新型コロナウイルスの影響で収入が激減した、あるいは仕事がなくなったけれども、お酒くらいは楽しみたいという方のために特集を組んできた「安旨ウイスキー」ですが、今回でひとまず終わりたいと思います。
今回は、サントリー 角瓶を飲んでみます。
サントリー角瓶は、1937年に「サントリーウヰスキー12年」として発売されたのが最初です。
サントリーの創業者である鳥井信治郎は、本格的なウイスキーを作るため、スコットランドにウイスキー製造を学ぶために留学していた竹鶴政孝を招聘し、山崎蒸溜所を作ってウイスキー製造を始めました。
しかし、当初はスモーキーな香りやあまり熟成が経っておらずにアルコールの刺激が強かったこともあり、評判が悪く、事業は赤字、会社自体の存続の危機にもさらされました。
鳥井は日本人になじんだ香りや味に仕上げるべきだとするのに対して、竹鶴はスコットランドの本格的なウイスキーに徹するべきだとして対立しました。
結局、契約期間を満了して竹鶴は退職、鳥井は竹鶴の薫陶を受けた長男、吉太郎とともに、熟成の進んだ原酒を元に日本人向けのウイスキーのブレンドを求めていきました。
満を持して発売された角瓶は高い評価を得てヒットとなりました。その後第二次世界大戦が勃発すると、元々ウイスキーを嗜んでいた海軍によって角瓶は指定品とされ、大量納品によってウイスキーによる赤字は解消、莫大な利益を得ました。
戦後においても、角瓶はサントリーブランドの特級ウイスキーとして長らく愛されました。
しかし1980年代前半をピークにウイスキーの消費が落ち込み、2000年代後半に入ると1/3にまで減少してしまいました。
そこでサントリーは、角瓶を使ったハイボールを普及させる戦略を採りました。
ハイボール自体は戦後からトリスのハイボール(トリハイ)として飲まれていましたが、これをグラスではなくビールやチューハイのようなジョッキに入れ、ジョッキに氷を多く入れた上で角瓶と炭酸水を1:4の割合で注ぐ専用サーバーを用意、さらにレモンを加えて爽やかさをアップした「角ハイボール」を生み出しました。
居酒屋を中心に拡販を続けた結果、角ハイボールは若者を中心にブームを呼び、角瓶の原酒が足りなくなるほどの大ヒットを呼びました。
これを機にウイスキーを飲む人々も増え、日本におけるウイスキーの事情が大きく好転するきっかけとなりました。
まさに角瓶がウイスキー復活の救世主と言えるでしょう。
さて、角瓶自体は2016年にリニューアルを行い、ボトルがより角張ったデザインになり、ブレンドも改められました。
では、実際に飲んでみます。
味わいはアルコールからの辛みが強く、奥から酸味と渋みが追いかけます。
アルコールがきつく、ストレートで飲むにはハードルが高いと思います。
加水が進むと、ライムの香りが目立つようになり、さっぱりした印象に変わってきます。
味わいは、ストレートで感じられた辛みは少なくなり、甘さが主体となり、後から柑橘系のような酸味が続きます。
加水が進むと苦みが増してきますが、嫌悪感を感じるほどの強さはありません。
居酒屋さんでもロックで注文できますが、ストレートに比べればとっつきやすく香りや味わいが引き立つように思えます。
味わいは甘みが前に出て、酸味と渋みが奥から追いかけるように感じられます。
一方で1:4で割ると、ラムレーズンのような香りが広がります。バニラの甘い香りは消えています。
味わいは、軽い苦みが主体になり、甘さや酸味はあまり感じられません。
角瓶をトゥワイスアップでの無比とは少ないと思いますが、意外といけます。
味わいは、酸味が前に来て奥からビターがやってきます。どちらかと言えばさっぱりした印象になります。
これを1:4で割り、レモン果汁を加えることで、より酸味が鮮明になってさっぱりした印象になります。
居酒屋さんでも角瓶のロックは注文できるところが多いので、試しに飲むのもいいでしょう。
なお私は、一部の酒屋さんで流通する復刻版や、ネットオークションで手に入れた過去の角瓶も飲んでいますが、復刻版はピートからのスモーキーさが明確に出ていて、ストレートでも飲めるほど熟成が進んで居るように感じられますし、1980年代のボトルではシェリー樽原酒からの濃厚なレーズンの香りが強く、甘みもしっかりしたブレンドになっていることを感じられました。
かつてはある程度の収入を得られてから普通に飲めるお酒から、ハイボールで飲まれるカジュアルなボトルに変わったことで、格が下がってしまったことは否めないでしょう。
それでも1000円以下のボトルに比べれば香りや味わいは広く深いことは確かで、サントリーで言えばトリスとは一線を画すところは最低限保っていると思います。
今回は、サントリー 角瓶を飲んでみます。
ウイスキー消費復活の救世主
サントリーの創業者である鳥井信治郎は、本格的なウイスキーを作るため、スコットランドにウイスキー製造を学ぶために留学していた竹鶴政孝を招聘し、山崎蒸溜所を作ってウイスキー製造を始めました。
しかし、当初はスモーキーな香りやあまり熟成が経っておらずにアルコールの刺激が強かったこともあり、評判が悪く、事業は赤字、会社自体の存続の危機にもさらされました。
