[2020知事選・まちづくり] コロナ後の展望が必要
( 7/3 付 )

 鹿児島県は、鹿児島市の鹿児島港本港区整備や新総合体育館の建設といった都市再開発プロジェクトで懸案を抱えている。
 新型コロナウイルスへの対応を迫られる中、こうした大型プロジェクトも影響が避けられまい。
 激減した訪日外国人観光客の動向や「新しい生活様式」など、コロナの流行収束後の社会は大きく変化することが予想される。そうした状況でプロジェクトはいかにあるべきか。次の知事にはコロナ後を見据えたビジョンが求められる。
 鹿児島港本港区の再開発はまず、ドルフィンポート跡地など約5.3ヘクタールに富裕層向けのホテル、飲食店を含む集客施設や駐車場を整備し、観光拠点化を図る計画だ。2022年5月の事業着手を見込み、再開発を担う民間業者を3月下旬から公募する予定だったが、コロナ禍で無期限延期にした。
 コロナの影響で世界中のホテルや観光業者が苦境にある現状で、高級ホテルなどを想定した計画に現実味があるのか疑問視する声は強い。公募延期の空白期間を活用し、構想を練り直す必要があろう。
 今後数十年の地域づくりに影響を与える重要なプロジェクトである。憩いの場として親しまれてきただけに、県民の多くが楽しめる施設こそ求められるのではないか。
 鹿児島市や地元商店街との連携も進めるべきである。市が中心となって検討しているサッカースタジアムや市電延伸計画などと一体的な街づくりが不可欠だ。鹿児島中央駅西口の活用策も地元と一緒に考えたい。
 築60年を迎える現在の県体育館の代わりとなる新総合体育館は、候補地を巡って迷走が続く。
 県は18年6月に打ち出した中央駅西口の県工業試験場跡地を、昨年9月に交通渋滞などを懸念する県民の反対を受けて断念。同11月、県庁東側県有地を新候補地とした。取得が必要な隣接地の所有者と協議が始まっている。
 大規模開発についての県のこれまでの決定は、概して唐突な感じが否めなかった。知事に欠かせないのは、「構想ありき」でなく、県民や地域の声を広く吸い上げ、透明性の高い形で政策を決定する姿勢だろう。
 13年、本港区のスーパーアリーナ構想が足踏みした際、複数の自治体が誘致に名乗りを上げた。どの自治体も交流人口を増やし、活性化を図りたいはずだ。薩摩、大隅半島、さらに離島への目配りも忘れてはなるまい。
 県民や市町村と情報を共有し、意見をじっくり聞いて決断する。理由も説明する。県政トップには、そんなコミュニケーションの力も重要である。