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外れスキル《木の実マスター》 〜スキルの実(食べたら死ぬ)を無限に食べられるようになった件について〜 作者:はにゅう@『死者蘇生』発売中!

第三章

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アクセサリー


「アイラちゃん、落ち着いた?」

「は、はい……情けない姿を見せてすみません」


 レーナの胸を借りて十分。

 アイラは、ようやく落ち着いたように顔を上げる。

 どうやら涙は止まったようだ。


 泣くことに慣れていないのか、少しだけ恥ずかしそうにしていた。


「アイラちゃんは何も悪くないからね。だから気にしないで?」

「……分かりました」

「えっと……気分転換に寄り道して帰ろうよ! ほら、ライトにお土産買ってあげないといけないし」


 レーナは、空気を変えようと一つアイラに提案する。

 物で釣るというわけではないが、機嫌を直してもらうには一番手っ取り早い方法だ。


 実際、ライトにもお土産を買って帰らなくてはならない。

 アイラは迷うことなくコクリと頷いた。


「近くに商店街があるから、そこに行ってみようか。離れちゃダメだよ?」

「……はい」


 アイラの手を取り、レーナは人込みの中に入っていく。

 この商店街なら何度も来たことがあるため、少なくとも迷子になることはないだろう。

 様々な店が並んでいるということもあり、アイラが気に入る物も何個か売っているはずだ。


「ライトには適当にお菓子とかでいいよね? あ、木の実とか買ってあげたら喜ぶかな?」

「クス、それいいかもしれません」


 レーナの言葉に、アイラがふと笑みを見せる。

 特に笑わせるつもりで言ったわけではないが、結果オーライとして考えておくべきだろう。

 ノリで決めてしまったため、かなり安い土産になってしまうが仕方がない。


 レーナは並べられている木の実を適当に手に持つ。


「あ、これなんてどう?」

「いいと思います。確か、ライトさんが育てていた中にこの木の実はなかったはずですし」


 二人が選んだのは、赤色で、大きく、丸い特徴の木の実。

 あまり見かけない種類であるが、直感的に目を惹かれるものがあった。


「すみませーん、これください」

「あい。五十ゴールドね」


 五十ゴールド。

 木の実にしては少々値が張る部類だったが、それでもレーナからしたら僅かな出費だ。

 しっかりと袋に入れ、あとはライトのために持って帰るだけである。 


「……ちょっと早く決め過ぎたかな?」

「そ、そうかもしれませんね」

「一応他の店も見てみよっか。あそことかどう?」


 レーナが指さしたのは、いくつかアクセサリーが並べられている出店。

 看板には高級品と大きく書かれていた。


 書かれていた――が、それにしてはあまりにもボロボロな風貌だ。

 出店を支えている柱は完全に錆びており、売っている男の服もどこか汚い。


 いかにも偽物が売っていそうな外見だった。

 そのせいか、周りには客が一人も寄っていない。


「すみません……このアクセサリーって本物ですか?」

「当たり前だろ? 嬢ちゃん。どれもかなり高級なやつだぜ?」


 一応ということで話しかけてみるも、やはり胡散臭い反応。

 もはや偽物だと自白しているようなものである。


「ごめん、アイラちゃん。他のとこに――」

「レーナさん。これ本物ですよ」

「え?」

「埋め込まれているのがダイヤモンドです。そう考えたらちょっとだけ安いですね」


 レーナは振り返ろうとしたところで足を止める。

 アイラが本物だというなら、それは絶対に本物だ。

 あまりにも予想外の結果に、驚くリアクションも出てこない。


「……へえ、そっちの嬢ちゃんは見る目あるじゃねえか」


「う、疑ってごめんなさい……それじゃあこれください」

「レ、レーナさん!? 本物にしては安いというだけで、アクセサリーとしては高いと思います……!」

「あ、二個お願いします」

「え……?」


 まいどあり――と、男はレーナにダイヤモンドのアクセサリーを手渡す。

 とても宝石を買う時のやり取りではない。

 財布の中からは、数え切れないほどの紙幣が見えていた。


「はい、一個はアイラちゃんのやつ」

「そ、そんな。私の分は別に……どうして二個も」


 だって――と、レーナは付け加える。


「これでお揃いでしょ?」



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