を調べた研究結果がわりとばらつくのは、被験者ごとに普段のトレーニングボリュームが異なることも影響していると考えられる。
★実践への適用
20%増しが最適かは不明で、10%増し、20%増し、30%増し、どれくらいが最適なのかは今後の研究で実験が行われるのに期待だが、この研究では20%増しで良い結果が出ているので、とりあえずの目安になる。
これまでのトレーニングボリュームの研究だと、高ボリュームのほうが筋肥大しやすいという研究が多いが、今回の研究の結果を踏まえれば、いきなり高ボリュームはやらないほうが良いだろう。そして扱う重量と体重が順調に増えている場合は無闇にボリュームを増やさないのが良い。特に初心者は少ないボリュームから始めるのがおすすめで、部位あたり一回3セットを週2回くらいが目安だと思う。頭打ちになったら、とりあえず20%くらいボリューム(セット数)を増やしてみる。
ボリュームを増やしていくのにも、体力と回復力と時間の上限がある。デロードでボリュームへの感受性がある程度リセットされるのかわからないけど、ボリュームがどんどん増えてきてトレーニングをこなすのが厳しくなってきたら、重量とボリュームを減らすデロード期間を1,2週間入れてみる。(デロードの研究はかなり不足しているので実践的なのをやってほしいところ)
関連記事:
筋肥大トレの推奨ボリューム2
効果が頭打ちになるトレーニングボリュームの研究
トレーニングと栄養
6/09/2020
6/05/2020
リフィードの研究
Intermittent Energy Restriction Attenuates the Loss of Fat Free Mass in Resistance Trained Individuals. A Randomized Controlled Trial
https://www.mdpi.com/2411-5142/5/1/19/htm
毎日同じペースでカロリーカットをしたグループと、週に2日リフィードをしたグループの減量結果を比較した研究。筋トレ愛好家の知りたいポイントを押さえた研究デザインになっている。
・被験者は肥満ではなく、トレーニング歴あり
・筋トレしながらの減量
・タンパク質摂取量がこの手の研究にしては多め(個人的にはもう少し増やしたほうがいい思うが)
・週に2日という現実的なリフィード方法
減量や筋トレの研究は、社会的意義の面から肥満の人や高齢者を対象とした研究が多いので、こういう筋トレ愛好家向けの研究が行われるのは稀。
結論を先に書くと、リフィード群のほうが除脂肪量の減少を抑えられ良い結果になっている。
★被験者データ
体脂肪率は結果の表に載っていて、実験前の時点で21%くらい。男女合わせてのデータなので男性17%、女性25%くらいかな?
★実験期間
7週間
★食事
指導のもと自己管理
・摂取カロリー配分
一定カロリー群 ずっと25%カロリーカット
リフィード群 5日連続35%カロリーカット、2日連続維持カロリー
・マクロ栄養素バランス
カロリーカット時のマクロバランスは両群ともタンパク質摂取量 1.8g/kg/日、残りの必要カロリーを脂質と炭水化物で半分ずつ。
リフィード群のリフィード日は、カロリーカット時の食事に炭水化物のみを足して維持カロリーにする。
★レジスタンストレーニング
週あたり上半身メイン2日、下半身メイン2日の合計4日。4週目だけはデロードで合計2日。あと30分の有酸素運動を週2日。
★結果
体重差を考えると両群とも同じくらい体重が減少したが、リフィード群のほうが除脂肪量の減少を抑えられ、良い結果となっている。リフィードによる保水量の差を考慮するため、乾燥除脂肪量(Dry FFM)も算出しているが、これもリフィード群のほうが減少を抑えられている。体脂肪量もリフィード群のほうが減っていて良い。今回の研究では、リフィードは体重を落ちやすくするというよりも、除脂肪量を維持しやすいという結果になっている。

リフィードの目的は一般的に以下の3つ。
・代謝低下の抑制
・筋肉の維持・肥大
・メンタル面の息抜き
代謝低下については、安静時代謝(RMR)の減少幅に少し差がついている。安静時代謝は除脂肪量の影響が大きいので、除脂肪量減少の差が表れていると考えられる。リフィードで期待されるレプチンなど内分泌系の影響による代謝低下の抑制が起きているかはよくわからない。そもそも代謝低下の抑制があったかは安静時代謝だけではなくNEATも見ないといけない。
マクロ視点でみると、7週間での体重減少量は両群でほぼ同じだが、分解して消費する場合、除脂肪部分のほうが体脂肪よりもエネルギー密度が低いことを考慮すると、リフィード群のほうがトータルでの消費カロリーが少し多かった感じはする。
除脂肪量の維持については、リフィードでグリコーゲンを補充してトレーニングの質が上がったり、筋肉のエネルギーレベルが一時的に高くなることで、筋肉の維持・肥大がしやすくなったのかもしれない(個別データだと除脂肪量が増えている人もいる)。
トレーニングボリュームは両群で同じとのことだが、ボリュームをセット数×レップ数で出しているのか、セット数×レップ数×重量で出しているのか不明なので、トレーニングの質に差がついたのかよくわからない。
★コメント
デザインの良い研究で、リフィードの優位性が示された結果になっている。今後同じようなデザインの研究で繰り返しリフィード優位の結果が示されれば、確度が高まる。
体脂肪率を楽に維持できる水準(男性なら13-15%くらい)より高い体脂肪率で減量をするならリフィードはあまり必要ないと思っていたけど、体脂肪率が低くなくても体組成変化に効果がありそうなので考えを改めたい。
なぜ両群を比較すると体重減少にあまり差がつかなかったのか仮説を考えてみると、
・今回の実験では被験者はそれほど低い体脂肪率ではないので、両群とも大幅な代謝低下が起こらず、そのためリフィードの代謝回復効果も大きくは出ず、代謝低下の抑制の面であまり差がつかなかった。
・リフィード日の摂取カロリーは維持カロリーなので、グリコーゲンとして貯蔵に回される分を考慮すると摂取カロリーが足りなく、リフィードの代謝低下の抑制効果が出るには不十分だった。
・そもそも2日程度のリフィードでは代謝低下の抑制効果があまり無い。
