会話

へん、左側に立っちゃいけないなんてルールは無かったぜぇ! という話です。 今回は『けものフレンズ』と『けものフレンズ2』を映像分析で比較し、「構図の美」や「映像の原則」の重要性を考える論考です。 毀誉褒貶の激しい『2』を扱うので、苦手な方は閲覧注意。 #けものフレンズ #けものフレンズ2
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午後0:37 · 2019年12月1日Twitter for Android
返信先: さん
今年、様々な話題をさらった『2』。 注目度は高かったものの、好評とは言い難い作品になりました。 本編への主たる批判は、イエイヌやビースト、かばんさん等を観客の意に反する扱いにしてしまった、脚本に対してです。 では、映像面で、脚本の失敗を取り返せるほど上手に処理出来ていたか?
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残念ながら、『2』は映像面でも評価は低い。 キャラデザインでは人気が出たキャラもいますが、画面構成やカメラワークで目を見張るものはなく、映像面からの解説で好意的に取り上げる方も皆無。 irodoriが手掛けた『けもフレ』と、映像の評価で差があるとすれば、最大の違いは何でしょうか?
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顕著なのは、1話。 カラカルがキュルルに問うシーンや、直後に大型セルリアンから逃げるシーン。 『けもフレ』1話と似た構図のショットがありますが、『2』は左右反転させて見せる。 ところが、この時に『2』は『けもフレ』における画面構成の妙を理解しないままやってしまったのです。
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両作品を、三分割法で比較してみましょう。 『けもフレ』では地平線・火山の稜線・青空が、綺麗に配置されている。 かばんちゃんの後方には木があって、空間を埋める。 真ん中の空間で、サーバルちゃんにまだ打ち解けないかばんちゃんの距離の取り方を明示する。 実に見事なレイアウトです。
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一方、『2』。 2人が森の中にいますが、三分割してみるとカラカルが中心で、キュルルがズレる。 また、もったいないのは、光の表現。 カラカルがキュルルにとっての救いであることを明示しているはずが、光線が薄く、気づきにくい。 1カットで得られる「構図の美」に乏しいのです。
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また、『2』の逃亡シーンでは、キャメラで撮っている時に斜めになり、カラカル達を中心に固定されています。 このシーンでは、右からセルリアンが入ってくるところを格好良く見せたい意図がありますが、直後に平板なカットになってしまい、カメラワークの一貫性を欠きます。
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これらのシーンを比較すると、『けもフレ』では画面のコントロールが出来ていると感じられますが、『2』では上手くいっていない。 リスペクトすることを優先するあまり、画面構成がおろそかになってしまうのは、本末転倒です。 しかし、本題はここからです。
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irodori版の画面構成やカメラワークを反転してしまったことで起こった、最大の過ち。 それは、 「旅路の進行方向が←になってしまったこと」 です。 キュルル達は、右から左、←の方向に旅をする。 かばんちゃん達は、左から右。→の方向です。
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進行方向の違いは、観客にとっての「映像の見方」に関わります。 人間には認知バイアスがあり、→の方向で見ることに慣れています。 映像でも、→の方向にカメラワークを動かす、構図を作ることが基本。 『プライベート・ライアン』の冒頭 でも、上陸する連合軍が左側から入るように撮っています。
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左側に人間の目線が集まることを利用し、画面内の登場人物の位置も、「映像の意味」を持ちます。 ・左=有利、主役、共感 ・右=不利、敵役、反感 など。 ←にフォローする不自然なカメラワークと、主役たるべきキュルル達の立ち位置は「映像の原則」にことごとく反してしまいます。
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前回の論考で僕は「監督が撮っているものが何なのかを、観客に伝える必要がある」ということを強調しました。 監督の意図が、正しく観客に伝わらない・誤解されないよう、先人達は様々な試みをして、映像の原則を作り上げてきました。 カメラワークや構図における、左側優位の法則もその一つです。
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この原則を忠実に守りながら作っているのがハリウッドの名監督たちであり、宮崎駿や富野由悠季などの巨匠や、当然たつき監督も含まれます。 これを知らない方も多いですが、皆さんが「良い映像」「悪い映像」を脳内で識別できるのには当然カラクリがあり、観客も知っておけば役に立つものです。
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ただし、ここで驚くべきことがあります。 →の方向に動く映像の原則をきちんと守るキャラクターが、2人いたのです。 一人目は、ゴマすりクソバードことG・ロードランナーです。 彼女は7話から登場しますが、多くのシーンで左側に配置され、観客にとって見やすい位置にいます。
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そもそも、7話は構図やカットの繋ぎも→の方向で、見やすい作りになっています。 レースは→に進みます。 カメラの切り返しも他の回に比べれば、断然悪くないです。 他のエピソードに比べて「見易い方のエピソード」とされるのは、ロードランナーの人気だけでなく、映像の原則に沿っているからです。
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二人目の例外が、イエイヌです。 彼女の印象的な笑顔は、左側に立つことで撮られている。 また、ボロボロにされ、痛々しい姿で笑顔を作る表情も、左側に立っているがため。 観客にとって「左=イエイヌ」「右=キュルル」の立ち位置にいます。 左は同情や共感を集める存在になるのです。
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この2人が、キュルルよりも制作陣が観客に共感させたいキャラクターだというならば、狙い通りでしょう。 しかし9話ではキュルルの「おうちにお帰り」が決め台詞であり、キュルルの優しさを見せたかったはずが、逆に反感を招いた。 映像の原則に反しているため、観客を説得出来ないのです。
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このように『2』は監督をはじめ、制作陣が映像の原則にことごとく反した結果、観客との「映像上のコミュニケーション」に失敗しました。 もしも『2』の続編があるとすれば、ちゃんと映像の原則に沿った作品になっていることを願います。 リスペクトとは、最低限のことをしてから言える言葉ですから。
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長くなりましたが、結論。 ・『2』は『けもフレ』へのリスペクトを優先したため、映像の原則に反する作品になった。 ・構図の左右反転だけでは、映像の意味が失われてしまう。 『けもフレ』にあった構図の美を、『2』の制作陣が崩してしまった。
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・キュルル達の旅路も、←の方向に進む。 これによって、左側優位の法則から外れ、観客に主役であるというメッセージが伝わらない。 ・ロードランナーやイエイヌは左側優位の位置にあり、人気や共感を集めた。 同時に、キュルルへの反感は増幅することとなった。
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・『2』は制作陣が「観客との映像上のコミュニケーション」に失敗した、最たる例。 以上!終わり! こうざん再登頂! みんみ解散! じゃあ俺、傷ついたイエイヌちゃんを自宅に保護して パンケーキ食べさせたり、頭を撫でたりしてくるから…(奴隷との生活)
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