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【この記事を執筆した人】
- 新卒でインターンシップ紹介・人材派遣・人材紹介のベンチャー企業に入社
- 営業・コーディネーター・人事・総務に2年半従事
- その後大手人材会社に転職し、求人広告の年間採用計画を提案する営業として8年勤務
- 大手アパレル、外食チェーン、流通、医療など幅広い業種を担当
- 現在は就職・転職系メディアの記事執筆など、フリーライターとして活動中
目次
新卒1年目の10人に4人が転職を検討、10人に1人が転職している
新卒1年目の40%が「転職を検討している」その理由は?
「新卒1年目の転職は難しいのでは…?」と感じる方も多いでしょうが、実は入社1年目の時点で転職を検討中、あるいは転職活動中の人は実に43%以上にのぼることがわかっています。
そして、実際に「10%の人が新卒1年目で転職をしている」というデータが出ています。
就職活動を頑張った末に勝ち取った内定です。新卒1年目の段階で、すでに転職を検討している人とそうでない人との違いは何なのでしょうか?
新卒1年目で転職検討中の人と検討していない人の明確な違いは、「入社前後の満足度の差」です。転職を検討していない人は、入社前後を比較しても満足度が3.9%しか変わりません。
しかし転職検討中・転職活動中の方は、入社決定時から入社後で15.4%も勤務先企業への満足度が下がっています。
なぜそこまで満足度が下がってしまったのかを明確にするために、入社後に感じた悪いギャップのデータを見てみましょう。
良いギャップ
- 予想以上に教育に力を入れてもらえているから
<金融「/文系女性> - 意外と自分が関わりたかった仕事を1年目からやらせてもらえている
<IT・情報処理/理系女性> - 上下関係がいい意味で緩く、とても働きやすい環境だと感じた
<製造/文系男性>
悪いギャップ
- 説明会では華やかな部分のみを見ていたため、入社後は思っていたよりも地味な仕事が多いと感じた
<サービス/文系男性> - 希望部署に配属されず、入社前に抱いていたイメージと真逆の環境で働くことになったこと
<金融/文系男性> - 完全週休二日制と言われているが、事業所によっては土曜日は確実に仕事でそれに代わる休日がない点
<サービス/文系女性>
悪いギャップとして「華やかな部分だけを見ていたため、地味な仕事が多いというギャップがあった」「完全週休二日制と言われたが、事業所によっては土曜日が確実に出勤で振替休日がない」などがあります。
新卒者の理解不足が原因であるものや、勤務実態が事前説明と異なるなどの問題があるとわかります。
勤務先企業について不満を持った理由としては、「仕事内容に給与が見合っていない」「社風が明らかにマッチしていない」など、待遇面や入社してみて初めてわかるギャップに対しての不満が挙がっています。
こうしたギャップが生まれてしまう理由として、企業・新卒学生のそれぞれに原因があると考えられます。
企業側の原因としては、良い面ばかりをアピールした、待遇面や労働条件の説明不足などが挙げられます
学生側の原因としては、業界・企業研究不足などが挙げられるでしょう。
いずれにせよ、新卒1年目で転職を検討、あるいは転職した理由は、ミスマッチが起こったことから派生したものが大部分を占めていると言えそうです。
新卒1年目での離職は、お互いにとって時間のロスであり、企業は裏表のない情報の発信、学生は十分な研究と実際の勤務状況をOB・OGにヒアリングするなど、注意することが重要です。
しかし新卒1年目で転職する人が毎年10人に1人はいるというデータを見ると、毎年一定の頻度でミスマッチが起こり、それが原因での離職が発生しているようです。
新卒1年目の離職率は10%前後、3年目以内に37%の人が転職している
データを見ると、高卒・短大卒・大卒すべてにおいて、新卒1年目で辞めている人が10%前後、つまり10人1人いることがわかります。
そして1年目で辞めなかった人も、3年以内に10人中3人が辞め、合計で10人に4人の新卒が入社3年目までに離職していることもわかります。
この割合は前出の新卒1年目で転職を検討している人と同じです。
