厚生労働省は2日、新型コロナウイルス感染拡大に関連した解雇や雇い止めが見込みを含めて1日時点で3万1710人になったと明らかにした。6月4日に2万人を超えてから約1カ月で1万人増加した。政府が緊急事態宣言を全面的に解除した後も、雇用情勢の悪化に歯止めがかかっていない実態が浮き彫りになった。
総務省が6月30日に公表した5月の労働力調査によると、「失業予備軍」とされる休業者は423万人に上り、高止まりが続いている。日本経済は長期的に停滞する懸念も出ており、勤務先から解雇されて失業者に転じる恐れがある。
厚労省は2月から、各地のハローワークや労働局に相談があった事業所の報告に基づき、解雇や雇い止めの件数を集計している。四半期契約の派遣社員は6月末で契約更新のタイミングを迎える人が多く、今回の集計に含まれている可能性がある。
厚労省が6月30日に発表した集計(同月26日時点)では、解雇や雇い止めが最も多かった業種はホテルや旅館など宿泊業だった。飲食業、製造業、観光バスやタクシーといった道路旅客運送業が続いた。都道府県別に見ると、東京都、大阪府、北海道の順に多かった。緊急事態宣言による休業要請や外出自粛が影響したとみられる。
政府は5月25日に緊急事態宣言を全面的に解除した。(共同)