雉虎猫の被毛の遺伝子型 (雉虎猫・番外2) | feelsayo  昭和的外猫日記

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テーマ:
雉虎猫の毛色 (雉虎猫・番外1)で
雉虎猫の被毛の特徴について考えてみたものの。

考え方が
適当過ぎ、
何も分からず終わってしまいました。

今回角度を変え、
猫被リことsayoに分かるレベル
(俗に言う「猫でもわかる・・・」レベル未満。)で
雉虎猫の被毛について考えたい、と思いました。

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宜しくお願い致します。

まず非常に大雑把に言って
猫の被毛に関する主要な遺伝形質はすでに識別されている、のだそうです。

A アグーティー、またはタビー
a ノン・アグーティーまたは単色

B 黒
b 茶、またはチョコレート


C 単色または濃淡なし
cb バーミーズ模様またはセピア
cs シャム模様またはポインテッド

D 深い暗色
d  淡い明るい色

L 抑圧遺伝子または銀貨
l 基底に及ぶ色素沈着

O オレンジまたは伴性遺伝の赤
o 黒味を帯びた非赤色

S 白の斑、もしくはバイカラー
s 体全体がソリッドカラー

T 縞、またはマッカレルのタビー
Ta アビシニアン、またはクラシックタビー
tb ブロッチドまたはクラシックタビー

W 他の色をマスキングした白
w ノーマルカラー

以上です。
大文字が優性の特徴、小文字は劣性の特徴をあらわしています。

ここで注意すべきは

・すべての遺伝現象がシンプルに優勢の法則によって決定されるわけではない、ということ
・遺伝形質は多元発生的に生み出され、遺伝子の道の組み合わせに左右される場合が多い、ということ。
・すべての遺伝子を単純に優性と劣性に分ける事は出来ない、ということ、

などなど、だそうです。

(以上 「新・猫種大図鑑」ブルース・フォーグル著 を参考に抜粋要約しております。)

こちらをもとに、
猫被リにできる範囲で、
雉虎猫の遺伝子型がどうなっているか、考えて行ってみたいと思います。

1.
雉虎猫の遺伝子型は、アグーティー遺伝子に関してA _である。

アグーティーとは、一本の毛に、(毛先の方が濃く皮膚に近づくほど淡い)色帯があること
ノン・アグーティーとは、一本の毛に色帯がなく、単色であること。

A アグーティー、またはタビー(広義の縞)。野生型。
or
a ノン・アグーティーまたはソリッド(単色)。突然変異体。

雉虎猫の表現型(遺伝子によって実際に体に出現した、色や形などの形質)は

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タビー(縞模様のある猫)です。
ですから雉虎猫の遺伝子型は

AAまたはAaである

と言えます。
また、逆に、
雉虎猫はソリッド(混じり気なしの単色の被毛)では無いことからも
アグーティのタビー模様を隠してしまう対立遺伝子aによる
aa、即ち、劣性の同型(ホモ)結合体ではない、
ということがいえます。

2.
雉虎猫の遺伝子型はブラック遺伝子に関し、B _である。

B 黒:毛色が黒(野生型)であるか
or
b 茶色またはチョコレート:ブラックの遺伝子が突然変異した茶系統の色であるか

どうやら雉虎、鯖虎など縞模様にに黒い部分のある猫であれば

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Bということになるようです。
(猫被リがB遺伝子について分かっていないため、やや自信なし。)

因みに単色(ソリッド)で、チョコレート、シナモン、と呼ばれる毛色の猫が
劣勢の同型接合体bbということになるようです。


雉虎猫の遺伝子型はポインテッド遺伝子に関し、C _である。

C フルカラー(野生型)。シャムのような、体の末端部に見られる濃い色の部分がない。
or
cb バーミーズ模様またはセピア(Cの突然変異によるセピア遺伝子)
or
cs シャム模様またはポインテッド(Cの突然変異によるアルビノ遺伝子)

シャム猫やバーミーズの被毛のパターン
(顔・耳・足・尾という、体の末端部に濃い色の部分があるパターン)は
フルカラー遺伝子(C)が突然変異してできた
劣性のアルビノ系遺伝子の同型接合体です。

雉虎猫にはこのパターンがみられませんのでcbcb、cs cs ではありません。
雉虎猫は
ポインテッド遺伝子に関し、CCまたはCcの遺伝子型を持っている、といえます。

4.
雉虎猫の遺伝子型は濃厚色遺伝子に関し、D _である。

D 深い暗色。濃厚色素(デンス)。野生型。
or
d 淡い明るい色。モルティージング遺伝子(突然変異体)。


たとえば
全体に色の濃い被毛を持った茶虎猫(=赤虎猫。洋風に言うとレッド・タビー)であれば
伴性オレンジのOに加え、

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Dd DDなどの遺伝子型を持ち、

全体に色の薄い被毛を持った茶虎猫(=赤虎猫。洋風に言うとクリーム・タビー)であれば

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ddの同型接合体による劣性形質が発現していると考えられます。

