【文系・理系】文理・学部別収入や社長数
文理選択や学部選択、迷いますよね。やりたいことが決まっていればいいけれど、16や17で将来のビジョンが明確に定まってるなんてことはあまりないし・・・。そんなときは学部ごとの就職・収入・出世なんかを選択の基準のひとつとして知っておくのも大切ですよね。古今の学部別の統計を集めてみました。
更新日: 2020年05月16日
文理選択や学部選択、迷いますよね。やりたいことが決まっていればいいけれど、16や17で将来のビジョンが明確に定まってるなんてことはあまりないし・・・。そんなときは学部ごとの就職・収入・出世なんかを選択の基準のひとつとして知っておくのも大切ですよね。古今の学部別の統計を集めてみました。
更新日: 2020年05月16日
大正6年の初任給
変化の激しい現代やこれからの予測をするためにも、現在だけでなく、過去や、グローバル化先進国である海外(アメリカ)の統計も見てみましょう。まずは古い時代から、順を追ってみていきましょう。
日本郵船の高学歴社員と処遇(大正6年)
社員数 初任給
東京帝大工 23人 45円
東京帝大法 42人 40円
東京高商 141人 35~40円
神戸高商 24人 35円
長崎高商 20人 30円
山口高商 18人 30円
小樽高商 13人 30円
大阪高商 4人 30円
慶応義塾 87人 30円
早稲田 70人 30円
明治 21人 25円
中央 11人 25円
青山学院 9人 25円
同志社 6人 25円
日本 5人 25円
東北学院 4人 23円
専修 3人 25円
立教 2人 25円
出典給料研究所
出典:「旧制専門学校」p154 日経新書 天野郁夫著(大正6年)
当時の日本郵船は、今で言う「学生の就職したい企業ランキング」1位の会社。現代では、高卒・大卒・院卒で給料が違いますけど、むかしは大学や学部ごとに給料が決まっていたんですね。非技術職でも工学部の年収が一番高かったようです。
昭和3年の初任給
昭和3年 三菱合資会社の初任給
帝国大学
医科 90円
工科 90円
法科 80円
文科 80円
商科大学 80円
商大専門部 75円
慶大 75円
早大 75円
神戸高商 75円
地方高商 65円~70円
中央・法政・明治大学部 65円~70円
私大専門部 50円~60円
中等学校 35円
出典:前田一著『サラリマン物語』(昭和3年)
昭和初期の就職状況
昭和初期の時代は、就職難でした。昭和4年9月には小津安二郎による『大学は出たけれど』が封切りされます。『大学は出たけれど』が上映された昭和4年の大学専門学校卒業者就職率は50.2%、昭和5年42.2%、6年36.0%、7年は38.4%です。知識階級の需要は、昭和2年の金融恐慌、同4年のニューヨーク株式市場の大暴落による世界大恐慌によって、大きく減退しました。大学卒のほうが専門学校卒よりも、専門学校卒や大卒のほうが中等実業学校卒よりも就職率が悪かった時代です。当時の大学進学率から考えて、大学生自体がエリートだったことを考えると、現代の「就職氷河期」なんて目じゃないくらいの氷河期ですね。
出典:竹内洋著『大学・インテリ・教養』(NTT出版)
昭和5年の東京帝国大学の就職率は、医学部94.7%、工学部82.3%、農学部79.4%、理学部70.2%、経済学部39.2%、文学部37.3%、法学部32.1%です。日中事変がはじまる昭和12年からは高等教育機関卒業生の就職状況は好転し、昭和12年に経済学部は就職率80%、法学部も昭和13年に80%になり、全体的に就職率がもっとも悪かった文学部でも、昭和15年には82%になります。理系学部と文系学部の就職格差は、今も昔も変わらないですね。
おまけ:明治38年の『我輩は猫である』内の描写では
統計ではないですが、『我輩は猫である』(明治38年)の中で当時の学部別の給料の傾向がわかる描写があります。
たとえば、多々良君が苦沙弥(「猫」の飼い主)に向かって「文学部なんかでずに法学でも修めて会社づとめでもしてればもっと給料がよかったのに・・」と嘆く場面があります。
さて、その給料ですが、多々良君は法科大学を卒業して「六つ井物産」に入社して月給30円。苦沙弥の勤め先である私立落雲館中学の月謝が2円とあります。
そして、苦沙弥や迷亭の学生時代の同級生で、工学士の鈴木 籐十郎の月給は250円(+盆暮の手当がついて平均4~500円)とあります。
当時の1円は今の1万円くらいだそうですから、とんでもない高給取りですね。
ここまでの差はないにしても、現代の日本やアメリカでも、学部別収入統計の順位はだいたいこの通りになっています。
1998年の統計
松繁寿和・大阪大大学院国際公共政策研究科助教授らが実施した統計によると、大学卒業後の22歳から60歳まで働くと仮定して各年代の平均年収を合計してみると、理系の総収入が3億8400万円、文系の総収入は4億3600万円で、5200万円の差が出た。
調査
対象として、ある国立大の理系学部と文系学部を1つずつ選んだ。2つの学部は入学時の偏差値がほぼ同じ。過去約50年間に、両学部を卒業したすべての人(理系約8,500人、文系約6,500人)に1998年8月、調査用紙を郵送し、その時点での年収などをたずねた。約3,400人(理系約2,200人、文系約1,200人)が回答。
