ほぼ日刊イトイ新聞

2020-07-06

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・ベースボールといえば、アメリカの国技のひとつだ。
 世界中で、ベースボールをやっている国は多いけれど、
 発祥の地がアメリカで、いちばん盛んなのがアメリカで、
 いちばん強いのもアメリカである、と考えられている。
 国際的な大会で、他の国のチームが勝つこともある。
 そして、もちろん、いろんな国の出身者が、
 アメリカのベースボールに混ざってプレイしている。
 そういう外国からの選手のなかには、
 日本の野球をプレイしてきた選手たちもいる。
 アメリカのプロフェッショナルベースボールの
 トップの団体は「メジャーリーグ」と名付けられている。

 思いつくままに、アメリカはベースボールがすごい、
 世界一であり、本家本元であり、盛んであり強い、
 と書いているのだけれど、
 このことに異議を唱える人はおそらくいないだろう。
 何十年も経ったら、変わっているかもしれないが、
 アメリカは、それでも最大のベースボール王国だろう。
 決して卑屈になっているわけではないが、
 日本で優勝争いをしているのは、日本のプロ野球であり、
 それは世界的にはローカルな競技会ということになる。
 大リーグのトップクラスとは言えない経験者たちが、
 日本でけっこうな活躍することなどを見ても、
 そのあたりの開きは認めざるを得ない。
 「ベースボール民度」が圧倒的にちがうのだ。

・ここで、話をぷつっと切り替えて…。
 日本の人たちは、ものすごい質量のマンガを読んでいる。
 マンガに大量のお金払っているし時間もつかっている。
 マンガ家は、世界中のどの国と比べてもたくさんいる。
 プロでないけれど、マンガを描く人たちもかなりいる。
 マンガから映画ができたり、商品が生まれたり、
 ときどきは国民の「倫理やビジョン」まで生まれている。
 マンガの発祥については諸説あるかもしれないけれど、
 「マンガ総生産」「マンガ民度」については、
 アメリカのベースボール並みか、それ以上と言えそうだ。
 あらゆるものごとを、マンガで表現できて、
 それを読み取れる大衆のいる国が、日本なのである。
 これほどのマンガ超大国になった日本は、本気で、
 「マンガ立国」を考えるべきではないだろうか。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ぼくも、マンガ家になり損なった表現者であり発想者です。


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