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外れスキル《木の実マスター》 〜スキルの実(食べたら死ぬ)を無限に食べられるようになった件について〜 作者:はにゅう@『死者蘇生』発売中!

第三章

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報告


 翌日。

 邪龍から何とか逃げ切ったレーナは、アイラと共にギルドにいた。


 まだ午前中であるが、強制的に呼び出された形である。

 本来ならアイラまで連れてくる予定はなかったが、ギルドから二人以上で来いと言われてしまったため仕方がない。


「ライト、大丈夫かな……」

「一気にスキルの実を何個も食べてしまったので、気分が悪くなっちゃったみたいです。多分すぐに治ると思いますが……」

「アイラちゃんもごめんね。無理やり連れてきちゃって」

「いえいえ。ライトさんを動かすわけにはいかなかったので」


 不意にライトを心配するレーナ。

 ライトは今家で休んでいる最中だ。


 ギルドに呼び出された時、体調不良にもかかわらず同行しようとしていたため、アイラが代わりに名乗りを上げた次第である。

 申し訳なさそうにするレーナに、アイラは当たり前のことだと伝えていた。


「レーナ殿、お待たせいたしました。どうぞこちらへ」

「あ、はい」


 そんな二人の元に、小太りの男が空いた席を指さしながら近付いてくる。

 その手には何枚もの紙が持たれており、男の真剣さが伝わってきた。

 やはりギルドも邪龍のことを警戒しているらしい。


 わざわざ邪龍が国に攻めてくるということはないだろうが、無視することは危険だと判断したようだ。


「突然呼び出してしまってすみませんね。実は数年前、邪龍にいくつか村が滅ぼされたという事例がありまして。対応せざるを得ないのです」

「いえっ、邪龍を何とかしたいのは私たちも一緒ですから!」

「協力していただきありがとうございます。さて、一つ聞きたいことがあるのですが」


 そう言って、小太りの男は話を始める。

 かなり慣れたような口ぶりだ。

 この件以外でも、日頃から情報収集を行っているのだろうか。


 ついついそんなことが頭によぎってしまう。


「レーナさんの話ですと、邪龍は廃館にいたアンデッドによって呼び出されたとありますが……」

「はい、そうです。確かにあのアンデッドは何かを呼ぶようなことをしていました。そのすぐ後に邪龍が現れたので、間違いはないと思います」

「なるほど……初めて聞くようなケースですね。そのアンデッドが特殊だったのか、それとも偶然なのか」


「アイラちゃんが見てくれてたなら分かりそうだけど……」

「間違いないです。あのアンデッドが呼び出していました」


 レーナはアイラに目を向ける。

 それに対してアイラは、自信を持ってアンデッドによるものだと言い切っていた。


 しかし、小太りの男からしたらアイラはただの女の子だ。

 情報の一部程度としか認識されていない。


「うーむ、もしこれが本当ならかなり面白いですね。応用すれば、邪龍の位置を正確に特定することも不可能ではないかもしれません」

「え? 廃館にはもういないんですか?」

「そうですね。調査用の鳥を向かわせましたが、邪龍の姿は確認されませんでした」


 レーナとアイラは目を見合わせる。

 まだ一日も経過していないが、邪龍は目覚めてどこかにいってしまったらしい。


 確かにライトが初めて使うスキルだったとはいえど、それでも予想の何倍も早かった。

 もしかすると、三人が逃げ出した直後に目覚めていたのかもしれない。

 そう考えるだけで嫌な汗が出てくる。


「とにかく、これは研究のしがいがありそうですな。少し先になるかもしれませんが、結果が出たらレーナ殿に報告できるでしょう」

「は、はい……」



 その後何分か言葉を交わすと、小太りの男はそそくさと部屋を出ることになった。

 終わったと息をつく暇もない。

 恐らく研究に向かっているのだろうが、素人からは考えられないほどの熱意だ。


「……もう帰っていいのかな」

「多分……」


 一方。

 置いてけぼりにされた二人は、一分ほどしてから気まずそうに立ち上がる。


「意外と早く終わったね。早すぎる気もするけど」

「そうですね」

「……時間も余ったし、ライトにお土産でも買って帰ろっか」

「あ、それ凄くいいと思います!」


 一仕事(?)終えた二人はギルドの出口に向かう。

 二人の頭には、今休んでいるライトのことがチラついていた。

 ライトには早く回復してもらなわなければいけない。


 効きそうな薬を買っておけば、きっとすぐに元気になってくれるはずだ。


「あら? レーナさん。奇遇ですね」

「あっ、聖女さん……」


 そんな二人の前に現れたのは。


 久しぶりに見る顔――聖女だった。



応援、本当にありがとうございます!

聖女の影が……


『面白そう』『次も読みたい』


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