新型コロナ、テレビでよく見る「専門家」に対する大きな疑問と違和感

どこまで信じてよいのだろうか…
原田 隆之 プロフィール

PCR検査の論点

今回話題になったPCR検査については、前回私自身も「現代ビジネス」にその問題点について寄稿した(新型コロナ、全日本人が知っておきたい「大騒動の論点」)。

おおまかに論点をまとめると、以下のとおりである。

・PCR検査は感度が低く偽陰性が出やすいなど精度に問題があるので、検査が万能だという前提で話をするのは危険だ。
・検査で陰性になっても、感染を見落としている危険性があり、十分な感染予防にはならない。
・事前確率(発生率)の低い集団に検査をすると、多くの偽陽性(実際には感染していないのに検査では陽性となる)が出てその人たちが医療機関に殺到すると医療崩壊を招きかねない。

孫氏も、「評判が悪いから」ではなく、こうした科学的知見に基づいて今一度判断していただきたい。

〔PHOTO〕gettyimages
 

専門家の陥穽

私はまた、今回の一連の騒動のなかで、不安に駆られて非合理的な行動を取る人々について、度々警鐘を鳴らしてきた。

そして、不安を煽るメディア、パニックを政争の具にしようとする政治家などの言動についても、感染症の動向と同じく注視する必要があることを主張した。

今回特に着目したいのは、メディアに頻繁に現れる「専門家」についてである。ここで、わざわざカッコ書きにしたのは、専門家かどうかあやしい人々がたくさんいるからである。

たとえば、日本の検査数が少ないことを取り上げ、「検査したくてもできない人がいる」「病院が保健所に検査を依頼しても断られる」ということを広く発信し、市民に不安を与えた張本人は、ワイドショーに頻繁に出演する「専門家」と言われる人々である。