結成
「な、仲間?」
「うん。今の仲間とは上手くいってなくて、解散するべきだと思ってたから」
レーナから出てきた驚きの言葉。
仲間と上手くいっていないという情報は先ほど喫茶店で聞いていたが、ここまで急な話だとは想像していなかった。
そして、ライトがすぐに頷けなかった理由がもう一つ。
「でも、俺たちがレーナの仲間になったら大変なことになるんじゃないか? 特にあの聖女とか、めちゃくちゃ文句を言ってきそうだけど」
「そんなの気にしなくていいよ。私の仲間なのに、他人が文句を言ってくる方がおかしいんだから」
ライトの心配は、レーナによってバッサリと解決される。
レーナの言っていることに何もおかしいところはない。
ただ、そのような言葉がレーナから出てくることに驚いていた。
一か月前のレーナであれば、これほど気の強いセリフは言えなかったはずだ。
冒険者生活の中で、レーナの心にも変化があったらしい。
それが、幼馴染として少しだけ嬉しく感じた。
「それに、ライトはオーガを倒したって言って換金したんだよね?」
「まあ……そうだな」
「オーガを倒した新人冒険者がいるってなったら、他のチームも黙ってないと思うよ。ライトに仲間になってもらおうとする冒険者も増えるはず」
「……ライトさん。そう考えたら、レーナさんと仲間になっておくことでその人たちを回避できそうです。レーナさんの仲間になっているのに、わざわざ勧誘してくる人なんていないでしょうから」
「そうそう! それが言いたかったんだよ、アイラちゃん!」
話の早いアイラを、レーナはよしよしと褒める。
アイラはそれを恥ずかしそうにしながらも、しっかりと受け入れていた。
最初は気まずそうにしていたこの二人も、もうすっかり仲良くなっているようだ。
何なら、ライト以上にレーナへ心を開いているのではないかとさえ思えるほど。
それを見て、ライトの中にあった迷いはほとんどなくなった。
「さっきの話、俺は全然構わないよ」
「ほ、ほんと!?」
「うん。アイラはどうだ?」
「私は……その、ライトさんに付いて行きます」
決まりか――とライトが呟き。
決まりだね――とレーナが笑う。
「二人ともありがとう! この街に来てずっと寂しかったから……すごく嬉しい」
「こちらこそ。アイラも嬉しいみたいだし」
「ラ、ライトさん……!?」
珍しくアイラが大きめなリアクションを見せる。
違います違いますと慌てて弁解しようとしていたが。
ニコニコとしたレーナに見つめられて、段々と声が小さくなっていき――。
最後には顔を隠して何も言えなくなっていた。
「よし、とりあえず今日は私の家に泊まっていいよ」
「助かるよ」
「うん! 気にしなくていいからね! アイラちゃん、ほら、手を繋ご?」
「う、うぅ……」
アイラは少し顔を赤くしながらレーナの手を握る。
ここまで表情豊かなアイラは見たことがない。
色んな意味で、今日は驚きが多い一日だった。
応援、本当にありがとうございます!
無事に三人が仲間になりました!
ここで二章は区切りになりそうです。
明日からは三章に入ろうと思います!
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