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家族との面会禁止はやむを得ないか 介護の質との間で揺れる高齢者施設

小長光哲郎AERA#新型コロナウイルス
「レジデンシャル百合ヶ丘」で面会中の70代の夫婦。夫は毎日のように訪れ、施設内の交流スペースでマッサージや屋外の散歩をして30分間を過ごす(撮影/写真部・掛 祥葉子)

「レジデンシャル百合ヶ丘」で面会中の70代の夫婦。夫は毎日のように訪れ、施設内の交流スペースでマッサージや屋外の散歩をして30分間を過ごす(撮影/写真部・掛 祥葉子)

 重症化リスクの高い高齢者たちを守るべく、現場は模索を続けている。新型コロナウイルスと闘う医療従事者に感謝と称賛が送られる一方で、介護従事者にあまり光は当たっていないように見える。だが、高口さんは、「その方がいいのかも」という。

「医療はまさかのけがや病気から命を守る『非日常との闘い』です。それに対して拍手をするのは、素晴らしいことだと思います。けれども、介護は、『いつもと変わらぬ日常を守り抜く』ことが使命です」

 手足が不自由になっても、認知症になって時間や場所がわからなくなっても、今まで通りの生活を続けること。食事や排泄や入浴、日常の営みを守ることに、注目も非日常的な称賛も必要ないのではないか。

「80年、90年と生きてきたお年寄りの『新しい生活様式』を決めるのは、お年寄り自身であるべきです」(高口さん)

 新型コロナウイルスの感染対策も、彼らの日常を守るためにこそ行うべきで、本末転倒してはならない。その思いを強くしたという。(編集部・小長光哲郎)

AERA 2020年7月6日号


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