異例の発表となったWSTSの春季予測
世界半導体市場統計(World Semiconductor Trade Statics、WSTS)は20年春季予測を発表した(ニュースリリース)。WSTSは年2回、半導体市場予測を発表している。毎回、加盟会社が集まり会議を開き議論を交わして、予測値を決めてきた。ところが、今回(20年春季予測)に関しては、新型コロナウイルスの感染防止のために会議は開かれなかった。このため、加盟会社の予測値の平均を取るという、異例の対応になった。
その平均値を取った20年の世界半導体市場の予測値は、前年比3.3%増の4259億6600万米ドル(約46兆4730億円、為替レートは1米ドル=109.1円)。21年は前年比6.2%増の4522億5200万米ドル(約49兆3400億円、為替レートは1米ドル=109.1円)である。また、円ベースの日本半導体市場は、20年に前年比4.2%減で約3兆7535億円、21年は同3.3%増の約3兆8787億円になるものと予測された。
WSTSの前回予測(19年秋季予測)では20年は前年比5.9%増としており*2、今回、2.6ポイントの下方修正となった。「新型コロナのパンデミックを背景にグローバルの経済活動が停滞した影響を半導体市場は受けている。先行きは依然不透明であるものの、感染対策として世界各国で導入が進んだ在宅勤務や、巣ごもり需要の増加などライフスタイルの変化による恩恵を受ける分野もあり、それらが下支えすると考えられる」(WSTS日本協議会)。
製品別の市場予測では、メモリーがけん引役となる。19年は前年比32.6%減と大きく落ち込んだ世界メモリー市場は、20年は同15%増と大幅増と予測されている。「20年の半導体市場全体の3.3%の伸びは、メモリーがけん引役となる」(WSTS日本協議会)。