決壊・氾濫は「重要水防箇所」 球磨川12カ所の危険性、事前に指摘
熊本県に降った記録的大雨によって、球磨川で決壊や氾濫が確認された計12カ所は、いずれも洪水の危険性が高い「重要水防箇所」とみられることが5日、国土交通省九州地方整備局への取材で分かった。決壊した区域は、堤防の漏水などに注意が必要と指摘されていた。
九地整によると、5日正午現在、球磨川の国管理区間では決壊が1カ所、氾濫が11カ所確認され、うち半数が上流部だった。12カ所の内訳は、水害の危険性が極めて高い「Aランク」が1カ所、堤防の高さは想定水位を上回っているものの十分な余裕がない「Bランク」が6カ所、堤防に壊れた跡などがみられる「要注意」が5カ所だった。
熊本県人吉市中神町で約20メートルにわたり決壊した堤防は、蛇行していた川の形を整備した箇所だが、地質の弱さや漏水の恐れが指摘されており、「要注意」に指定されていた。
球磨川の国管理区間は100・3キロに上り、このうちAランクは9・3キロ、Bランクは18・8キロ、要注意は23・2キロを占める。一方、堤防の整備率は昨年3月現在、76%にとどまる。
河川は原則として、下流から上流に向かって整備される。九地整の担当者は「整備を進めるには、地域の理解が必要な上に予算にも限りがある。今回の雨は降り方が激しく、現段階の川の流下能力を超えていた。今後は現地調査を行い、詳細な分析を進めたい」と語った。 (御厨尚陽)