もし今回よりも低い体脂肪率の被験者を集めて、男性なら体脂肪率10%以下を目指すという研究デザインにして、リフィード日の摂取カロリーをグリコーゲン貯蔵分を考慮して維持カロリーよりも多めにすると、リフィードがレプチンレベルの低下抑制に寄与するといった経路で、リフィード群と一定カロリーカット群とで体重減少に大きな差が出てくるかもしれない。
★細かい話
・リフィード群はリフィード時に炭水化物だけ足しているため、週ベースでの炭水化物の摂取量がリフィード群のほうが多くなっているはず。レプチンレベルの維持や筋グリコーゲンの補充、トレーニングの質の維持の面ではリフィード群が有利だと思う。
・タンパク質摂取量が1.8g/kg/dayは減量時としては少し足りなく、特にリフィード群の35%カロリーカットだとかなり不足気味な感じがするので、この点ではリフィード群が不利に見える。(が、除脂肪量の維持ではリフィード群のほうが良い結果だった)
・減量終了後から一週間くらい空けてから、体組成を測定してほしかった。土日のリフィードで実験期間終了だと、リフィード群はグリコーゲンと水が補充されていて除脂肪量が多く出やすい。論文にはリフィードから最低2日空けて体組成を測定したと書かれていて、また水分量を考慮した乾燥除脂肪量も出しているので、ある程度はこの保水量の差をケアしているが。
・トレーニングボリュームの細かい記録や、1RM変化も記録するとより良い研究になると思う。
・極度に低い体脂肪率を目指す場合は、リフィード日はオーバーカロリー(その日の活動で消費するカロリーに加えて貯蔵グリコーゲンの分も摂取する)のほうが良いと思う。
関連記事:
リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた
6年前の記事で、当時とあまり考えは変わっていないけど、カジュアルダイエットの人はリフィードというか、1、2週間の維持カロリーに戻すダイエット休憩を入れると良いと思う。(一つ下の関連記事参照)
維持カロリーを挟むダイエット方法
炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット
なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか
レプチンについて
AMPkについて
タンパク質摂取量の目安
https://www.mdpi.com/2411-5142/5/1/19/htm
毎日同じペースでカロリーカットをしたグループと、週に2日リフィードをしたグループの減量結果を比較した研究。筋トレ愛好家の知りたいポイントを押さえた研究デザインになっている。
・被験者は肥満ではなく、トレーニング歴あり
・筋トレしながらの減量
・タンパク質摂取量がこの手の研究にしては多め(個人的にはもう少し増やしたほうがいい思うが)
・週に2日という現実的なリフィード方法
減量や筋トレの研究は、社会的意義の面から肥満の人や高齢者を対象とした研究が多いので、こういう筋トレ愛好家向けの研究が行われるのは稀。
結論を先に書くと、リフィード群のほうが除脂肪量の減少を抑えられ良い結果になっている。
★被験者データ
体脂肪率は結果の表に載っていて、実験前の時点で21%くらい。男女合わせてのデータなので男性17%、女性25%くらいかな?
★実験期間
7週間
★食事
指導のもと自己管理
・摂取カロリー配分
一定カロリー群 ずっと25%カロリーカット
リフィード群 5日連続35%カロリーカット、2日連続維持カロリー
・マクロ栄養素バランス
カロリーカット時のマクロバランスは両群ともタンパク質摂取量 1.8g/kg/日、残りの必要カロリーを脂質と炭水化物で半分ずつ。
リフィード群のリフィード日は、カロリーカット時の食事に炭水化物のみを足して維持カロリーにする。
★レジスタンストレーニング
週あたり上半身メイン2日、下半身メイン2日の合計4日。4週目だけはデロードで合計2日。あと30分の有酸素運動を週2日。
★結果
体重差を考えると両群とも同じくらい体重が減少したが、リフィード群のほうが除脂肪量の減少を抑えられ、良い結果となっている。リフィードによる保水量の差を考慮するため、乾燥除脂肪量(Dry FFM)も算出しているが、これもリフィード群のほうが減少を抑えられている。体脂肪量もリフィード群のほうが減っていて良い。今回の研究では、リフィードは体重を落ちやすくするというよりも、除脂肪量を維持しやすいという結果になっている。
リフィードの目的は一般的に以下の3つ。
・代謝低下の抑制
・筋肉の維持・肥大
・メンタル面の息抜き
代謝低下については、安静時代謝(RMR)の減少幅に少し差がついている。安静時代謝は除脂肪量の影響が大きいので、除脂肪量減少の差が表れていると考えられる。リフィードで期待されるレプチンなど内分泌系の影響による代謝低下の抑制が起きているかはよくわからない。そもそも代謝低下の抑制があったかは安静時代謝だけではなくNEATも見ないといけない。
マクロ視点でみると、7週間での体重減少量は両群でほぼ同じだが、分解して消費する場合、除脂肪部分のほうが体脂肪よりもエネルギー密度が低いことを考慮すると、リフィード群のほうがトータルでの消費カロリーが少し多かった感じはする。
除脂肪量の維持については、リフィードでグリコーゲンを補充してトレーニングの質が上がったり、筋肉のエネルギーレベルが一時的に高くなることで、筋肉の維持・肥大がしやすくなったのかもしれない(個別データだと除脂肪量が増えている人もいる)。
トレーニングボリュームは両群で同じとのことだが、ボリュームをセット数×レップ数で出しているのか、セット数×レップ数×重量で出しているのか不明なので、トレーニングの質に差がついたのかよくわからない。
★コメント
デザインの良い研究で、リフィードの優位性が示された結果になっている。今後同じようなデザインの研究で繰り返しリフィード優位の結果が示されれば、確度が高まる。
体脂肪率を楽に維持できる水準(男性なら13-15%くらい)より高い体脂肪率で減量をするならリフィードはあまり必要ないと思っていたけど、体脂肪率が低くなくても体組成変化に効果がありそうなので考えを改めたい。
なぜ両群を比較すると体重減少にあまり差がつかなかったのか仮説を考えてみると、
・今回の実験では被験者はそれほど低い体脂肪率ではないので、両群とも大幅な代謝低下が起こらず、そのためリフィードの代謝回復効果も大きくは出ず、代謝低下の抑制の面であまり差がつかなかった。
