【ソウル聯合ニュース】韓国文化財庁は2日、高麗時代の芸術を代表する螺鈿(らでん)漆器「螺鈿菊唐草文盒」を昨年12月に日本から入手したと発表した。貝殻の光沢部分をはめ込む螺鈿細工を施した盒(ふた付きの入れ物)で、幅は約10センチ、重さ50グラムと小ぶりながら、高麗時代の螺鈿漆器らしい美しさが際立つ。完全な状態で残っている同じ文様の高麗の螺鈿盒は世界に三つしかないという。
文化財庁によると、同庁に委任された国外所在文化財財団が昨年12月に、この螺鈿盒を日本の個人コレクターから購入した。螺鈿盒が日本に渡った時期は定かでないが、早くから日本にあったとみられる。
「母子盒」と呼ばれる大きな入れ物のなかに収められていた小さな五つの「子盒」のうち、中央の子盒を取り囲む四つの子盒のうちの一つと推定されるという。
今年1~3月に国立文化財研究所が分析したところ、高麗螺鈿漆器の典型的な製作技法と材料が用いられていることが分かった。木で本体をつくり、布張りして漆を塗った。細かくした螺鈿をふたと本体にびっしり散りばめて菊の花と唐草模様を表現しており、高麗螺鈿漆器の特徴とされる技法も見られる。ふたは連珠文で縁取った。全体として調和のとれた、気品漂う作品となっている。
高麗螺鈿漆器は青磁、仏画とともに高麗の美を代表する最高の工芸品とされる。現存するのは20点程度で、その多くを米国と日本の主要博物館が所蔵している。韓国にはこれまで、国立中央博物館に2点あるだけだった。
今回韓国に戻ったものと文様が同じ螺鈿盒は、米ニューヨークのメトロポリタン美術館と日本・京都の桂春院がそれぞれ1点所蔵している。
螺鈿盒は国立中央博物館に移され、今年12月22日から来年3月7日まで開催の特別展「古代の輝き、漆塗り」で公開される予定だ。