新卒1年目で転職を検討し1年目では辞めなかったが、その後、新卒2年目・3年目で1年目に転職を検討した人と同規模の人が結局辞めたということになります。
最初に抱いたイメージから、印象が変わることはなかなかないのでしょう。
「新卒1年目では転職が難しいだろうから、仕事のスキルを身につけてから転職しよう」と考えて実績を積み、転職しやすいといわれる第二新卒の枠で転職市場に出ていったとも想像できます。
こんなに多くの新卒が辞めているのなら、「本当に新卒1年目の転職は厳しいのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。次の章でご紹介していきます。
「新卒1年目の転職は厳しいとは言えない」その理由を採用担当者が解説
前章のデータから新卒3年目までの間に転職する人の割合は、新卒1年目に転職を検討する人とほぼ同じということがわかりました。
このデータから新卒1年目の時点で感じた不満やギャップを埋めることは難しいとわかります。
結論から言うと、新卒1年目での転職は厳しいとは言えません。
新卒1年目での転職が厳しいとは言えない理由
- 新卒1年目〜3年目までは第二新卒枠で転職できるから
- 選考基準が「勤続年数」ではないから
この章では、「新卒1年目で転職をするよりも2年目・3年目に転職する方が有利なのか」、「新卒1年目での転職が厳しいと言えないのはなぜか」について、解説していきます。
新卒1年目〜3年目までは第二新卒枠で転職できるから
新卒1年目〜3年目はいわゆる第二新卒と呼ばれる時期です。企業が第二新卒枠を設けて採用をしているケースも多く見受けられます。
その理由としては、2つあります。
- 現在の就職・転職市場では慢性的な人手不足が起こっていて、多くの企業が新卒採用で不足した分を、第二新卒の採用で補充しようとしているから
- ようやく採用した新卒も1年目までに約1割転職してしまい、その分の欠員が発生するから
第二新卒の時期の人材が欠員するわけですから、同年代の人材確保を行おうと考える企業も多いのもうなづけます。
現状、十分な数の新卒採用ができない市場であること、また、新卒採用した人材が育ち戦力となるのは数年後であることから、社会人経験のある第二新卒の人材を採用したいと考える企業が多いと考えられます。
以上の理由から新卒1年目であっても、転職は厳しいとは言えないでしょう。
「新卒よりも第二新卒を採用したい」という企業のニーズの理由を考えた時に第二新卒枠に求められるのは、社会人としてのマナーや仕事の流れを把握しておくことです。
新卒採用の場合は研修で社会人としてのマナー教育を行いますが、第二新卒枠はマナー教育をスキップしてすぐに業務が覚えられる状態を望まれます。
第二新卒枠で転職する時には、社会人マナーと仕事の流れをある程度身につけておくことが求められるでしょう。
選考基準が「勤続年数」ではないから
新卒1年目でも転職が厳しいとは言えないもうひとつの理由としては、選考基準が勤続年数ではないからです。
新卒として横並びで採用されたとしても、1年後の成長率は個人によって異なります。
つまり、人によってできることは勤続年数で測れないということです。
企業が求めているレベルと個人のスキルがマッチすれば転職はできますので、年数で考えないようにしましょう。
ちなみに1年目であれば社会人としてのマナー、2年目であれば繁忙期・決算期を含んだ1年を通しての仕事の流れを把握していること、3年目は1人で仕事ができるようになっていることが目安となります。
しかし、 いくら転職市場での新卒1年目の需要が高いとは言っても、転職にはメリット・デメリットが伴います。
新卒1年目の転職に具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか、次の章で見ていきましょう。
新卒1年目で転職するメリット・デメリット
新卒1年目で転職するメリット
- 1社目の癖がつかずスムーズに仕事に入れる
- 年齢が若いため、期待値があまり高くない
- 現在の合わない仕事でやる気を失わずに済む
1社目の癖がつかずスムーズに仕事に入れる
まず一つ目のメリットは、「1社目の癖がつかずスムーズに仕事に入れる」ということです。