・リフィード日の摂取カロリーは維持カロリーなので、グリコーゲンとして貯蔵に回される分を考慮すると摂取カロリーが足りなく、リフィードの代謝低下の抑制効果が出るには不十分だった。
・そもそも2日程度のリフィードでは代謝低下の抑制効果があまり無い。
もし今回よりも低い体脂肪率の被験者を集めて、男性なら体脂肪率10%以下を目指すという研究デザインにして、リフィード日の摂取カロリーをグリコーゲン貯蔵分を考慮して維持カロリーよりも多めにすると、リフィードがレプチンレベルの低下抑制に寄与するといった経路で、リフィード群と一定カロリーカット群とで体重減少に大きな差が出てくるかもしれない。
★細かい話
・リフィード群はリフィード時に炭水化物だけ足しているため、週ベースでの炭水化物の摂取量がリフィード群のほうが多くなっているはず。レプチンレベルの維持や筋グリコーゲンの補充、トレーニングの質の維持の面ではリフィード群が有利だと思う。
・タンパク質摂取量が1.8g/kg/dayは減量時としては少し足りなく、特にリフィード群の35%カロリーカットだとかなり不足気味な感じがするので、この点ではリフィード群が不利に見える。(が、除脂肪量の維持ではリフィード群のほうが良い結果だった)
・減量終了後から一週間くらい空けてから、体組成を測定してほしかった。土日のリフィードで実験期間終了だと、リフィード群はグリコーゲンと水が補充されていて除脂肪量が多く出やすい。論文にはリフィードから最低2日空けて体組成を測定したと書かれていて、また水分量を考慮した乾燥除脂肪量も出しているので、ある程度はこの保水量の差をケアしているが。
・トレーニングボリュームの細かい記録や、1RM変化も記録するとより良い研究になると思う。
・極度に低い体脂肪率を目指す場合は、リフィード日はオーバーカロリー(その日の活動で消費するカロリーに加えて貯蔵グリコーゲンの分も摂取する)のほうが良いと思う。
関連記事:
リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた
6年前の記事で、当時とあまり考えは変わっていないけど、カジュアルダイエットの人はリフィードというか、1、2週間の維持カロリーに戻すダイエット休憩を入れると良いと思う。(一つ下の関連記事参照)
維持カロリーを挟むダイエット方法
炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット
なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか
レプチンについて
AMPkについて
タンパク質摂取量の目安
6/01/2020
運動時のマスク
ジムの営業が徐々に再開されていますが、マスク着用が義務付けられているところも多いと思います。どういうマスクを着用すれば運動しやすいか、いくつか試してみたのでレビューをば。
呼吸のしやすさを5段階で評価していきます。マスク無しが5点。
・普通の不織布マスク
呼吸のしやすさ ★★☆☆☆ 2点
軽い運動ならなんとか出来る。
・不織布マスクが汗で湿ったもの
呼吸のしやすさ ★☆☆☆☆ 1点
汗で湿ると空気が通りにくくなりかなり苦しい。
・D&M サポーターメーカーの洗える伸縮マスク
呼吸のしやすさ ★★★☆☆ 3点
スクワット8レップやって3分インターバルといった筋トレなら何とか出来る。呼吸がある程度制限されるため、おそらくインターバルでの回復が遅れる。いつもより長めにインターバルを取ったほうが良い。HIITといった心拍数が上がりっぱなしの高強度の運動はこのマスクだと難しいと思う。あとメガネが曇りやすいのでメガネ民は曇り止めをつけたほうがいいかも(曇り止めを注文したけどまだ届かない)。
・通気性の良いフェイスマスク
呼吸のしやすさ ★★★★☆ 4点
アマゾンで売ってたこれを試してみましたが、呼吸はとてもしやすい。たぶんほとんどの運動が問題なく出来る。これがOKならなるべく使いたい。注意点は、黒色だと見た目が上野クリニックっぽくなる。
呼吸のしやすさを5段階で評価していきます。マスク無しが5点。
・普通の不織布マスク
呼吸のしやすさ ★★☆☆☆ 2点
軽い運動ならなんとか出来る。
・不織布マスクが汗で湿ったもの
呼吸のしやすさ ★☆☆☆☆ 1点
汗で湿ると空気が通りにくくなりかなり苦しい。
・D&M サポーターメーカーの洗える伸縮マスク
呼吸のしやすさ ★★★☆☆ 3点
スクワット8レップやって3分インターバルといった筋トレなら何とか出来る。呼吸がある程度制限されるため、おそらくインターバルでの回復が遅れる。いつもより長めにインターバルを取ったほうが良い。HIITといった心拍数が上がりっぱなしの高強度の運動はこのマスクだと難しいと思う。あとメガネが曇りやすいのでメガネ民は曇り止めをつけたほうがいいかも(曇り止めを注文したけどまだ届かない)。
・通気性の良いフェイスマスク
呼吸のしやすさ ★★★★☆ 4点
アマゾンで売ってたこれを試してみましたが、呼吸はとてもしやすい。たぶんほとんどの運動が問題なく出来る。これがOKならなるべく使いたい。注意点は、黒色だと見た目が上野クリニックっぽくなる。
5/22/2020
ビタミンDと運動パフォーマンス
サルコペニアなど筋肉が病的に弱っている高齢者は、ビタミンD摂取により体内ビタミンDレベルを改善することで、筋力がある程度戻ることがいくつかの研究で示されている。
ビタミンDが筋肉・筋力に影響を及ぼす仕組みは現時点では明確になっていない。ビタミンDが筋肉のタンパク質合成に関わったり、カルシウムイオンの調整に関わったりといったメカニズムが推測されている。
こうした背景から、若いアスリートにビタミンDを投与することで、運動パフォーマンスの改善が見込めるのではないか?というエルゴジェニック視点での研究がいくつか行われている。今回はそれを見ていきたい。
★ビタミンDサプリメントをアスリートが摂取したRCT研究
下のほうに「★まとめ」があるので、個別研究は読み飛ばしても大丈夫です。
(1)Acute Effects of Vitamin D3 Supplementation on Muscle Strength in Judoka Athletes: A Randomized Placebo-Controlled, Double-Blind Trial.
