新型コロナ感染者「8割は他にうつさず」 厚労省見解

2020/3/1 22:31

 新型コロナウイルス感染対策などについて記者会見する加藤厚労相(1日午後、厚労省)=共同

新型コロナウイルス感染対策などについて記者会見する加藤厚労相(1日午後、厚労省)=共同

加藤勝信厚生労働相は1日、記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染者の8割が他者に感染をさせていないとする見解をまとめた。政府の専門家会議がこれまで国内で発生した事例を分析した結果という。他者への感染は換気が悪く、人が密集して不特定多数と接触する場合に起きやすいとして、こうした場所を避けることを求めた。

感染が起きやすい場所はスポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなどが該当するという。換気を頻繁にするなどで一定程度対策できるとしている。

こうした場所で発生する小規模な患者の集団「クラスター」の分析を厚生労働省の対策班が進めている。リスクの高い場所に訪れた人に集中してウイルス検査などをすることで感染を抑え込み、分析で判明した感染が起こりやすい場所も随時公表して警鐘を鳴らす。

感染力の大きさは、1人の感染者が何人に感染させるかを示す「基本再生産数」で示される。この数値が1未満だと感染は自然と収束する。世界保健機関(WHO)は新型ウイルスの基本再生産数を1.4~2.5と推計している。

しかし、専門家会議の分析によると国内の事例を細かく分析すると大半の感染者は基本再生産数は0か1未満。換気が悪いなど特殊な環境で一気に感染が拡大していることで、平均して2前後の基本再生産数になっているとみられる。

医療機関はリスクの高い場所になる可能性が高いため、厚労省は感染の疑いがあっても軽症のうちは一定期間自宅で経過観察するよう求めている。1日には自宅で静養するための8つのポイントを盛り込んだチラシも公開した。症状がある人とない人で部屋を分けることや、共有部分を消毒することなどを盛り込んだ。

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