位相空間反例まとめ(可算性周辺)
扱うものは比較的簡単な反例に限ります。分離公理に関してはすでに反例がまとめられているので、次の性質と関連した反例をまとめます:第一、第二可算、可分、コンパクト、距離化可能性、リンデレーフ性、ccc
更新日: 2016年03月19日
扱うものは比較的簡単な反例に限ります。分離公理に関してはすでに反例がまとめられているので、次の性質と関連した反例をまとめます:第一、第二可算、可分、コンパクト、距離化可能性、リンデレーフ性、ccc
更新日: 2016年03月19日
基本性質
【定義】
第一可算・・・各点が可算な基本近傍系を持つ
第二可算・・・可算な開基を持つ
可分・・・可算な稠密部分集合を持つ
コンパクト・・・任意の開被覆が有限部分被覆を持つ
距離化可能・・・位相の合致する距離が入る
リンデレーフ・・・任意の開被覆が可算部分被覆を持つ
cccを満たす・・・どの二つも交わらないような開集合の族は高々可算な族
これらは次の関係を満たします。
第二可算⇒可分⇒ccc
第二可算⇒第一可算
第二可算⇒リンデレーフ
コンパクト⇒リンデレーフ
距離化可能+リンデレーフ⇔距離化可能+ccc⇔距離化可能+可分⇔距離化可能+第二可算
⇔正則T1+第二可算
また基本的な性質として次が知られています:
・第一(二)可算空間または距離化可能空間の任意の部分空間、可算個の積空間は第一(二)可算または距離化可能
・可分空間の族について、その積空間が可分であることと積の個数が連続濃度個以下であることは同値(Hewitt-Marczewski-Pondiczeryの定理)。
・可分空間の部分空間は可分とは限らない。
・ccc空間の族があるとき、任意有限個の積がcccを満たすならば全ての積もcccを満たす。特に可分な空間らの積空間はcccを満たす。
・ccc空間の部分空間はcccを満たすとは限らない。
・コンパクト空間の任意個の積空間はコンパクト(Tychonoffの定理)
・リンデレーフ空間の積空間、部分空間がリンデレーフとは限らない。
・リンデレーフ空間とコンパクト空間の積空間はリンデレーフ空間。
基本となる空間
【Sorgenfrey直線】
Rに{[a,b):a<b}を開基として位相を入れたものをSorgenfrey直線と呼びます。
これは第一可算、可分、継承的族正規、第二可算でない、リンデレーフ、パラコンパクト空間です。
【Moore平面】
R^2の上半平面とx軸上の各点に近傍を定めます。x軸以外の部分は十分小さい開円盤たちを基本近傍系として、x軸上の点(x,0)では、(x,0)に接する上半平面の開円盤と{(x,0)}の和集合全体を基本近傍系とします。
この空間は可分な完全正則空間で、第一可算ですがリンデレーフでないです(x軸は閉ですが相対位相で離散)。また第二可算でもありません。正規でないのでパラコンパクトでもないです。
【ω_1】
最小の非可算順序数ω_1やその後者ω_1+1に順序で位相を入れた空間を考えます。
ω_1は継承的族正規な第一可算空間ですが、cccを満たさずパラコンパクトでもリンデレーフでもないです。また可算コンパクトという空間になっています。ω_1+1は点ω_1が第一可算性を満たさないですがコンパクトです。
【Michael直線】
Iを単位閉区間とします。S⊂Iで、SもI-Sも連続濃度であってSもI-Sもいかなる非可算コンパクト空間も含まないようにSを取ってこれます(Bernstein集合と言います)。Iの各点について、Sの元ならば一点が開、Sの元でないならばそれを含む普通の開区間が近傍となるように位相を入れます。すると完全正則でcccを満たさないリンデレーフ空間となります。
「○○であるが○○でない」系の例
【第一可算でもリンデレーフでもなくcccも満たさない】
(1)です。Aを非可算離散空間、ω_1を最小の非可算順序数として、A×(ω_1+1)に積位相を入れます。すると明らかに(1)の例となっています(ω_1+1(に順序位相を入れたもの)が第一可算性を満たさないのです)。
【第一可算であるが距離化可能でもリンデレーフでもなく、cccも満たさない】