https://wlv.openrepository.com/bitstream/handle/2436/608837/Acute%20effects%20of%20Vit%20D%20on%20muscle%20function%20in%20judokas.pdf;jsessionid=01C07C8293F095F75C497313FDE54BFA?sequence=2
・被験者
柔道選手
・ビタミンD摂取方法
1日目 筋力テストしてすぐ多量のビタミンDを摂取(15万IU)
8日目 再び筋力テスト
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
13.16ng/ml→16.76ng/ml
※被験者ごとのビタミンDレベルの推移を見るとこの平均値はおかしい気がする。グループの人数ではなく、全体の人数で合計を割って平均を出しちゃってる感じがするが、まさかそんなことは・・・
・運動パフォーマンス測定
大腿四頭筋とハムストリングスの筋力(膝の伸展と屈曲の最大筋力を測定)
ビタミンD群は平均で13%上昇
プラシーボ群は平均で3%上昇
(2)Correcting Vitamin D Insufficiency Improves Some But Not All Aspects of Physical Performance During Winter Training in Taekwondo Athletes.
https://www.researchgate.net/publication/324928086_Correcting_Vitamin_D_Insufficiency_Improves_Some_But_Not_All_Aspects_of_Physical_Performance_During_Winter_Training_in_Taekwondo_Athletes
・被験者
テコンドー選手
・ビタミンD摂取方法
毎日5000IUを4週間
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
10.9ng/ml→38.4ng/ml
・運動パフォーマンス測定
無酸素ピークパワー(Wingate anaerobic test全力自転車マシン漕ぎ)と膝の伸展のストレングス向上については、ビタミンD群とプラシーボ群で有意差あり。筋持久力、垂直跳び、敏捷性、シャトルランは有意差なし。
・怪我
メインの研究目的ではないが、プラシーボ群のほうが怪我する選手が多かった。
(3)The effects of vitamin D3 supplementation on serum total 25[OH]D concentration and physical performance: A randomised dose-response study
https://www.researchgate.net/publication/235628143_The_effects_of_vitamin_D3_supplementation_on_serum_total_25OHD_concentration_and_physical_performance_A_randomised_dose-response_study
・被験者
ラグビーやサッカーなど
・ビタミンD摂取方法
週あたり20000IU、40000IU、プラシーボの3グループ。12週間。
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
20ng/ml→34ng/ml(週あたり20000IU)
20ng/ml→36ng/ml(週あたり40000IU)
・運動パフォーマンス測定
ベンチプレス1RM、レッグプレス1RM、垂直跳び、20m走いずれもビタミンD摂取による効果なし。
(4)Assessment of vitamin D concentration in non-supplemented professional athletes and healthy adults during the winter months in the UK: Implications for skeletal muscle function
https://static1.squarespace.com/static/59321fad9de4bb81bdceb3b6/t/593cb0a5e3df286fa0f55995/1497149606409/Assessment+of+vitamin+D+concentration+in+non-supplemented+professional+athletes+and+healthy+adults+during+the+winter+months+in+the+UK-+implications+for+skeletal+muscle+function.pdf
・被験者
ラグビー、サッカー、騎手の選手。
・ビタミンD摂取方法
毎日5000IUを8週間。
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
12ng/ml→42ng/ml
・運動パフォーマンス測定
10m走と垂直跳びが向上。ベンチプレス1RMとスクワット1RMは有意差無し(向上の傾向はあり)。
(5)Vitamin D Supplementation and Physical Activity of Young Soccer Players during High-Intensity Training
https://www.mdpi.com/2072-6643/11/2/349/htm
・被験者
サッカー選手
・ビタミンD摂取方法
毎日5000IUを8週間。
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
19ng/ml→43ng/ml
・運動パフォーマンス測定
スプリント能力とジャンプ力を測定。プラシーボ群とビタミンD群で有意差なし。
(6)Vitamin D Supplementation and Physical Performance in Adolescent Swimmers
https://www.researchgate.net/publication/265516194_Vitamin_D_Supplementation_and_Physical_Performance_in_Adolescent_Swimmers
・被験者
水泳選手
・ビタミンD摂取方法
毎日2000IUを12週間。
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
20ng/ml→30ng/ml
・運動パフォーマンス測定
スイムのタイム、握力、片足立ちの時間、いずれもプラシーボ群とビタミンD群で有意差なし。
(7)The influence of winter vitamin D supplementation on muscle function and injury occurrence in elite ballet dancers: A controlled study
