レジ袋有料化 脱使い捨てへの第一歩

2020年7月7日 07時42分

 コンビニを含むすべての小売店で、レジ袋の無料配布が原則としてできなくなった。タダだからもらってしまう。つい使い捨てにしてしまう−。そんな「生活様式」を変えることができるだろうか。
 高度経済成長期後の一九七〇年代ごろ、レジ袋は日本で生まれて世界に広がった。日本では今、国民一人当たり年間四百枚近いレジ袋を“消費”しているという。
 便利、手軽、タダゆえに、多くは使い捨てにされて「ごみ」になる。かつてバングラデシュでは、ポイ捨てされたレジ袋が排水溝に詰まってしまい、首都が水浸しになるような事件も起きた。
 九〇年代に入ると、レジ袋を含む廃棄プラスチックの問題が深刻化、焼却の際に排出される温室効果ガスや、海に流出したものをクジラやウミガメがのみ込んで命を落とす海洋汚染が国際問題になっていく。
 欧州ではそのころからレジ袋有料化の機運が高まった。
 日本政府はかつて、コンビニ業界の強い抵抗もあり、有料化に及び腰だった。一方、スーパーや自治体の反応は国よりも早かった。
二〇〇七年に京都市で始まった、行政と市民団体、そしてスーパーがレジ袋の有料化を支持する協定を結んで削減に取り組む「京都方式」が成果を上げて、全国へ波及した。
 日本チェーンストア協会によると、レジ袋を有料化したスーパーは、全体の四分の一に当たる二千六百店以上に達し、辞退率(今年三月)は六割に近く、十年前の二倍以上になっている。
 京都府亀岡市ではこの三月、市内の小売店でレジ袋の無償提供を「全面禁止」する条例を制定した。観光資源である保津川の環境を守るため、素材によって例外を設けた国よりも一歩踏み込んだ。
 廃プラスチックの年間排出量は約九百万トン。レジ袋やトレー、ペットボトルなど使い捨ての容器包装類が四百万トンを占めている。
 このうちレジ袋は約二十万トンと推定され、全体の2%程度にすぎない。
 しかし、有料化の狙いは「使い捨て文化」からの脱却であり、身近なレジ袋は、その第一歩。「大量生産、大量消費のライフスタイルを見直していくことが重要」と環境省も訴える。
 小さなマイバッグを携行し「いりません」と言うだけで、ほんの少し暮らしが変わる。
 それが海を守ることにもつながっていく。

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