【財源についてQ&A】山本太郎の政策は実現不可能か?!

このページは、東京都知事選挙での山本太郎の政策「総額15兆円で、あなたのコロナ損失を徹底的に底上げ」の財源について、Q&Aでご回答するページです。政策と財源はこちらからご覧ください。

質問① 「未来世代への大きな負担になる」

(答)地方債は「暗黙の政府保証」があるため、国債以上にマーケットの信認があります。東京都には日本の大企業の本社が集中しており、独自の課税だってできます。

そもそも都に入った税収のうち近年では約9000億円近くを国が召し上げ、他道府県に再配分しています(偏在是正措置)。そのような潜在的財政力を考慮すれば、総額で15兆円の都債の市中消化は十分可能です。100年に1度の危機ですから、一時的な財政悪化は覚悟の上です。その上で国がやらないなら都がやると申し上げています。

都債は、返済は30年掛けて償還することを前提に検討しており、「30年の分割払い」にすることで単年度の返済額は減額され、財政を圧迫するには至りません。よく「次の世代に負債を残すな」と言われますが、東京都は健全財政です。総額15兆円としていますが、これは起債制限がかからないようなリミットを意識したものです。加えていえば、一度に15兆円を発行するわけではありません。 総額は少なくなる可能性はあります。

既存の予算の組み替えや基金の取り崩しで捻出されると想定される最大2~3兆円程度では、万が一補償に足りなくなった場合を考えても、都債の発行が必要です。

また、地方債は負担となり、一方で基金の取り崩しなら負担にならないと考えるのは誤りです。地方債発行と基金の取り崩しが、同じ金額であれば、基金の取り崩しは、自治体の純資産を減らし、将来の「いざという時」の資金を逼迫させます。金利負担分を除けば、「未来世代に大きな負担」という意味では大差がありません。 現在困窮している若者が、結婚・出産・子育てができなくなれば、生まれてくる「未来世代」が減ってしまいます。

いずれにせよ、今、大胆に財源を調達しなければ、東京都の経済は壊滅的打撃を受け、その影響は、国全体に波及し、より深刻なツケを将来に先送りすることになります。

質問② 実現するためには法改正が必要。時間がかかり迅速な救済が出来ない ?

(答)政府は国会答弁において、「内閣法制局と早速相談したが、災害救助法の災害と読むのは難しいという判断だ」と答弁しています。(なお、内閣法制局は、政府から「「災害(異常な自然現象)に新型コロナウイルス感染症を含めることは可能か?」と直接ストレートに聞かれたわけではないようです)

国は「コロナは災害に含まれない」と主張するでしょうが、皆さんは本当にそれが正しいと思いますか?

東京都は4月6日に自衛隊に対し、コロナ陽性の軽症患者を受け入れるホテルに、食事の搬入や生活支援を行うように要請しました。その時の名目は「災害派遣要請」(自衛隊法・第83条)でした。自衛隊もそれを受け入れています。それでも、自衛隊は法令違反をしていたという声は上がりません。このことは都も国もコロナは災害であると認めている証拠にほかなりません。国がコロナを災害指定しないのは、単に災害指定すると救援の財源の支出を全国の地方自治体から更に求められるからでしかありません。

災害指定については、国会(4月28日)で政府に指定を野党第一党の立憲民主党の枝野幸男代表が求めました。それだけではなく、全国の弁護士有志が2020年4月16日に「災害対策基本法等で国民の生命と生活を守る緊急提言」を発表しています。このように、コロナを災害指定するように求めることは「一定の民意」を代弁した主張です。

国会質疑で枝野議員は「こういう緊急時に本当に厳格な解釈がいいのか、柔軟な解釈の余地があるのではないか。この内閣、いろいろな法律、柔軟に解釈してきているじゃないですか」と政府に詰め寄っていますが、全くそのとおりです。

コロナは災害であるとみなすことには一定の世論の支持があるのです。「国の既存の法令解釈がこうなっているので、知事は何も出来ないんだ」と、国の解釈に対して、「はい、そうですか」という人は、首都東京のリーダーにはふさわしくないとさえ考えられます。

 今回のコロナ災害でも国の法令解釈に異議を唱えず、これまでも国から近年では毎年9000億円もの「地方法人2税」を偏在是正措置の名目でまんまと召し上げられ続けてきたのが小池都政です。決まりの中から出来ない理由をまず探すのではなく、どうやったら可能になるのか、という柔軟かつ大胆な発想力が今、求められています。「戦わないリーダー」を繰り返してはなりません。

なお、コロナを災害に指定することは法令解釈の変更で足りるため、法改正は必要ありません(そもそも内閣法制局は法令解釈すら示していません)。集団的自衛権や検察庁法の解釈変更に比べれば、全く問題ない解釈変更であり、国民のための解釈変更です。これに反対するのは国民ではなく、霞が関(財務省)の側を見ているとしか思えません。

質問③ 建設債でない起債は認められていない?

