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コラム
パソコンから出るこの音は異常?正常?故障の前兆?第2回「HDDの音」(4回連載)
2014年6月2日 公開 / 2018年10月19日更新
HDDの仕組みと音
●今回のコラムは パソコンと音 「HDDの音について」です。
●HDD(Hard Disk Drive)とはハードディスクドライブのこと。パソコンの中でも最も重要な部分で、ここにOS(基本ソフト)を始めアプリケーションやデータなどすべてが格納されています。ですからこのHDDが無ければOSは起動することはなくパソコンはタダのオブジェになってしまいます。
●HDDは機械です。構造としてはプラッタという回転盤があって、その盤面には磁性体がコーティングしてあり、ヘッドアームの先端にある磁気ヘッドで磁気的に円周状にデータを記録したり読み出したりします。プラッタは電磁モータによって回転します。そのためHDDからは回転音やアームの駆動音など、相応のメカニカルな音が発生します。
正常なHDDの通常の作動音
●通常の稼働状態で最近のHDDは余り大きな音を出すことはありません。以前のHDDはガリガリ、ゴリゴリ、ガーガーガーなど騒音とも思えるレベルのかなりの大きさの音を発していましたが、技術の進歩で現在では耳を澄まさないと聞こえないレベルにまで清音化されています。それでも現在の清音化されたパソコンの中にあっては、ファンと共に音の主要な発生源になっています。
●電源を入れるとまず、HDDはプラッタを回すためのモーターが高速回転しますのでキューンという起動音が出ます。そして直後にデータを読み取り始めますので、ヘッドアームが忙しく動く音が出ます。この動作音はHDDメーカーによって特色があり、音だけでどこのメーカー製かがわかることもあります。
●起動時にOSを読み込み始めると、ヘッドの作動音であるカリカリカリとかゴロゴロゴロとかグググググという音が続きます。OSが起動してしまうと一旦この音は止みます。続いてアプリケーションを起動するとデータの読み込みのため、また同じ音が聞こえてきます。
●パソコンを終了させる時は電源が切れると同時にHDDのモーター回転が止まりますのでキューンという音で終了するPCもあります。この音を異常に感じる方も多いようですが異常ではありません。
●パソコンによってはHDDの型式やロットによって、状態が正常でもカリカリという音が大きく聞こえるものもあります。ですから音がするから直ちに故障とか劣化していると早合点しないようにして下さい。しかし、劣化で音が大きくなる傾向というのはありますので普段と明らかに違うと感じた場合は、SMART値などで診断をした方が良いかもしれません。
HDDの異常発生初期段階の音
●ここまでのプロセスは通常の正常稼働時のHDD作動音を表現してみましたが、では異常時の音はどうなるのでしょうか?
●まず起動時です。
●電源を入れてモーターの起動音がした後に、ガキッとかカコンとかカチャカチャとか音がする場合は、HDDに何らかの異常が出ていると思われます。ヘッドがおかしくなっている、不良クラスタが発生している・・など可能性が高い状態です。
●次に、パソコンが起動している最中に連続したカリカリ音やゴロゴロ音ではなくカコンカコンと一定の規則を伴った音が混ざる場合もバッドセクタ、記録面の傷が発生している可能性大です。大切なデータはこの時点で早急にバックアップしましょう。この時点がユーザー自身でデータバックアップできる最終ラインと判断しても良いでしょう。
●モーターの駆動音がブーンという音のあとにいったん止まる、チューンチューンという断続音が出る場合は回転を制御しているコントローラ、コネクタ類の接続不良が発生している可能性があります。場合によっては供給電源の電圧やメインボード側信号などに問題がある場合も誤作動の原因となって異常動作をし異音が発生することがあります。
●このようにHDD自体の異常が原因ではなく、その他の部分が原因となっている場合は、その部分を改善する必要があります。放置すると問題のないHDDに故障を誘発させることがありますので、直ちに専門家に相談しましょう。
HDDの異常発生、危険領域の音
●では、かなり危ない音とはどんな音でしょうか。
シーッとかシャーーとか何か引き摺るような音が出ている場合、ヘッドが変形などして直接プラッタに接触して当たりながら擦っています。これは磁性体の傷でデータ復旧ができなくなる可能性が高くなりますので、もはやPCの通電自体してはいけません。
●カチャカチャカチャとかカックンカックンと連続して激しく聞こえてきた場合はHDDが死亡する寸前の可能性が高いです。この時点でのデータ退避は途中で停止してしまう確率が高くなります。要はこの音が出始めたHDDはもはや手遅れということですから、無理をすると専門家によるデータ復旧もできない状態になってしまいます。このような音が出ているものを復旧ソフトにかけたり、弄り回すなどの深追いは禁物です。
HDDの異常、最終段階の音は?
●そしてHDD最大の危険な音の状態、それはどんな音かというと!!!
「無音」です。
●つまりHDDは完全に動かなくなってます。死んでます。音がしない場合は最悪の状態です。基盤、モーターの故障、ヘッドのプラッタ張り付きなどが考えられます。更にBIOSで認識できなくなっている場合データはほぼ絶望的といえます。
●しかし、そういうものでもデータを復旧出来た事例がありますが、成功率はとても低くわずかで、復旧出来ても費用はかなりの高額になってしまいますのでそう簡単には喜べない事態です。
●普段からこれらの音を意識してパソコンを使用することによって、未然にトラブルを回避できる指標になりますので、是非ご参考ください。
●最近のスマートフォンやタブレットはHDDではなく内部の半導体(フラッシュメモリ)に格納されるために機械のように駆動部分が無いため基本的に無音です。SSDも機械ではありませんので音に関して言えば対象外です。
●次回は パソコンと音 第3回「ファン類の音について」です。
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4005805
九州インターワークス
「パソコンの安定化対策」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/antei.htm
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