(2)です。これは例えばAを非可算離散空間、SをSorgenfrey直線として積空間A×Sを考えれば良いでしょう。
【リンデレーフであるが第一可算でもコンパクトでもなくcccも満たさない】
(3)です。単位閉区間[0,1]でMichael直線を考えたものを可算個とってきてI_nとし、それぞれのI_nにおいて0を同一視した空間をXとします。これは同一視した0の近傍基が可算にならないので第一可算でないです。各I_nがコンパクトでなくcccも当然満たさないのでXもそうです。一方で各I_nはリンデレーフであるので、I_nの直和はリンデレーフ、その商空間としてXもリンデレーフとなります。
【第一可算リンデレーフであってコンパクトでなくcccを満たさない】
(4)です。これは例えばMichael直線などが該当します。
【第一可算でなくcccを満たさないコンパクト空間】
(5)です。これには例えばω_1+1などが該当します。ω_1+1では点ω_1が第一可算性を満たさないです。極限順序数αに対して{α+1}は開なのでこれら全体は互いに交わらない開集合の非可算族となりcccを満たしません。
【cccを満たさない第一可算コンパクト空間】
(6)です。Iを単位閉区間とし、X=I^2に辞書式順序を入れ、それによる順序位相を考えます。するとXはまず第一可算です。cccを満たさないことは容易にわかります。コンパクトであることを示すにはIがコンパクトであることを用いると良いです。
もう一つ例を挙げます。X=I×{0,1}として、(x,1)の点はそれ1点が開とします。(x,0)の近傍を((x-ε,x+ε)-{x})×{1}∪(x-ε,x+ε)×{0}で与えると、このXは第一可算コンパクト空間であってcccを満たしません。
【可分でも第一可算でもなくコンパクトでもないがcccを満たすリンデレーフ空間】
(7)です。長いですね。(0,1)を開区間、Iを単位閉区間とし、cを連続濃度より大きい濃度とすれば、X=(0,1)×I^cは第一可算でもコンパクトでもないです。またHewitt-Marczewski-Pondiczeryの定理よりXは非可分です。I^cはコンパクトで(0,1)はリンデレーフなのでXはリンデレーフ、(0,1)もIもすべて可分なのでXはcccを満たします。
【可分でも第一可算でもないがcccを満たすコンパクト空間】
(8)です。これはたとえばIを単位閉区間、cを連続濃度より大きいとしてI^cを考えれば(7)と同じで条件を満たします。
【可分でないがcccを満たす第一可算コンパクト空間】
(9)ですが、申し訳ありません。この例は見つけることができませんでした。もしかしたらZFCと独立とかそういう話があるかもしれないです、何か結果を見つけ次第追加いたします。
追記:専門家の方から、以下の論文のイントロにMA+¬CHのもとで第一可算コンパクトccc空間が可分であることについて言及されているという話を伺いました。情報提供ありがとうございます。これからZFCが矛盾しない限り(9)の例は(ZFCのもとでは)存在しないことになります。
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http://ac.els-cdn.com/S1385725871800537/1-s2.0-S1385725871800537-main.pdf?_tid=d103aaec-ecbf-11e5-8ef1-00000aab0f02&acdnat=1458274609_d47cfb7ed80207febacf73b7e7242f67 などもあわせて読むと良いのかもしれません。これによるとσ-centred baseという概念やbasis compactという概念が関わっているようです。
【可分でもコンパクトでもないがcccを満たす第一可算リンデレーフ空間】
(10)です。R/Qを加法の剰余群として、P'をR/Qの各類とI=[0,1]の共通部分から一点ずつえらんだ集合とします(ただしQに関しては0を選ぶ)。P'を整列して{a_α|α∈Λ},Λ:順序数,a_0=0とし、P={a_α|α∈ω_1}とします。
