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外れスキル《木の実マスター》 〜スキルの実(食べたら死ぬ)を無限に食べられるようになった件について〜 作者:はにゅう@『死者蘇生』発売中!

第三章

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依頼


「おはよー! 朝だよ! すごい朝だよ――って、もう起きてる!?」

「おはよう、レーナ」

「おはようございます。レーナさん」


 ドカンと扉を勢いよく開けて飛び込んできたレーナを、ライトとアイラは何事もなかったかのように迎え入れる。

 レーナとしては寝起きにサプライズを仕掛けたかったのだろうが、その計画は簡単に崩れ去ってしまった。


 元農民であるライトとアイラの朝は早い。

 数十分前には既に起床しており、今は外の景色を眺めている。


「二人とも早起きなんだね……」

「まあな。ずっとこういう生活だったし」


 朝から出鼻をくじかれたレーナは、少々気を落としながらライトの隣に立つ。


「それより凄いな、この家。いくらくらいしたんだ?」

「うーん……あんまり覚えてない。普段は忙しくてお金を使う機会がないから、家を買うくらいしか思い当たらなかったんだー」

「そうなのか。まあ暇な時間なんてあんまりなさそうだからな……」

「そうそう! 今日だってまた一つ依頼が入ってるし――あ!」


 ライトに愚痴をこぼしている最中。

 レーナは何かを思い付いたように声を上げる。

 嫌な予感というわけではないが、そこでライトにも謎の緊張感が走った。


 一体何を言われるのだろうか。

 ライトはレーナから出てくる言葉を待つ。


「ねえ、ライト。私たち仲間になったんだよね?」

「一応……そうだな」

「なら、依頼に付いてきてくれると嬉しいなー……なんて」


 そう言い切ると、レーナはチラリとライトの顔色を確認した。

 仲間になってから一日未満。

 それも、あと数時間後には出発しなくてはならないという依頼。


 かなり急な頼み事であるため、ライトが頷く可能性は低い。

 やっぱり言わなかった方が良かったかも――と考えていると。


「なんだそんなことか。仲間なんだしもちろん付いて行くよ」

「――っ! 流石ライトだよ! 前の仲間なんて全然付いてきてくれなかったのに!」


 ライトは当然と言わんばかりに了承の意を伝える。

 むしろ仲間であれば断る方が難しいと思えたが、妙に喜んでいるレーナを見るとそうでもないらしい。

 少なくとも、前の仲間は付いて行かなかったようだ。


 冒険者という職業の闇が見えたような気がした。


「肝心の依頼内容は?」

「えっと……廃館に発生したアンデッドの処理だって。数はそこそこ多いみたい」

「アンデッドか……アイラは危ないかもな」


 依頼の内容は特に無理難題というわけではない。

 しかし、ここで問題となったのはアイラをどうするかだ。


 大勢のアンデッドを相手に、はたしてアイラを守り切れるのか。

 今回はレーナがいるため、確率としては守れる確率の方が高いだろう。


 それでも百パーセント大丈夫かと言われたら素直に頷けなかった。

 そう考えると、アイラはここで待機してもらっていた方がいいかもしれない。


「アイラ、お前は――」

「ラ、ライトさん! 私は大丈夫です!」


 かなり食い気味のタイミングでアイラから返ってきた拒否反応。

 この前と同じような反応だ。


 アンデッドの中に行くよりも、一人で残ることの方がアイラにとって嫌らしい。

 ライトは頭を悩ませる。


「ねえ、ライト。アイラちゃんも連れて行ったらダメ?」

「ダメというか……危険じゃないか?」


「私が責任持って守るから、ね?」

「はい。だから心配しないでください、ライトさん」


 レーナは一歩アイラに近付き、アイラはギュッとレーナのスカートを掴む。

 一瞬で二対一の構図ができてしまった。

 こうなればライトがもう何も言うことはない。


「……レーナが言うなら従うよ。一応レーナがリーダーのはずだし」

「え? 私、リーダーだったの?」


 レーナはアイラに顔を向ける。

 当然アイラも異論なしと頷いていた。


 多少困惑はしたものの、レーナは喜んでそれを受け入れる。

 それじゃあ――と、気を取り直して。

 三人は廃館に出向くことになった。



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