朝鮮日報

【社説】「在韓米軍は過剰」…韓国外交統一委員長、30年前の運動圏の視角が心配だ

 国会外交統一委員長を務める与党・共に民主党の宋永吉(ソン・ヨンギル)議員が「在韓米軍は韓米同盟における軍事力のオーバーキャパシティーではないかと思う」と発言した。「在韓米軍は必要以上に多いので、現在2万8500人の在韓米軍を削減すべきだ」という意味に解釈できる。北朝鮮は平壌-元山ラインの南側に100万人の兵力と火力のほとんどを配備している。首都圏を狙った長射程砲だけで340門以上だ。韓国を攻撃するための核ミサイルも引き続き増強している。北朝鮮の誤判を防ぐには、韓米連合軍の圧倒的な戦力が必須だ。ところが韓国軍は2022年までに62万人から50万人に削減される。その空白を埋める新兵器の導入は一部で遅れている。

 今は在韓米軍の過剰ではなく不足を心配すべき状況だ。ただでさえトランプ大統領は、機会があればすぐ資金問題を理由に在韓米軍の削減・撤収に言及してきた。つい先日にはドイツ駐留の米軍9500人の削減案を承認した。一人の議員ではない国会外交統一委員長による「過剰」発言は、トランプ大統領に在韓米軍削減の口実を与えることになりかねない。

 彼は2016年、北朝鮮による高角ミサイル攻撃を防ぐ在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備にも反対した。外交統一委員長となってからも、北朝鮮はわれわれの税金180億ウォン(約16億円)で建設した南北共同連絡事務所を爆破したが、これについても「砲撃で爆破しなかっただけでもよかった」と述べた。「(最近の)北朝鮮の状況は、白人警察に首を押さえ付けられ窒息した黒人のフロイド氏とよく似ている」とも主張した。北朝鮮は何も間違ったことはしていないのに、米国主導の制裁による犠牲者になっているということだ。制裁は北朝鮮による核開発のためだ。

 彼は1980年代に総学生会長、労働運動、弁護士活動を行ってきた。当時身に付けた反米運動圏レベルの知識と見方によって国会外交統一委員長となり、在韓米軍削減といった重大な安保問題を裁断しているのではないか。

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