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「きつねくんと先生」が人気を集める漫画家の園田ゆりさん=東京都新宿区
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「きつねくんと先生」が人気を集める漫画家の園田ゆりさん=東京都新宿区

■漫画家 園田ゆりさん(33)

 漫画家デビューから10年。自分の才能に自信が持てずにいたが、諦めずに続ける中でいろんな人から評価してもらえるようになった。人間の世界に紛れる子ギツネと、その子を見守る小学校教員の日常を描いた「きつねくんと先生」は、会員制交流サイト(SNS)で70万「いいね」を獲得。今年2月、単行本とグッズが発売された。山あり谷ありの人生だったが、やっと「ある程度、社会に居場所ができつつある」と手応えを語る。

 兵庫県西脇市出身。物心ついた時から漫画に親しみ、小学5、6年生の頃、自分の作品を発表したいとの思いを行動に移すようになった。

 インターネットが普及する前の時代。神戸や姫路の同人誌即売会に年齢を偽って参加しては、学校のコピー機で内緒に刷った作品を出した。全然売れなかったが、原点として大切にする思い出だ。

 「ヤンキー」が多く、弱い者いじめが日常にあったという少女時代を過ごした後、進学した小野高は「校則が厳しく、当時は刑務所みたいだった」といい、両極端な環境で育った。入学後すぐに体調を崩し、成績も低迷。しかし、打ち込んだ放送部で作ったテレビドラマが「NHK杯全国高校放送コンテスト」で優勝。「他者から認められることで、漠然とした自信を自分の中で固めることができた」

 上京後の20代は苦難の連続だった。漫画家のアシスタントを務める傍ら、早稲田大在学中の2008年、講談社の漫画新人賞「アフタヌーン四季賞」で準入選、09年には大賞に輝いた。が、実際はひたすら下書きを編集者に持ち込んではボツにされる日々。仕事がなく、携帯電話を止められたり、店で廃棄されたパンで空腹をしのいだり。数年かけて描いた初の単行本が、出版社の事情でお蔵入りになった時は「頭が空っぽになった」。

 仕事が軌道に乗ってきたのは17年ごろ。16年から月刊誌に連載した「あしあと探偵」が1年で打ち切られ、漫画家の友人らと、ツイッターに作品を投稿して誰が一番受けるか競うことになった。そこで発表した作品が7万5千「いいね」を獲得。「短い漫画が向いている」と、自分の潜在能力に気付いた。ツイッター上の他の作品も出版社の目に留まり、「きつねくん-」の単行本化につながった。今は作品の印税やグッズの収入が入り「生きるには問題ない」暮らしを送る。

 自身の歩みを振り返り、「千回やって1回ぐらい光が当たることがある。若い人には、やらずにいられない衝動があるなら、他人がくだらないと思うことでも大事にしてほしい」(大島光貴)

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