東北大未来科学技術共同研究センターの大村達夫シニアリサーチフェロー(環境水質工学)の研究グループは、下水に含まれる新型コロナウイルスを検出し、新たな流行の兆候を把握する実証実験を今秋にも始める。同じ手法でノロウイルスの警報サイトを構築した実績を生かし、感染拡大の防止を目指す。

 研究グループによると、仙台市の南蒲生浄化センターで定期的に下水を採取し、感染者から便などとして排出された新型コロナウイルス遺伝子の有無や濃度を解析する。市内の感染は収束傾向にあるが、今秋以降に検出実績を積み重ねながら、早期に警報を出すシステムの構築を図る。

 下水から新型コロナの遺伝子を検出する取り組みは横浜市や富山、石川両県で始まっている。

 グループは2013~15年、ノロウイルスの流行を早期に検知するため、下水のウイルス濃度と医療機関に報告された患者数との関係を調査。相関性があることを突き止めた。

 下水のウイルス測定は、医療機関から患者数の報告を受けるよりも1、2週間早く流行が分かる。研究グループは仙台市の協力を得て、17年から独自のノロウイルス濃度情報発信サイトを公開。保育施設などに注意を促してきた。大村氏は「適切なシステムを構築して情報発信し、新型コロナの流行を抑えたい」と話した。