https://www.researchgate.net/publication/236338298_The_influence_of_winter_vitamin_D_supplementation_on_muscle_function_and_injury_occurrence_in_elite_ballet_dancers_A_controlled_study
・被験者
プロのバレエダンサー
・ビタミンD摂取方法
毎日2000IUを4ヶ月
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
ビタミンDレベルは測定していないようだ。実験は冬に行われ、室内での長時間の練習が多い職業なのでスタート時のビタミンDレベルは低いと思われる。
・運動パフォーマンス測定
アイソメトリックでのストレングス(膝の伸展)と垂直跳びで、いずれもビタミンD群が向上。ストレングスは+18.7%、垂直跳びは+7.1%。
・怪我
怪我率はビタミンD群のほうが低かった。ビタミンD群0.55/1000h、コントロール群1.87/1000h
★怪我リスク
(8)Stress Fractures in the Israeli Defense Forces From 1995 to 1996
https://journals.lww.com/clinorthop/Fulltext/2000/04000/Stress_Fractures_in_the_Israeli_Defense_Forces.27.aspx
(9)Association between serum 25(OH)D concentrations and bone stress fractures in Finnish young men.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16939407
兵士対象の研究では、骨折リスクとビタミンDレベルの低さが相関している。骨折は頻繁に起こるものではないので、アスリート対象の研究だとサンプル数と調査期間の問題から有意差が出にくいと思う。
(10)The Association of Vitamin D Status in Lower Extremity Muscle Strains and Core Muscle Injuries at the National Football League Combine.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29275983
NFLコンバインの選手のデータから、怪我歴とビタミンDの関係を分析した研究。脚の筋肉の肉離れや体幹の筋肉の怪我リスクが、ビタミンDレベルの低さと相関していた。
★まとめ
単関節のストレングス向上はビタミンD摂取の効果ありとなった研究が多い。ジャンプ力はいくつかの研究で効果ありとなっている。ベンチプレスやスクワットなど複合関節種目でのストレングス向上は効果があまり期待できないようだ。
若いアスリートはビタミンD摂取により、部分的にストレングスとパワーが改善するかもしれない。欠乏レベルにある場合は、一日5000IUを2ヶ月くらい続けたい。日光に当たってもビタミンDが生成されるけど、日光に当たりすぎると皮膚がんなどの健康リスクが出てくるので、サプリメントで補うのが良いと思う。
怪我の予防については、結構期待できそうな感じがする。骨折と筋肉の怪我の予防に貢献する可能性がある。骨は単に強くすることで骨折予防だろうけど、肉離れなどはメカニズムがよくわからない。
★ビタミンD研究の注意点
アスリートにビタミンDを投与する研究の問題点は、
・被験者数が少ない
・初期ビタミンDレベルと、サプリメント摂取後のビタミンDレベルがばらばら。
・ビタミンDが運動パフォーマンスに影響を及ぼすメカニズムと、運動パフォーマンスにとって望ましいビタミンDレベルがはっきりしない。欠乏状態(だいたい20ng/ml以下)を改善することで、運動パフォーマンス向上が期待できるのか? それとも健康維持に十分なレベル(だいたい30-40ng/ml)よりさらに高いビタミンDレベルにすると、神経-筋肉が最大のパフォーマンスを発揮するようになるのか?
★ビタミンDが不足しやすい競技・季節
日焼け止めを塗らず肌を多く露出して、低緯度地域、夏、昼間の日差しに多く当たると、ビタミンDが多く生成される。高緯度地域、冬、朝夕の日差しはビタミンDを生成しにくい。
屋内競技はビタミンDが不足しやすい。屋外競技でも、高緯度の冬場、曇りの多い地域(例えば日本だと冬の日本海側)だとビタミンDが不足しやすい。
それと階級制競技はビタミンDが不足しやすい傾向があるようだ。
★タンニングマシンはビタミンD生成に効果的か
ビタミンD生成に必要なのはUVBなので、UVBが少ない種類のマシンだとあまりビタミンDが生成されないだろう。
ビタミンDが筋肉・筋力に影響を及ぼす仕組みは現時点では明確になっていない。ビタミンDが筋肉のタンパク質合成に関わったり、カルシウムイオンの調整に関わったりといったメカニズムが推測されている。
こうした背景から、若いアスリートにビタミンDを投与することで、運動パフォーマンスの改善が見込めるのではないか?というエルゴジェニック視点での研究がいくつか行われている。今回はそれを見ていきたい。
★ビタミンDサプリメントをアスリートが摂取したRCT研究
下のほうに「★まとめ」があるので、個別研究は読み飛ばしても大丈夫です。
(1)Acute Effects of Vitamin D3 Supplementation on Muscle Strength in Judoka Athletes: A Randomized Placebo-Controlled, Double-Blind Trial.
https://wlv.openrepository.com/bitstream/handle/2436/608837/Acute%20effects%20of%20Vit%20D%20on%20muscle%20function%20in%20judokas.pdf;jsessionid=01C07C8293F095F75C497313FDE54BFA?sequence=2
・被験者
柔道選手
・ビタミンD摂取方法
1日目 筋力テストしてすぐ多量のビタミンDを摂取(15万IU)
8日目 再び筋力テスト
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
13.16ng/ml→16.76ng/ml
※被験者ごとのビタミンDレベルの推移を見るとこの平均値はおかしい気がする。グループの人数ではなく、全体の人数で合計を割って平均を出しちゃってる感じがするが、まさかそんなことは・・・
・運動パフォーマンス測定
大腿四頭筋とハムストリングスの筋力(膝の伸展と屈曲の最大筋力を測定)
ビタミンD群は平均で13%上昇
プラシーボ群は平均で3%上昇
(2)Correcting Vitamin D Insufficiency Improves Some But Not All Aspects of Physical Performance During Winter Training in Taekwondo Athletes.
