「自民党が言う進化論は間違い」 学会が反対声明
2020年6月29日 05時55分
自民党がダーウィンの進化論を誤用する形で憲法改正を主張したことに、日本人間行動進化学会(会長・長谷川真理子総合研究大学院大学長)は「生物進化がどのように進むのかの事実から『人間社会も同様の進み方をするべきである』とする議論は間違いだ」と反対する声明を出した。
問題となったのは自民党広報がインターネットに投稿した4こま漫画。進化論では「生き残ることができるのは最も強い者でも最も賢い者でもなく、変化できる者だ」として、憲法改正を主張した。
声明は「ダーウィンの進化論は思想家や為政者に誤用されてきた苦い歴史がある」とし、権力者らによって差別や抑圧に悪用されてきたことを紹介。科学者は警鐘を鳴らしてきたが、現代でも特定の政治的主張に権威を持たせるための誤用が後を絶たないと懸念を表明した。
さらに「ダーウィンの言う進化は、ランダムに発生した変異の中から、環境に適さないものが淘汰(とうた)されていく過程だ」と漫画の誤りを改めて指摘。政治的主張は科学的知識を誤用して行うのではなく「個人や団体の信念として表明するべきだ」とくぎを刺した。
(共同)
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