2020年07月09日 10時00分 公開
走る哲学者・為末大が東京五輪に独自提言!「五輪の代表は一度取り消すべき」
6月27日の「サワコの朝」のゲストは、世界陸上400mハードル銅メダリストの為末大さん。シドニー、アテネ、北京と3大会連続でオリンピックに出場。世界陸上でのタイムは日本記録として未だ破られておらず、陸上界のレジェンドとしてその名を残しています。一方で、 “走る哲学者”とも呼ばれ、YouTube「為末大学」では、アスリートに向けた論理的なアドバイスやスポーツ界への提言を日々発信している為末さん。1年後に延期が決まった東京五輪はどうなるのか…為末さんの視点でその行方を語っていただきました。
100m走のスターから一転、ハードルに転向した理由
小学生の頃から走るのが速く、陸上部のヒーローだった為末さん。中学校へ上がっても100m走のスターとして活躍。200m走では、中学記録を叩き出した"チャンピオン"として、その名を轟かせました。既にこの頃には"オリンピックに出たい"という気持ちが芽生えていたそうで「僕は、カール・ルイスになるんだって思っていました」と振り返ると「カール・ルイスみたいに角刈り」と髪型を真似ていたと言い、上が平らなこの髪型は"離着陸しやすそう"という理由から、友達に"飛行場"と呼ばれていたと話して笑いを起こしました。しかし、そこから一転。高校3年生の時にハードルに種目転向した為末さん。
「決定的だったのは、海外のレースに出た時に、もう100mとか本当に日本の選手は皆けちょんけちょんにされて、予選で全部敗退って感じだったんですけど。ハードルだけは、すっごい体の大きい選手たちがハードルの前でつまずいたりとか、苦しそうに跳んでいるのを見ていて、あっ、この世界はもしかしたらなんかいけるんじゃないかっていう気分になって。で、実際に跳んでみたらそれなりに跳べるしっていうので、だんだん自分の頭がハードルになっていった」と、理由を説明。2つの種目では、全く走り方が異なることから"後戻りできない"ことで悩んだものの「ハードルって、跳んでる時の姿が目につくじゃないですか。でも、実際には飛び上がる瞬間のハードルとの距離でほとんどが決まるんです。95%くらいかな。あとは、アフター。ピタッとハマってると綺麗に飛べて。ここを合わせるのが多分上手だったと思う」と言うと、"好きな種目"ではなく"勝てる種目"を選んだと語りました。
来夏への延期と選手たち...為末さんが考えるコロナ禍での東京五輪
現役時代は、走り方を緻密に分析し"走る哲学者"と呼ばれた為末さん。引退後は、その頭脳を生かして著書を執筆。開設したYouTube「為末大学」では、アスリートに向けた論理的アドバイスやスポーツ界への提言を発信し、注目を集めています。そんな為末さんは、新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京五輪について、「自分は現役時代にオリンピックが延期になるという経験をしていないから、選手にはアドバイスにもならない」と前置きした上で、「準備してきたけど、ある日いきなり怪我でストップ。いつ治るかわからない状況に似ている」と解説。続けて「アスリートの身体作りは料理の段取りに似ていて、ご飯を6時に食べると決めたら逆算して準備を始めるのと一緒」と話し「(食事の時間)がズレるって凄い辛いですよね。冷めちゃう!あと仕上げ位のタイミングですよ3月4月って。でも、(東京五輪が)なくなったので発揮する場所がない」と、選手たちの現況を"ほぼ完成状態で冷蔵庫に入るしかなくなった料理"に例え説明しました。
しかし、その"ピーク状態の身体"を維持するのは困難だそうで、「選手たちは、リセットしたって言っています。(これまでの時間を)チャラにしたに近い」と話すと「五輪の代表権を一度取り消すべき」と提言。「"あいつ、去年選ばれたから今年出てるだけでしょ"っていう声を消すためには、ゼロベースにした方が選手たちが気持ちよく出られる。もう一つ、代表が決まっていると競技全体に対しての空気も良くないかなと。一応チャンスはある。ただし狭き門だけどねっていうのを、どの競技も基準を設けたらいい」など、4つに渡る"為末論"を様々なアスリートに向け発信しました。
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「サワコの朝」はインタビューの達人・阿川佐和子が土曜の朝に素敵なゲストを迎えて送るトーク番組。MBS/TBS系で毎週土曜あさ7時30分から放送中!
次回、7月11日のゲストは渡辺満里奈さん。ネプチューン・名倉潤さんとの出会いから結婚までの秘蔵エピソードや、昨年、"うつ"の症状から2か月の全面休養を決めた名倉さんを支えた日々を振り返り、妻としての本音をサワコに語ります。
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