新卒2年目・3年目になってくると不思議とのその会社の商習慣が身についてしまうものです。
本人がよほど意識しないと、無意識のうちに前職のやり方で仕事をしてしまうこともあります。
企業によっては「何も癖がついていない状態で来てくれる方が教えやすい」という意見を持つところもあり、癖がついていないことをメリットと感じてもらえることも多いでしょう。
年齢が若いため、期待値があまり高くない
次に二つ目のメリットは、「年齢が若いため、期待値があまり高くない」ということです。
新卒1年目の場合、企業側の期待値は「社会人マナーがわかっていればOK」という程度で、スキルを求められないことが多いです。
転職活動までにマナーを完璧にしておけば、素養面を見て採用してもらえる可能性が高いです。
現在の合わない仕事でやる気を失わずに済む
最後に三つ目のメリットは「現在の合わない仕事でやる気を失わずに済む」ということです。
新卒1年目は社会人経験の中で一番の成長率を誇る時期ともいえます。
その時期に合わない・やる気の出ない仕事をしていては、宝の持ち腐れで時が過ぎてしまいます。
せっかくの成長機会を失わず、やる気を生かして働ける環境に転職すれば格段の成長ができるでしょう。
新卒1年目で転職するデメリット
一方、新卒1年目で転職するデメリットとしては下記2点があります。
- 企業によっては求めるレベルに届かない可能性もある
- またすぐ転職するだろうと思われる
企業によっては求めるレベルに届かない可能性もある
まず一つ目のデメリットは「企業によっては求めるレベルに届かない可能性もある」ということです。
人によって成長レベルは異なりますし企業によって求めるレベルには差があります。
そのため、新卒1年目の経験では企業が求めるレベルに届かないこともあるでしょう。
自分の持っているスキルと、企業の求めるレベルが合っているかどうかを受ける前によく確認しておく必要があります。
社会人2年目の転職はどんなもの?
またすぐ転職するだろうと思われる
次に二つ目のデメリットは、企業側に「またすぐ転職するだろうと思われる」ということです。
新卒1年目で転職をしようとしているわけですから「またすぐ転職を検討するのでは?」と転職先の企業から思われる可能性もあります。
「前回の就職で起きた勘違いやミスマッチを防ぐためにどのようなことを行っているのか」、「将来設計と今回の転職がどう結びついているか」ということを伝えて、長期間働いていく意思を見せましょう。
新卒1年目の転職を成功させるための4つの必須条件
これまでに紹介してきたさまざまなメリット・デメリットを踏まえ、転職をしようと考えた方もいるでしょう。
そんな方のために、新卒1年目の転職を成功させるための必須条件4つをご紹介します。
新卒1年目の転職を成功させるための必須条件4つ
- 第二新卒に特化した転職エージェントを活用する
- 何のために転職するのか?優先順位をつける
- 採用担当者が納得する転職理由を用意しておく
- 転職先が決まるまで退職しない
順番に解説していきますので、自分の転職活動の成功のため、ぜひ参考にしてみてください。
第二新卒に特化した転職エージェントを活用する
新卒1年目の転職を成功させるためにはクリアすべき必須条件がありますが、すべてをクリアするために欠かせないのが、「転職エージェントの選定」です。
通常の転職エージェントに登録をしても、経験者募集の求人案件が多く、ライバルが経験者ばかりになるため、キャリアが浅い新卒1年目の人は不利になり、転職成功に結びつきづらいためです。
第二新卒を対象とした専門の転職エージェントに登録し、サポートを受けながら転職活動を行いましょう。
新卒1年目での転職の際の面接では、「新卒で入社してまだ1年なのに、なぜ転職をするのか?」という点を深掘りされることも多く、きちんと答えられないと選考通過が難しくなります。
どう答えればいいのかなど、細かく相談に乗ってくれる転職エージェントの活用は必須です。
もちろん、第二新卒専門エージェントには他のエージェントと比較して、圧倒的に第二新卒向けの求人が多いので、転職成功のため基本である、可能な限り多くの求人に触れると言う条件もクリアできます。
何のために転職するのか?優先順位をつける
