2020-07-06

開票立会人をやってきた

都知事選開票立会人をやってきた。なかなか出来ない経験なので備忘録がてら書き残す。開票立会人とは、開票不正がないかチェックするため、候補者が本人の同意をとって届け出るもの。私もその依頼があるまで存在すら知らなかったが、勉強のためと思い引き受けることにした。ちなみに報酬も少なくない額もらえる(1万数千円)。

やることは、1,投票箱を開ける前に封印確認する。2,集計した票の束に判子を押す。3,疑問票の判断結果に判子を押す。4,最終的な開票録に判子を押す。5,すべての票を収納した箱の封印に割印を押す。これくらい。あとは、開票所内をウロウロしてるだけ(不正がないかチェックも含めて)。特に2は、500票ごとの束に押すのだが、全部で数十万票ある訳で、こんなに判子押す機会など金輪際ないだろというくらい判子マシーンとなる。

時間仕事なのだが、全体通して感じたのは、疑問票が多いということと、選挙不正は無理だろうなということ、そして選挙民主主義の根幹であるということ。

無効票については、選管基本的に一票でも無駄にしない、という方針とのことなのでなるべく誰かの候補に入るようにしている。ただ、法律上無効とされている基準抵触したら無効票となってしまう。例えば、「♡」や「○」マーク無効しか句読点の「。」は有効。その判別判断が分かれる場合もある。あと、敬称有効だが、その他は不可。例えば「小池百合子さん」はOKだが、「小池百合子女帝」は他事記載NG。また、「○○へ」もNGさらに、余計なことまで書いている票も多かった。桜井票の裏に長文でヘイト文章を書き連ねているものも見かけたが、これは当然無効桜井候補は好きではないが、それでも貴重な1票が減る訳でもったいないなあと思った。ちなみに日本語ではない言語で書いても読み取れれば有効となる。過去にはアルファベットハングルなどでも有効票となったケースもあるらしい。

これらは選管勝手に決めているものではなく、過去裁判所判例などをもとに積み上げてきたものベースに判定しており、判例集や事例集を置いてある一角があって、専門のスタッフが最終的な様々な職員議論して判断を下していた。このプロセス自体は非常に信頼が置けると感じた。ただし、疑問に思うこともあった。それは誤字に関してだ。一字以内の誤字は基本的にはどれかの候補者に入るのだが、「山本一郎」や「山田太郎」は一字誤字として認めるのに「山本一太」は当該人物有名人であるため他人の氏名と判断され無効となる可能性が高い。しかし、誤字の人名有名人ではない場合有効票となる可能性が高い。事実、「池田ゆりこ」と書かれた票は「小池百合子」にカウントされていた。

ただ、そうした疑問票は機械の読み取りや人の目によるチェックからはじき出された票たち(全体の数%)で、大多数の票は機械の読み取りによって仕分けされ、さら人間の目でチェックされ2重に枚数カウントもされる。全体で100人近いスタッフが衆人監視のもとに開票作業を行うなかで、選挙大勢を左右するような不正は起こりえないだろうという信頼を持てた。そうしたこともあり、集計された票が立会人の前に束になってやってくる際、本来的にはここで1つ1つチェックする権利はあるが、私はノーチェックで判子を押した。(選管スタッフから“円滑な進行”をという催促もあったし)

手書き候補者名が書かれた1票1票が、100枚の束となり、それが500票の束となり、その束に立会人らが判を押して、判子が押された束たちが集積所にどんどんと積み上がっていく様子を眺めていると、これら1つ1つが有権者意思表示であることを実感できた。特に香港ニュースを目にした後だと、より一層自由選挙の尊さ、有り難さを噛み締めざるを得ない。はてなーの皆も伝手があれば立会人をやってみてほしい。伝手がなくても、自分選挙区の開票所なら観覧することができるので行ってみてほしい。

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