集計したところ、22~30歳の平均年収は理系529万円、文系452万円。31~40歳では、文系が理系を230万円上回る969万円。41~50歳では理系が1,112万円、文系が1,325万円、51~60歳では理系が1,462万円、文系が1,616万円となった。
出典:『理系白書』(毎日新聞)
2chなどで有名になった統計ですね。調査された1998年当時よりも、ニュース記事が書かれた2004年前後や2008年ころのほうがよく話題になっていたと思います。
この統計は、松繁寿和教授らが、とある国立大学の文系学部一つと理系学部一つを選択してアンケート調査を実施、その統計を元に毎日新聞の記者が計算をしたものです。
私は当時、大卒者全体の統計かと思っていましたが、一つの学部だけを比べたものだったんですね。具体的にどこの大学のどの学部なのか知りたいですね。
2009年の統計
2009年のキャリコネによる統計です。全国の国公私立の約180大学にまたがるデータから、出身大学や学部などの学歴情報がそろっている約2000件を抽出したものです。
理系の大学の出身者は、平均年収が638.9万円。これに対して文系は、551万円となっています。
工学部661.1万円、理学部616.1万円、法学部615.3万円、経済学部608.3万円、商学部・経営学部604.3万円、薬学部551.4万円、農学部526.3万円、社会学部464.9万円、文学部409.5万円
学部別の平均年収です。就職者の統計であるため医学部は入っていません。これによると、その順位は、工>理>法>経>商・経営>薬>農>社>文 となっています。これは男女比による影響があるので、のちに男女別の統計も見てみましょう。
東京大学出身者の学部別平均年収は、理学部1381.3万円、法学部1158.7、工学部1057.6万円、経済学部923.8万円、農学部700.5万円。早稲田では、政治経済762.7万円、理工758.3万円、商677.4万円、法662.4万円、第一文509.0万円。
もっとも高偏差値である東京大学の統計では、理>法>工>経>農の順。早稲田では、政経>理工>その他文系の順、慶応では、法>商>理工>経>文の順です。東大では全体的に女子が少なく、男女比の影響は出にくいですが、農学部に関しては、工・法・経に比べて女子が多いことの影響があると思います。
2010年の慶応大学による統計
理系は文系よりも高収入で出世する-。大学・大学院を卒業した社会人を理系と文系出身者で比較したところ、 理系の方が平均年収が高く、会社の役職者になる割合も高いという結果が7日、発表された。
男性の平均年収は文系が559万円だったのに対し、理系は601万円で、42万円高かった。
女性も文系203万円に対し、理系は260万円で57万円高かった。
年代別比較では、理系男子は、国立大出身なら35歳で文系男子よりも100万円弱ほど高く、60歳では150万円以上高かった。国立大以外の理系は35歳までは文系より低いが、40歳ではほぼ同じ、45歳では追い抜いていた。
また、役職員に就いている正社員の割合も文系は20・3%に対し、理系は35・0%。
会社の経営者の割合も文系1・3%に対して、理系2・1%とわずかに高かった。
「文系より理系が高収入で出世する 慶大などの約3500人分析で判明」(産経ニュース 2010/12/09)
男女別の統計です。男女ともに理系の方が年収が高くなっていることがわかります。また、役員率や社長率も理系のほうが高いようですね。
当時の学部別社長数は?
毎日新聞の理系白書が話題になったり、キャリコネや慶応大学の統計が出された当時の学部別社長数はどうだったんでしょうか?統計を見てみましょう。
日経平均に採用されている225社の社長を調べてみた(別表参照=5月1日現在)。
大学別では、やはり東大出身者が多いが、早慶も大健闘。国公立大と私大出身の割合はおよそ6対4で、文系と理系の割合も6対4。とはいえ、大学院の工学系まで含めると、トップは工学部に。ちなみに、院卒率は11%だ。
<出身学部>
(1)経済学部43人
(2)法学部 41人
(3)工学部 40人
(4)商学部 19人
(5)大学院工学系17人
(6)政経学部10人
(7)理工学部9人
(8)文学部 8人
(9)基礎工学部4人
(10)教育学部3人
(10)外国語学部3人
(10)農学部 3人
(10)薬学部 3人
出典“新”社長になる男の条件… (日刊ゲンダイ2008年5月18日10時0分配信)
2008年の統計です。工学系出身者が多いですね。工学部、大学院工学系、理工、基礎工の社長数を足すと社長数は70人になります。日系225の社長の文理比が6:4。これに比べて大学生の文理比は医歯薬系を入れて7:3。就職段階だと、医者・歯医者・薬剤師・研究者などが抜けて、企業就職者の文理比は7:2になります。慶応大学の統計にあったように、理系のほうが経営者にはなりやすいようですね。また、大学別では、(1)東京大55人、(2)慶応大38人、(3)早稲田大26人、(4)京都大15人となっています。
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