https://www.researchgate.net/publication/324928086_Correcting_Vitamin_D_Insufficiency_Improves_Some_But_Not_All_Aspects_of_Physical_Performance_During_Winter_Training_in_Taekwondo_Athletes
・被験者
テコンドー選手
・ビタミンD摂取方法
毎日5000IUを4週間
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
10.9ng/ml→38.4ng/ml
・運動パフォーマンス測定
無酸素ピークパワー(Wingate anaerobic test全力自転車マシン漕ぎ)と膝の伸展のストレングス向上については、ビタミンD群とプラシーボ群で有意差あり。筋持久力、垂直跳び、敏捷性、シャトルランは有意差なし。
・怪我
メインの研究目的ではないが、プラシーボ群のほうが怪我する選手が多かった。
(3)The effects of vitamin D3 supplementation on serum total 25[OH]D concentration and physical performance: A randomised dose-response study
https://www.researchgate.net/publication/235628143_The_effects_of_vitamin_D3_supplementation_on_serum_total_25OHD_concentration_and_physical_performance_A_randomised_dose-response_study
・被験者
ラグビーやサッカーなど
・ビタミンD摂取方法
週あたり20000IU、40000IU、プラシーボの3グループ。12週間。
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
20ng/ml→34ng/ml(週あたり20000IU)
20ng/ml→36ng/ml(週あたり40000IU)
・運動パフォーマンス測定
ベンチプレス1RM、レッグプレス1RM、垂直跳び、20m走いずれもビタミンD摂取による効果なし。
(4)Assessment of vitamin D concentration in non-supplemented professional athletes and healthy adults during the winter months in the UK: Implications for skeletal muscle function
https://static1.squarespace.com/static/59321fad9de4bb81bdceb3b6/t/593cb0a5e3df286fa0f55995/1497149606409/Assessment+of+vitamin+D+concentration+in+non-supplemented+professional+athletes+and+healthy+adults+during+the+winter+months+in+the+UK-+implications+for+skeletal+muscle+function.pdf
・被験者
ラグビー、サッカー、騎手の選手。
・ビタミンD摂取方法
毎日5000IUを8週間。
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
12ng/ml→42ng/ml
・運動パフォーマンス測定
10m走と垂直跳びが向上。ベンチプレス1RMとスクワット1RMは有意差無し(向上の傾向はあり)。
(5)Vitamin D Supplementation and Physical Activity of Young Soccer Players during High-Intensity Training
https://www.mdpi.com/2072-6643/11/2/349/htm
・被験者
サッカー選手
・ビタミンD摂取方法
毎日5000IUを8週間。
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
19ng/ml→43ng/ml
・運動パフォーマンス測定
スプリント能力とジャンプ力を測定。プラシーボ群とビタミンD群で有意差なし。
(6)Vitamin D Supplementation and Physical Performance in Adolescent Swimmers
https://www.researchgate.net/publication/265516194_Vitamin_D_Supplementation_and_Physical_Performance_in_Adolescent_Swimmers
・被験者
水泳選手
・ビタミンD摂取方法
毎日2000IUを12週間。
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
20ng/ml→30ng/ml
・運動パフォーマンス測定
スイムのタイム、握力、片足立ちの時間、いずれもプラシーボ群とビタミンD群で有意差なし。
(7)The influence of winter vitamin D supplementation on muscle function and injury occurrence in elite ballet dancers: A controlled study
https://www.researchgate.net/publication/236338298_The_influence_of_winter_vitamin_D_supplementation_on_muscle_function_and_injury_occurrence_in_elite_ballet_dancers_A_controlled_study
・被験者
プロのバレエダンサー
・ビタミンD摂取方法
毎日2000IUを4ヶ月
・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
ビタミンDレベルは測定していないようだ。実験は冬に行われ、室内での長時間の練習が多い職業なのでスタート時のビタミンDレベルは低いと思われる。
・運動パフォーマンス測定
アイソメトリックでのストレングス(膝の伸展)と垂直跳びで、いずれもビタミンD群が向上。ストレングスは+18.7%、垂直跳びは+7.1%。
・怪我
怪我率はビタミンD群のほうが低かった。ビタミンD群0.55/1000h、コントロール群1.87/1000h
★怪我リスク
(8)Stress Fractures in the Israeli Defense Forces From 1995 to 1996
https://journals.lww.com/clinorthop/Fulltext/2000/04000/Stress_Fractures_in_the_Israeli_Defense_Forces.27.aspx
(9)Association between serum 25(OH)D concentrations and bone stress fractures in Finnish young men.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16939407
兵士対象の研究では、骨折リスクとビタミンDレベルの低さが相関している。骨折は頻繁に起こるものではないので、アスリート対象の研究だとサンプル数と調査期間の問題から有意差が出にくいと思う。
(10)The Association of Vitamin D Status in Lower Extremity Muscle Strains and Core Muscle Injuries at the National Football League Combine.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29275983
NFLコンバインの選手のデータから、怪我歴とビタミンDの関係を分析した研究。脚の筋肉の肉離れや体幹の筋肉の怪我リスクが、ビタミンDレベルの低さと相関していた。
★まとめ
単関節のストレングス向上はビタミンD摂取の効果ありとなった研究が多い。ジャンプ力はいくつかの研究で効果ありとなっている。ベンチプレスやスクワットなど複合関節種目でのストレングス向上は効果があまり期待できないようだ。
若いアスリートはビタミンD摂取により、部分的にストレングスとパワーが改善するかもしれない。欠乏レベルにある場合は、一日5000IUを2ヶ月くらい続けたい。日光に当たってもビタミンDが生成されるけど、日光に当たりすぎると皮膚がんなどの健康リスクが出てくるので、サプリメントで補うのが良いと思う。
怪我の予防については、結構期待できそうな感じがする。骨折と筋肉の怪我の予防に貢献する可能性がある。骨は単に強くすることで骨折予防だろうけど、肉離れなどはメカニズムがよくわからない。
★ビタミンD研究の注意点
アスリートにビタミンDを投与する研究の問題点は、
・被験者数が少ない
・初期ビタミンDレベルと、サプリメント摂取後のビタミンDレベルがばらばら。
・ビタミンDが運動パフォーマンスに影響を及ぼすメカニズムと、運動パフォーマンスにとって望ましいビタミンDレベルがはっきりしない。欠乏状態(だいたい20ng/ml以下)を改善することで、運動パフォーマンス向上が期待できるのか? それとも健康維持に十分なレベル(だいたい30-40ng/ml)よりさらに高いビタミンDレベルにすると、神経-筋肉が最大のパフォーマンスを発揮するようになるのか?
