岡田教授は涙を流さんばかりの様子で、「論文がどうだとか、業績がどうだとかよりも、人命がかかっているんです」と訴えていたが、本当の専門家であれば、科学的根拠や裏付けのある話をしてほしいものだ。
岡田教授の「暴露話」を聞いたあと、スタジオは一瞬凍り付いたような雰囲気に包まれ、コメンテーターの一人は「野党、これ国会で追及してください」と訴えかけたが、野党もそこまでは馬鹿でないと思う。
岡田教授にしても、大谷医師にしても、感染症や呼吸器疾患が専門であることは間違いないのであろう。前者は感染研出身であるし、後者は一般向けの書籍もたくさん出している。これまでのテレビ出演の実績も多いようだ。
しかし、これだけ国民の関心が高い問題について、そして皆が不安を高めているなかで、きちんと科学的に説明ができるだけの専門性があるかというと、それは非常に疑わしい。
テレビ局は、いったいどのような基準で専門家を選んでいるのだろうか。おそらくは、これまでも局の番組に出演実績があり、出演交渉を受けてくれて、なおかつ話が分かりやすい人という基準は重要だろう。
専門性については、著名である、本を出している、有名な大学や機関に所属しているなどということも大きいかもしれない。岡田教授にしても、大谷医師にしても、そのいくつかに当てはまる。
しかし、科学者の端くれとして、私はその人の専門性を見るときに、専門の学術論文がどれくらいあるかということがまず重要な基準であると考えている。
有名であるとか、本を出しているとかは基準としては、さほど重要でない。テレビや雑誌で有名な人でも専門家として疑問のある人はいくらでもいる。また、本は著者と出版社がOKであれば出せるが、論文は同じ科学者の査読を経ないと出版されないためハードルや質が高い。