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外れスキル《木の実マスター》 〜スキルの実(食べたら死ぬ)を無限に食べられるようになった件について〜 作者:はにゅう@『死者蘇生』発売中!

第三章

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反抗


「ただいまー!」


 家の中でレーナの声が大きく反響する。

 部屋がいくつもある巨大な家だが、それでも全体に広がるほどの大声だった。


 当然それはライトの耳にも届いている。

 そして、ライトが出迎えようと部屋の扉を開けたところで。


 ゴツンと、飛び込んできたレーナの頭にぶつかった。


「いってて……」

「いたた……」


 おでこを押さえてその場にうずくまるライトとレーナ。

 レーナはともかく、ライトはすぐに起き上がれそうにない。


 その様子を、アイラが心配そうに眺めている。


「だ、大丈夫ですか……お二人とも」

「わ、私は大丈夫」

「俺も大丈夫……のはず」


 ライトは何とか立ち上がると、困った顔で袋を持っているアイラを見た。


「アイラ、その袋は?」

「あ、そうでした。これ、良かったら貰ってください」

「え? 俺に?」


 アイラから受け取った袋の中を見ると。

 そこには一つの大きな木の実。

 赤く、そして丸い。

 初めて見る種類である。


「珍しい木の実だな。まさか俺のために買ってきてくれたのか?」

「そうだよー。多分そのまま食べれると思う」

「……ありがとう。嬉しいよ」


 ライトは、二人に感謝の気持ちを伝える。

 プレゼントなんて貰ったのは久しぶりだ。


 それがただ単純に嬉しい。

 おでこに感じている痛みなどすぐに消えてしまうほどである。


「そういえば、ライト。調子はもう良くなったの?」

「うん。ちょっと休んだらまあまあ良くなったよ。明日には治ってるくらいかな」

「よ、よかったー……心配してたんだからね?」

「ごめんごめん」


 レーナとアイラはホッと胸をなでおろす。

 ライトの体に関しては、到底自分たちだけで解決できる問題ではない。

 恐らく医者でも太刀打ちできないほどだろう。


 もし治りそうになかったらと考えていたが、どうやら杞憂に終わったようだ。


「できれば明日にでも済ませておきたいことがあるんだけど、ライトは明日動けそう?」

「ん? 多分大丈夫だと思うけど……何かあるのか?」


「レ、レーナさん。もしかして……」

「うん。これ以上聖女さんに文句を言われる前にやっとかないと、チャンスがなくなっちゃいそうだから」


 察しの良いアイラに伝えたあと。

 コホンと、レーナはライトの方に向き直す。


「二人が冒険者登録してくれたら、正式にパーティーとして申請できるはず」


 レーナはここで初めて。

 聖女に対して反抗することになる。



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