X={(q+a_α,α)|α<ω_1,q∈Q}⊂R×ω1とします。
点(x,α)∈Xの近傍をε>0に対し{(y,β)∈X|α≦β<ω_1,|x-y|<ε}と定めてXに位相を入れます。このとき各点は可算な基本近傍系を持つ(ε=1/n)ので第一可算で、明らかにハウスドルフです。
Qのリンデレーフ性からこの空間Xのリンデレーフ性がわかります。
Rがcccを満たすことからXはcccを満たすことがわかり、ω_1の可算集合が上限を持つことからXが可分でないことがわかります。
閉部分空間Q×{0}がコンパクトでないのでXもコンパクトではないです。
【第一可算でない可分なコンパクト空間】
(11)です。Iを単位閉区間とし、cを連続濃度とすればHewitt-Marczewski-Pondiczeryの定理よりI^cは可分なコンパクト空間ですが、cが可算より大きいのでI^cは第一可算でないです。
【距離化不可能な第一可算可分コンパクト空間】
(12)です。X=[0,1]×{0,1}に辞書式順序で位相を入れます。このときXは第一可算コンパクトで距離化不可能です。また(q,0)(qは有理数)全体が稠密なので可分です。
【距離空間】
(13)から(15)は簡単です。(13)は一点、(14)は可算、(15)は非可算な離散距離空間を考えれば良いです。
【第一可算でもコンパクトでもない可分リンデレーフ空間】
(16)です。(0,1)を開区間、Iを単位閉区間、cを連続濃度として X=(0,1)×I^cとすれば良いです。
【コンパクトでない第一可算可分リンデレーフ距離化不可能空間】
(17)です。これにはSorgenfrey直線などが該当します。
【第一可算でもリンデレーフでもない可分空間】
(18)です。YをMoore plane、cを連続濃度としてY^cとすればこれはHewitt-Marczewski-Pondiczeryの定理から可分であって、第一可算でもリンデレーフでもないです。
【リンデレーフでない第一可算可分空間】
(19)です。これにはMoore planeなどが該当します。
【リンデレーフでも可分でも第一可算でもないがcccを満たす空間】
(20)です。YをMoore planeとすれば任意の基数cに対してY^cはcccを満たします。YはリンデレーフでないのでY^cもリンデレーフではないです。ここでcを連続濃度より大きくとればHewitt-Marczewski-Pondiczeryの定理からY^cは可分でも第一可算でもなくなります。
【リンデレーフでも可分でもないがcccを満たす第一可算空間】
(21)です。R/Qを加法の剰余群、PをR/Qの各類とI=[0,1]の共通部分から一点ずつえらんだ集合とします(ただしQに関しては0を選ぶ)。Pを整列して{a_α|α∈Λ},Λ:順序数,a_0=0とし
P’={a(α):α∈ω1}
P”={a(α+ω1):α∈ω1}とおきます。
Y={(q+a(α),α):α∈ω1,q∈Q}⊂R×ω1としてYには(10)で考えたものと同じ位相を入れます。
X=Y∪P”とします。
Xの位相は次のように入れます;Yの各点の近傍はYでの近傍たちをベースにします。P"の点a(α+ω1)の近傍を、
{a(α+ω1)}∪{(y,β):α≦β<ω1,|a(α+ω1)-y|<1/n}
で定めます。
このときP"の相対位相を考えると離散になりますが、P"はXで閉なので|P"|=ω_1からXはリンデレーフでなくなります。一方(10)と同じくしてこのXが可分でないこととcccと第一可算を満たすことがわかります。
おまけ:○○の部分空間、積空間などの例
【可分な空間の部分空間であって可分とならない例】
これはMoore平面などでx軸を考えれば良いでしょう。他にもSorgenfrey直線2つの積空間で{(x,-x):x∈R}という部分空間を考えれば良いです。
【リンデレーフ空間の部分空間がリンデレーフでない例】
これは例えば、非可算離散空間Xの1点コンパクト化をX∪{p}として部分空間Xを考えれば良いでしょう。
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