★ビタミンDが不足しやすい競技・季節
日焼け止めを塗らず肌を多く露出して、低緯度地域、夏、昼間の日差しに多く当たると、ビタミンDが多く生成される。高緯度地域、冬、朝夕の日差しはビタミンDを生成しにくい。
屋内競技はビタミンDが不足しやすい。屋外競技でも、高緯度の冬場、曇りの多い地域(例えば日本だと冬の日本海側)だとビタミンDが不足しやすい。
それと階級制競技はビタミンDが不足しやすい傾向があるようだ。
★タンニングマシンはビタミンD生成に効果的か
ビタミンD生成に必要なのはUVBなので、UVBが少ない種類のマシンだとあまりビタミンDが生成されないだろう。
5/12/2020
新型コロナの年齢群別死亡リスク
Covid-19 Mainly Kills Old People. So Do Most Other Diseases.
https://www.bloomberg.com/opinion/articles/2020-05-07/comparing-coronavirus-deaths-by-age-with-flu-driving-fatalities
アメリカの新型コロナ死者のデータを使って、他の死亡要因とのリスク比較を出している記事を見つけたので紹介します。アメリカではこの記事の時点で新型コロナで7万人くらい亡くなっていて、その7万人に占める各年齢群の割合がわかっている。
最終的なアメリカ全体の新型コロナ死亡数はまだわからないけど、いくつかのシナリオごとに各年齢群が何人亡くなるか試算できるので、その数字を使えば他の死亡要因とのリスク比較ができる。
この記事でのアメリカ全体の最終的な新型コロナ死亡数のシナリオは、10万人、20万人、75万人の3つ。
★新型コロナの最終的な死亡数の考察
欧米でのいくつかの抗体検査の結果から、高齢化の進んだ先進国での新型コロナの致死率は0.1-0.2%程度ではないかと言われている。アメリカ人口3.3億人、人口の7割感染で集団免疫獲得となり新型コロナ終息、致死率0.1-0.2%と仮定して計算すると、アメリカの最終的な新型コロナ死者は23-46万人になる。記事の死亡数シナリオだと、10万人は大幅に超える可能性が高い、20万人は楽観寄りの数字、75万人はだいぶ可能性が低い悲観的な数字だと考えられる。
アメリカのデータだとアフリカ系とヒスパニック系の死亡率が高いので、日本だと全体の死亡率はアメリカほど高くならないかもしれない。それに加えて東アジアは欧米に比べるとなぜか感染が広がりにくく死者が少ない感じなので、地域的に過去に類似のウイルスが流行っていて部分的に免疫を獲得済みな可能性もある(アジアかぜのケースを見るとそういった可能性はある)。
◆季節性インフルエンザ+肺炎との比較
インフルエンザ+肺炎の数字は人口10万人あたりのアメリカの年齢群別死亡率。その年齢群が10万人いた場合に、何人がインフルエンザ+肺炎で亡くなったか。全員がインフルエンザに感染したわけではない。
新型コロナの数字は各シナリオごとの、インフルエンザ+肺炎と比較しての相対的な死亡リスク。1ならインフルエンザ+肺炎と同じ死亡リスク。1より大きければインフルエンザ+肺炎よりも死亡リスクが高い、1より小さければ死亡リスクが低い。
2018年のインフルエンザ+肺炎と新型コロナの死亡リスクを比較すると、アメリカの新型コロナ死者数75万人の悲観シナリオであっても、子供の新型コロナ死亡リスクはインフルエンザ+肺炎の半分~4分の1。一方で大人は死者数20万人の楽観寄りのシナリオであっても、インフルエンザ+肺炎よりも新型コロナのほうが死亡リスクは3~4倍高い。ただインフルエンザに感染するのは人口の1,2割なので、大人が感染した場合に死ぬ確率だと、インフルエンザと新型コロナで近い数字になりそう。(つまり大人にとって新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスよりも怖いのは、毒性の強さによるものではなくて、感染しやすさによるものだと言える)
季節性インフルエンザ(+それに伴う肺炎)と新型コロナではどっちが怖いか?という問いに対しては、子供にとっては季節性インフルエンザのほうが怖い、大人にとっては新型コロナのほうが怖いという答えになるだろう。
アメリカと日本とでインフルエンザ+肺炎の死亡率はあまり変わらないと思う。年ごと地域ごとの流行度合いによってインフルエンザの死亡数は大きく変わるし、超過死亡の概念があるので、直接比較が難しい。5年平均のインフルエンザ死亡率のデータだと日本とアメリカは同じくらい。従って大雑把に言えば、日本とアメリカの新型コロナ死亡リスクが同じくらいなら、日本でのインフルエンザ+肺炎と新型コロナの相対リスクも同じくらいになると考えられる。
◆交通事故との比較
アメリカの人口は日本の3倍弱で、アメリカの交通事故死者数は日本の約10倍。交通事故のリスクはアメリカのほうがずっと高い。それを考慮しても、日本で子供が新型コロナで死ぬリスクは交通事故より大幅に低いだろう。若い世代は交通事故と同じくらい。中高年は交通事故よりも新型コロナで死ぬリスクのほうが高く、年齢が上がるにつれて交通事故に比べての死亡リスクは大幅に上がっていく。子供の命を守るという観点では、新型コロナ対策で学校を閉めるよりも、自動車の使用を禁止するほうが高い効果が期待できる(リスク評価をせずコストを度外視した政策への皮肉です)。
★新型コロナの死亡リスク
年齢群別の新型コロナの死亡率を算出してみる。悲観寄りにアメリカ新型コロナ40万人死亡と仮定して、
0歳 死亡率0.001%(10万人に1人)
1-4歳 死亡率0.0001%(100万人に1人)
5-14歳 死亡率0.0001%(100万人に1人)
15-24歳 死亡率0.001%(10万人に1人)
25-34歳 死亡率0.006%(10万人に6人)
35-44歳 死亡率0.017%(10万人に17人)
45-54歳 死亡率0.05%(10万人に50人)