鳥井は日本人になじんだ香りや味に仕上げるべきだとするのに対して、竹鶴はスコットランドの本格的なウイスキーに徹するべきだとして対立しました。
結局、契約期間を満了して竹鶴は退職、鳥井は竹鶴の薫陶を受けた長男、吉太郎とともに、熟成の進んだ原酒を元に日本人向けのウイスキーのブレンドを求めていきました。
満を持して発売された角瓶は高い評価を得てヒットとなりました。その後第二次世界大戦が勃発すると、元々ウイスキーを嗜んでいた海軍によって角瓶は指定品とされ、大量納品によってウイスキーによる赤字は解消、莫大な利益を得ました。
戦後においても、角瓶はサントリーブランドの特級ウイスキーとして長らく愛されました。
しかし1980年代前半をピークにウイスキーの消費が落ち込み、2000年代後半に入ると1/3にまで減少してしまいました。
そこでサントリーは、角瓶を使ったハイボールを普及させる戦略を採りました。
ハイボール自体は戦後からトリスのハイボール(トリハイ)として飲まれていましたが、これをグラスではなくビールやチューハイのようなジョッキに入れ、ジョッキに氷を多く入れた上で角瓶と炭酸水を1:4の割合で注ぐ専用サーバーを用意、さらにレモンを加えて爽やかさをアップした「角ハイボール」を生み出しました。
居酒屋を中心に拡販を続けた結果、角ハイボールは若者を中心にブームを呼び、角瓶の原酒が足りなくなるほどの大ヒットを呼びました。
これを機にウイスキーを飲む人々も増え、日本におけるウイスキーの事情が大きく好転するきっかけとなりました。
まさに角瓶がウイスキー復活の救世主と言えるでしょう。
さて、角瓶自体は2016年にリニューアルを行い、ボトルがより角張ったデザインになり、ブレンドも改められました。
では、実際に飲んでみます。
ストレート
すぐにアルコールからの刺激が鼻を突きます。その後は青リンゴ、ブドウの爽やかな香りが続き、奥からバニラが感じられます。味わいはアルコールからの辛みが強く、奥から酸味と渋みが追いかけます。
アルコールがきつく、ストレートで飲むにはハードルが高いと思います。
ロック
バニラの甘い香りが先立ち、後からラムレーズンのようなアルコール感もある香り、ライムの爽やかさが続きます。加水が進むと、ライムの香りが目立つようになり、さっぱりした印象に変わってきます。
味わいは、ストレートで感じられた辛みは少なくなり、甘さが主体となり、後から柑橘系のような酸味が続きます。
加水が進むと苦みが増してきますが、嫌悪感を感じるほどの強さはありません。
居酒屋さんでもロックで注文できますが、ストレートに比べればとっつきやすく香りや味わいが引き立つように思えます。
水割り
トゥワイスアップでは、リンゴ、ラムレーズンの香りが一気に広がり、奥からカラメル、バニラの甘い香りも感じられます。味わいは甘みが前に出て、酸味と渋みが奥から追いかけるように感じられます。
一方で1:4で割ると、ラムレーズンのような香りが広がります。バニラの甘い香りは消えています。
味わいは、軽い苦みが主体になり、甘さや酸味はあまり感じられません。
角瓶をトゥワイスアップでの無比とは少ないと思いますが、意外といけます。
ハイボール
1:3で割ると、ブドウとリンゴのフルーティな香りが一気に広がります。バニラはあまり感じられません。味わいは、酸味が前に来て奥からビターがやってきます。どちらかと言えばさっぱりした印象になります。
これを1:4で割り、レモン果汁を加えることで、より酸味が鮮明になってさっぱりした印象になります。
まとめ
今の角瓶のブレンドはハイボール向けに特化したものだという人も居ますが、ロックやトゥワイスアップでもそこそこおいしくいただけます。居酒屋さんでも角瓶のロックは注文できるところが多いので、試しに飲むのもいいでしょう。
なお私は、一部の酒屋さんで流通する復刻版や、ネットオークションで手に入れた過去の角瓶も飲んでいますが、復刻版はピートからのスモーキーさが明確に出ていて、ストレートでも飲めるほど熟成が進んで居るように感じられますし、1980年代のボトルではシェリー樽原酒からの濃厚なレーズンの香りが強く、甘みもしっかりしたブレンドになっていることを感じられました。
かつてはある程度の収入を得られてから普通に飲めるお酒から、ハイボールで飲まれるカジュアルなボトルに変わったことで、格が下がってしまったことは否めないでしょう。
それでも1000円以下のボトルに比べれば香りや味わいは広く深いことは確かで、サントリーで言えばトリスとは一線を画すところは最低限保っていると思います。
- メーカー:サントリー
- 容量:700mL
- アルコール度数:40度
- 香り:ラムレーズン、青リンゴが先立ち、奥からバニラが香る。加水でライムも。
- 味わい:酸味と渋みが主体だが、ロック、トゥワイスアップで甘みが引き立つ。
- ストレート D: アルコールの刺激が強く、飲みにくい。
- ロック A: バニラの香りが目立ち、甘さもしっかり感じ取れて飲みやすい。
- 水割り C: 1:4では苦みが目立ち、ラムレーズンしか感じられない。トゥワイスアップは甘くて香りも引き立つ。
- ハイボール B: スパイシーな香りと苦みによって、さっぱりした印象に。