合成麻薬MDMAを飲んだとして、東京地検は24日、麻薬取締法違反(使用)の罪で俳優でミュージシャン、押尾学容疑者(31)を起訴した。これを受け、押尾被告が出演していた映画「だから俺達は、朝を待っていた」(内田英治監督)は公開無期延期が決定。事実上“お蔵入り”となった。よりによってストーリーが事件を連想させる内容で、やむを得ない措置のようだ。
映画は、伝説の怪盗8人を描いた作品で、押尾被告はその8人のうちの1人を演じた。来年2月公開を目指し、編集作業中だった矢先に事件が発生。主要キャストの押尾被告は出演シーンが多くて差し替えが難しく、製作会社のDHEと配給のアステアは公開の無期限延期を決めた。お蔵入りによって今後、押尾被告には損害賠償責任も浮上しそうだ。
関係者によると、映画には事件を連想させるシーンが含まれ、公開の大きな壁になったという。
とりわけ問題となったのは、公衆トイレで薬物を服用した女性が路上で泡を吹いて倒れるシーン。押尾被告は女性に驚きながらも、そのまま放置して立ち去るという内容だった。
押尾被告は現実の事件で、このシーンを連想しかねない行動をとっていたのだ。
捜査関係者によると、押尾被告は2日午後6時半ごろ、東京都港区の六本木ヒルズのマンションで、MDMAを一緒に飲んだ女性(31)が手をけいれんさせ、歯を食いしばるなど異変を見せたため、心臓マッサージをして蘇生を試みた。だが女性の意識が戻らないためマネジャーに連絡。約40分後に到着したマネジャーが119番通報したのは午後9時20分ごろ。異変に気付いてから通報まで約3時間かかったあげく、押尾被告は部屋を出ていったという。
マンション近くの植え込みでは女性の携帯電話が見つかったことも判明。女性の通報で薬物使用が発覚するのを恐れた押尾被告が捨てた可能性も浮上している。
身勝手ぶりが次々と明らかにされている押尾被告だが、女性を放置した保護責任者致死容疑での立件は見送られる可能性が高い。これに対し、親族からは怒りや失望の声があがっている。