(答)地方財政法第5条第1項第5号には、いわゆる「地方債のハード縛り」(地方債は建築物などに限定する)の規定があるのは確かです。一方で、一つ前の第4号には「災害応急事業費、災害復旧事業費及び災害救助事業費の財源とする場合」にも地方債の発行は認められる、とあり、災害救助等のために地方債を充てることは認められています。地方財政法では、「地方債のハード縛り」の規定は、第5条第1項第5号のみで、その他に規定はありません。したがって、第4号の「災害救助事業費」は、ハード(建築物)だけではなくソフト(給付など)への支出も可能です。

質問④ 地方債の発行には国の同意が必要だ ?

(答)かつては地方債の発行には国の許可が必要でしたが、今は協議制に移行し、国・総務大臣の同意を得ることになっています。協議制度では、財政状況が健全な地方公共団体は、総務大臣(略)に協議を行えば、仮にその同意がなくとも、あらかじめ議会に報告して地方債を発行できます(平成18年度版 地方財政白書から)。 これがいわゆる「不同意債」です。

一般的に地方債の償還財源は、将来的に地方交付税交付金によって元利償還金が一部補填される仕組みになっています。要するに東京都以外の地方交付税交付金をもらっている都道府県は、国から財源を恒常的に支援されている手前、国に対してその解釈に大きく異論を唱えられないのです。

一方、東京都は1954年からずっと地方交付税の不交付団体、つまり、「財政状況が健全な地方公共団体」(実質公債費比率1.5%であり、全都道府県の中で最も優良な団体)なので、国の同意がなくても、議会に報告することで地方債の発行はできることになっています。私たちはいざとなればこの「不同意債」(地方財政法第5条の3 第9項)の発行を行う、という主張です。

質問⑤ 不同意債は議会が反対する ?

(答)もちろん、議会に対しては、予算を提案する側として、十分にその必要性、重要性、緊急性を説明した上で、議会の同意を得る努力は行っていきます。議会を軽視するつもりは全くありません。

ただし、例えば既存の特定目的基金を取り崩して対応する場合などにも、条例の改正が必要であり議会の同意は必要です。その点では起債をする場合も基金の取り崩し条例を制定する場合にも議会の同意を得る必要がある点においては、変わりがないといえます。

東京都は交付税不交付団体であることから、緊急時の都民の救済のために不同意債を出すことにハードルが低い団体であることを丁寧に議会に説明し、賛同を得ていきたいと考えております。

今回の「100年に一度」ともいわれる「コロナ災害」はまさに緊急時です。そのようなときに不要不急の大規模開発事業のための起債ではなく、コロナ災害の都民救援のための起債について、議会の皆さんにも同意していただけると思います。

質問⑥ 民間金融機関が引き受けないのではないか?

(答)地方債には、「暗黙の政府保証」があることや、とりわけ東京都には日本の大企業の本社が集中していること、それから、都に入った税収の9000億円近くを毎年、国が召し上げ他道府県に再配分している(偏在是正措置)中での財政運営を行っている、などの潜在的財政力があります。それらを考慮すれば、総額で15兆円の都債の市中消化は十分可能です。100年に1度の危機ですから、一時の財政悪化は覚悟の上です。

都債は30年間で償還する前提で調達を検討しています。(30年債とするか、10年債の2回借り換えとするかは金利を見て判断します。)東京都は健全財政で、総務省にも確認しましたが、18兆円から20兆円程度の追加の起債については起債限度に達することなく調達可能です。私達は限度に達しないように総額を15兆円と控えめに示しました。そして、繰り返し述べているように、一度に15兆円を発行するわけではありません。

よく「次の世代に負債を残すな」と言われますが、今手をこまぬいていれば、経済停滞というより深刻なツケを将来に先送りすることになります。また、東京都の発行する債券は、証券会社や運用難に直面している地銀、金融機関などが購入するはずです。

質問⑦ 既存の「組み換えなどのやり方」での財源調達は可能なのではないか ?

(答)東京都の基金には「特定目的基金」「減債基金」「財政調整基金」が存在しており、コロナ前において総額3兆円強ありました。ただ、コロナ対策で小池都政は財政調整基金を約9400億円の9割近くを既に取り崩しています。減債基金は都債の償還のための積立金ですので、手を付けることは好ましくありません。

そうなると、この時点で残っているのは基本的に特定目的基金の約9000億円程度しかありません。ただ、これらの基金もすべてを使うことは出来ません。取り崩し可能な財源の洗い出しにはは詳細な精査のためのある程度の時間が必要です。

また、ある財政学者が指摘していますが、「地方債の使途として認められている対象事業に充てる名目で都債を発行しつつ、当初その事業に充てようとしていた税財源を付け替えて、給付金など地方債の使途として認められない新規事業の財源に回せば、都債を追加発行して新規事業を事実上実施できる」(2020/06/29東洋経済オンライン)のも事実です。ただ、この手法によりねん出できる財源は限られます。

既に説明したように、これだけでは緊急時に必要な財源が確保できない場合も考えられ、それに対する備えは必要です。

 私達の提案は「手厚い補償を都ですべてやることを想定したもの」ですので、特に財源不足で施策が小粒にならないようにすることが必要です。 当然ですが、既存のやり方でもできることはやるべきで、その上で、従来の発想を超えた政策(不同意債)を打ち出すことが必要だと申し上げています。もちろん、既存のやり方を否定するものではなく、併用していく考えです。

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