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水害、地震、台風…専門家が指摘「コロナ禍の非常袋に入れておきたいもの」とは? 

大平誠,野村昌二AERA
コロナ禍の災害対策では、密にならない避難所が求められる。6月半ば、滋賀県湖南市では段ボールで間仕切りをつくる訓練も行われていた (c)朝日新聞社

コロナ禍の災害対策では、密にならない避難所が求められる。6月半ば、滋賀県湖南市では段ボールで間仕切りをつくる訓練も行われていた (c)朝日新聞社

新型コロナ対策で非常持ち出し袋に加えたいもの(AERA 2020年7月13日号より)

新型コロナ対策で非常持ち出し袋に加えたいもの(AERA 2020年7月13日号より)

 長期開設を免れたコロナ禍の避難所運営だったが、感染拡大が終息を迎えない限り、試行錯誤を繰り返しながらの綱渡り対策は続く。『水害列島』(文春新書)などの著書で知られる水害対策のエキスパートで、リバーフロント研究所技術審議役の土屋信行さんは、こう語る。

「避難もコロナ対策もリスクマネジメントで、どちらがより高いリスクを持っているかによって行動の基準は変わります。避難所でコロナに感染する危険性と、外水氾濫や高潮が起こっている状態を天秤にかければ、目前急迫の危機は水にのまれて命を失うことだから、避難をしない選択肢はない。しかし、従来の避難所は『3密』の典型のような施設ですから、避難所もそれを見越してソーシャルディスタンスを取れる『新生活様式』を備えなければなりません」

 水害からの避難を呼びかける責任者も、コロナ対策の責任者も同じ人格の自治体の長だ。つまり市町村長は、両方とも遺漏なく手を打たなくてはならない。

■ハザードマップを確認

 では実際、コロナ禍の避難所運営の課題や問題点は奈辺にあるのか。東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター客員教授の松尾一郎さん(防災行動学)は、コロナの感染リスクを考えた場合、今のままでは避難所は不足すると指摘する。

「元々、日本の避難所はいわゆる『3密』で、体育館のような空調設備も十分整っていないところに数百人が密集し、1人当たりのスペースはわずか畳1畳分、1.6平方メートル程度でした。しかし、感染防止のためソーシャルディスタンスを保つには、1人当たり4平方メートル近くが求められます。つまり、避難所の収容能力は従来より3倍近く必要となり、このままでは避難所が不足するのは目に見えています」

 避難所不足を補い、3密を防ぐため松尾さんが提唱するのが、複数の場所への「分散避難」だ。親戚や知人宅に身を寄せる「縁故避難」、車中泊やテントなどへの「青空避難」、自宅にとどまる「在宅避難」などがある。

 松尾さんは言う。

「過去の災害でも縁故避難は多く、感染防止対策を徹底して一時的に縁故避難もあり得ることを考えておくべきです。車中泊で青空避難をする場合は、雨で道路が冠水し車が動けなくなる前に避難することやエコノミークラス症候群への備えが必要です。また、感染症を考慮すれば在宅避難も優位です」


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