55-64歳 死亡率0.12%(10万人に116人)
65-74歳 死亡率0.27%(10万人に270人)
75-84歳 死亡率0.68%(10万人に684人)
85歳以上 死亡率1.9%(10万人に1896人)
人口の6,7割感染で集団免疫になり終息と仮定しての死亡率なので、感染した場合に死ぬ確率(致死率)はこれを1.5倍したくらいの数字になる。
https://www.bloomberg.com/opinion/articles/2020-05-07/comparing-coronavirus-deaths-by-age-with-flu-driving-fatalities
アメリカの新型コロナ死者のデータを使って、他の死亡要因とのリスク比較を出している記事を見つけたので紹介します。アメリカではこの記事の時点で新型コロナで7万人くらい亡くなっていて、その7万人に占める各年齢群の割合がわかっている。
最終的なアメリカ全体の新型コロナ死亡数はまだわからないけど、いくつかのシナリオごとに各年齢群が何人亡くなるか試算できるので、その数字を使えば他の死亡要因とのリスク比較ができる。
この記事でのアメリカ全体の最終的な新型コロナ死亡数のシナリオは、10万人、20万人、75万人の3つ。
★新型コロナの最終的な死亡数の考察
欧米でのいくつかの抗体検査の結果から、高齢化の進んだ先進国での新型コロナの致死率は0.1-0.2%程度ではないかと言われている。アメリカ人口3.3億人、人口の7割感染で集団免疫獲得となり新型コロナ終息、致死率0.1-0.2%と仮定して計算すると、アメリカの最終的な新型コロナ死者は23-46万人になる。記事の死亡数シナリオだと、10万人は大幅に超える可能性が高い、20万人は楽観寄りの数字、75万人はだいぶ可能性が低い悲観的な数字だと考えられる。
アメリカのデータだとアフリカ系とヒスパニック系の死亡率が高いので、日本だと全体の死亡率はアメリカほど高くならないかもしれない。それに加えて東アジアは欧米に比べるとなぜか感染が広がりにくく死者が少ない感じなので、地域的に過去に類似のウイルスが流行っていて部分的に免疫を獲得済みな可能性もある(アジアかぜのケースを見るとそういった可能性はある)。
◆季節性インフルエンザ+肺炎との比較
インフルエンザ+肺炎の数字は人口10万人あたりのアメリカの年齢群別死亡率。その年齢群が10万人いた場合に、何人がインフルエンザ+肺炎で亡くなったか。全員がインフルエンザに感染したわけではない。
新型コロナの数字は各シナリオごとの、インフルエンザ+肺炎と比較しての相対的な死亡リスク。1ならインフルエンザ+肺炎と同じ死亡リスク。1より大きければインフルエンザ+肺炎よりも死亡リスクが高い、1より小さければ死亡リスクが低い。
2018年のインフルエンザ+肺炎と新型コロナの死亡リスクを比較すると、アメリカの新型コロナ死者数75万人の悲観シナリオであっても、子供の新型コロナ死亡リスクはインフルエンザ+肺炎の半分~4分の1。一方で大人は死者数20万人の楽観寄りのシナリオであっても、インフルエンザ+肺炎よりも新型コロナのほうが死亡リスクは3~4倍高い。ただインフルエンザに感染するのは人口の1,2割なので、大人が感染した場合に死ぬ確率だと、インフルエンザと新型コロナで近い数字になりそう。(つまり大人にとって新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスよりも怖いのは、毒性の強さによるものではなくて、感染しやすさによるものだと言える)
季節性インフルエンザ(+それに伴う肺炎)と新型コロナではどっちが怖いか?という問いに対しては、子供にとっては季節性インフルエンザのほうが怖い、大人にとっては新型コロナのほうが怖いという答えになるだろう。
アメリカと日本とでインフルエンザ+肺炎の死亡率はあまり変わらないと思う。年ごと地域ごとの流行度合いによってインフルエンザの死亡数は大きく変わるし、超過死亡の概念があるので、直接比較が難しい。5年平均のインフルエンザ死亡率のデータだと日本とアメリカは同じくらい。従って大雑把に言えば、日本とアメリカの新型コロナ死亡リスクが同じくらいなら、日本でのインフルエンザ+肺炎と新型コロナの相対リスクも同じくらいになると考えられる。
◆交通事故との比較
アメリカの人口は日本の3倍弱で、アメリカの交通事故死者数は日本の約10倍。交通事故のリスクはアメリカのほうがずっと高い。それを考慮しても、日本で子供が新型コロナで死ぬリスクは交通事故より大幅に低いだろう。若い世代は交通事故と同じくらい。中高年は交通事故よりも新型コロナで死ぬリスクのほうが高く、年齢が上がるにつれて交通事故に比べての死亡リスクは大幅に上がっていく。子供の命を守るという観点では、新型コロナ対策で学校を閉めるよりも、自動車の使用を禁止するほうが高い効果が期待できる(リスク評価をせずコストを度外視した政策への皮肉です)。
★新型コロナの死亡リスク
年齢群別の新型コロナの死亡率を算出してみる。悲観寄りにアメリカ新型コロナ40万人死亡と仮定して、
0歳 死亡率0.001%(10万人に1人)
1-4歳 死亡率0.0001%(100万人に1人)
5-14歳 死亡率0.0001%(100万人に1人)
15-24歳 死亡率0.001%(10万人に1人)
25-34歳 死亡率0.006%(10万人に6人)
35-44歳 死亡率0.017%(10万人に17人)
45-54歳 死亡率0.05%(10万人に50人)
55-64歳 死亡率0.12%(10万人に116人)
65-74歳 死亡率0.27%(10万人に270人)
75-84歳 死亡率0.68%(10万人に684人)
85歳以上 死亡率1.9%(10万人に1896人)
人口の6,7割感染で集団免疫になり終息と仮定しての死亡率なので、感染した場合に死ぬ確率(致死率)はこれを1.5倍したくらいの数字になる。
登録:
投稿 (Atom)