韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は3日、国家情報院(韓国の情報機関。国情院)トップと青瓦台(韓国大統領府)の国家安保室長、統一部(省に相当。以下同じ)長官を交代させる安全保障ライン改編を通して、残る任期中、対北融和政策に全てをつぎ込もうという勝負手を打った。
国情院長に内定した朴智元(パク・チウォン)氏と徐薫(ソ・フン)安保室長は、金大中(キム・デジュン)政権時代から南北首脳会談など対北接触を主導してきた代表的な「北朝鮮ライン」。朴氏は現政権で初となる野党出身者の起用で、北朝鮮問題に対する切迫した状況を傍証するものだ。統一相に内定した李仁栄(イ・インヨン)議員は全大協(全国大学生代表者協議会)議長時代から統一運動を行ってきた人物で、南北協力に向けた意思は強い。北朝鮮は開城工業団地の南北連絡事務所爆破と軍事的な脅しを通して板門店宣言を事実上破棄したが、文大統領は北朝鮮と交渉してきた経験者や対北融和論者などを前面に立たせた。一部からは、今回の人事を通して「自主派」を前面を立たせ、韓米同盟を重視する「同盟派」は排除したのではないかという指摘が出ている。
文大統領は最近、「南北関係の成果を後回しにはできないというのが私の確固たる意志」として、既存の政策にこだわる意思を明らかにした。青瓦台や与党内部からも、これまで「あまりにも米国の顔色をうかがい、南北関係でスピードを出せなかった」と批判が出ていた。こうした与党内の批判が今回の人事に反映されたものと解釈されている。文大統領は年頭から「南北関係でスピードを出したい」と語っていた。先月には李度勲(イ・ドフン)韓半島平和交渉本部長を米国に送り、米朝首脳会談と南北首脳会談を同時に推進する構想を米国に伝えたといわれている。