まずは「何のために転職をするのか」を定めましょう。
今回は転職1年目で転職に至ったわけですから、企業側から見ると「就職に失敗した人」という印象があります。
その印象を払拭するためにも、「転職で実現したいこと」を定めてください。
そして、「転職で実現したいことを叶えるためには、志望先企業でないと難しい」という理由を伝えることが重要です。
転職で実現したいことがいくつもあるという人は優先順位をつけ、絶対に譲れないポイントだけを守り、それ以外は柔軟に対応するという考えを持っておくと、転職が成功しやすくなります。
逆に実現したいことをすべてを叶えようと考えると、スキルと見合わず転職活動が難航する可能性が高くなります。
採用担当者が納得する転職理由を用意しておく
新卒1年目で転職をする場合、必ず転職理由を聞かれます。
その理由に対して採用担当者が納得できる理由を用意できなければ、選考突破は厳しくなります。
パワハラ、長時間の残業などの事実は伝えるべきですが、「給与が安かった」「有休が少なかった」など条件面のマイナスを伝えすぎると、会社に対して不平不満を多く持つ人と思われかねません。
マイナス面を伝える時は、感情を乗せず事実として伝えるまでに留めます。
他に転職理由として気をつけるものは、人間関係の問題です。
人間関係の問題はどの企業でも起こりうるため、率直に伝えることは避けましょう。
人間関係の問題が今回の転職のきっかけとなっている場合は、以下のような前向きな理由に言い換えると印象が全く変わり、ベストです。
退職理由の言い換え例
「人間関係が悪かった」
→「業務フローの改善方法で最初は意見が対立することもあったが、こちらの伝え方を改善したことで良い方向に進めることができました。
ただ、どちらかというと改善よりもこれまでの指針を守ることが最優先であったため、もっと変化の速度が早い会社に転職し、企業と共に成長していきたいと思い、自由闊達な風土の御社を志望しました。」
応募先の企業相手には伝え方を考えたほうがいい転職理由ですが、転職エージェントに対しては、実際の転職理由を正直に伝えて大丈夫です。
転職理由を伝えることで、同じような問題が起こりそうな企業の求人の紹介は避けてもらえる可能性が高いですし、工夫が必要かどうかは転職エージェントの担当に相談し、一緒に考えてもらうとよりよい転職理由が作れるはずです。
転職先が決まるまで退職しない
一番重要な条件が「転職先が決まるまで退職しない」ということです。
一般的にはよほどの理由がない限り、転職先が決まる前に退職する必要はありません。
企業側から計画性がない、堪え性がないと判断される可能性もありますので注意してください。
睡眠時間が著しく短く、精神を病んでしまうような緊急の状況でなければ、転職エージェントの力を借りて在職中に転職先を決めてしまいましょう。
また、退職してからの転職活動がNGな理由はまだあります。
収入がなくなり生活費が底をついて、「どこでもいいからとりあえず転職しよう」と不本意な転職に結びついてしまいがちだからです。
そうすると「何のために転職するのか」の目的も忘れ、また同じような会社に転職してしまうかもしれません。
目的と手段を取り違えないようにするためにも、在職中に転職先を決めるようにしましょう。
企業のニーズを知り、ニーズにマッチした強みをアピールする
社会人経験が浅い新卒1年目の場合、ポテンシャルと新卒1年目相応の知識や経験のアピールが重要です。
しかし、それが企業のニーズにマッチしていなければ、選考を通過できません。
第二新卒枠でどのような人材を求めているのかは求人内容を見ることで、ある程度判断できます。
しかし、確実に新卒1年目の転職を成功させるためには、転職エージェントしか持っていない情報を聞き出し、アピールに付け加えていくことが重要です。
転職エージェントには企業の採用担当者とのパイプがあるため、応募先の企業が求めている人材像やスキルといった細かい情報を持っています。
また、過去その企業の面接で聞かれたことや採用された人の特徴・不採用になった人の特徴などの情報も持っていて、万全な面接対策ができます。
自分の経験が足りない部分は転職エージェントの力を借り、転職で実現したいことが叶えられる企業に内定をもらえるようにしましょう。