雉虎猫は全体に濃い色で構成されています。
言い換えると
黒い被毛、赤(伴性オレンジ。濃い色の茶虎(=赤虎)などの色)、などから
構成されてた被毛を持っている、ということのようです。

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よって雉虎猫は濃厚色遺伝子に関し、DDまたはDdの遺伝子型を持っている、といえます。

5.
雉虎猫の遺伝子型は色素抑圧遺伝子に関し、ⅱである。

i 正常色素形成。野生型。劣性。
or
I 色素抑制遺伝子(インヒビテッド遺伝子)。突然変異体。優性。被毛の最初に伸びる部分だけを色素で満たす。
  ・アグーティーの黄色を無くし、、白色、銀色にする、
  ・セルフ(単色)のアンダーコートを白色にする、などの作用をする。

雉虎猫の被毛の
皮膚に近い辺りの色は

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黄色っぽい淡色

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(アイボリー、エクリュなど)
をしています。

つまりアグーティの基部にまで色素が沈着している、ということになります。
よって雉虎猫は抑制遺伝子に関し、
劣性の同型接合体により正常色素形成をもたらす遺伝子型、iiである、といえます。

6.
雉虎猫の遺伝子型は被毛の長さに関し、L _である。

L 短毛。野生型。
or
l 長毛。突然変異体。

雉虎猫は短い被毛で覆われています。

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部分的に長い毛があり、そのためシャギーカットのような雰囲気もありますが
それはおそらく
ポリジーン遺伝子
(個々の作用が小さく一つではその影響が現れないが、数多く集まると表現系として現れる遺伝子。
体型、毛色のバリエーションなどがその例。また、短毛、あるい長毛の範疇内での被毛の長さにも、
ポリジーンの影響がある。)
の影響ではないかと思われます。
対立遺伝子のLとlで考えた場合
雉虎猫は短毛、
故に
雉虎猫はLを一つはもっている、といえます。

よって
雉虎猫はロングヘア遺伝子に関し、LLまたはLlの遺伝子型を持っている、といえます。

(ポリジーン遺伝子についての説明は
「世界の猫図鑑」写真・山崎哲 解説・グロリア・スティーブンス より引用抜粋)

7.
雉虎猫はレッド遺伝子に関し、Ooである。

O オレンジまたは伴性遺伝の赤
or
o 黒味を帯びた非赤色。

雉虎猫の被毛には赤、レッド、などと呼ばれる部分があります。

体側にスポット状に散っている赤の部分

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脚に縞状に入っている赤の部分
そして

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額の真中にひとつ星のように入っている赤い点、

などです。

しかし雉虎猫は
全体が赤から構成されている、茶虎(=赤虎。レッド・タビー)などと呼ばれるタイプでも
レッドのソリッド(単色)と呼ばれるタイプの被毛でもありません。

よって
赤い被毛を部分的に持つことから、
そして、♀であることから

雉虎猫の遺伝子系は
Ooである、ということができます。(赤の部分が少ないため、やや自信なし。)

8.
雉虎猫は白斑遺伝子に関し、ssである。

S 白の斑、またはバイカラー。ホワイト・スポッティング。突然変異体。優性。
or
s ノーマル・カラー。ノー・ホワイト。野生型。劣性。

雉虎猫の体には白斑がありません。
よって雉虎猫の遺伝子型は白斑遺伝子に関し、劣性の同型接合ssである、といえます。

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ちなみに

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雉虎猫の顎の辺りは若干色が薄くなっています。

これは白斑遺伝子によるものではありません。
「顎とその周域に白の部分を作る遺伝機構がタビー組織の時のみ働く」
という
パンダシステムと呼ばれる作用によるものだそうです。
(「世界の猫図鑑」写真・山崎哲 解説・グロリア・スティーブンス より引用抜粋)

9.
雉虎猫はタビー遺伝子に関しTtsであると、考えられる(自信なし)。

雉虎猫の被毛の殆どを
黒と黄褐色からなるマッカレル・タビー(ストライプド・タビー)が占めています。

よって雉虎猫はタビー遺伝子に関し、
ひとつはT(野生型)を持つ、といえます。

雉虎猫には部分的に赤い毛があります。
この赤い毛は

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脚で縞模様をなし、体(ボディ)で斑点(スポット)をなす、

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というパターンを作っています。
このパターンは


突然変異体で劣性遺伝子であるスポテッド遺伝子による
スポテッド・タビー(斑点柄)の特徴に似ています。

(スポテッド・タビーであれば大抵、尾でも縞模様をなします。
雉虎猫の尾は黒の縞のみで、

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赤の縞はありません。)

ところでスポテッドの猫の中には
ティッキングによって不規則な斑点が散らばっているパターンもあります。
それはポリジーン遺伝子によって生じ、
複数の遺伝子の作用に左右されているそうです。

以上より、雉虎猫はタビー遺伝子に関しTtsの異型接合体であり
スポットの発現はポリジーン遺伝子の作用によって生じている
のではないかと、考えられます(自信なし。)

10.
雉虎猫は優性白色遺伝子に関しwwである。

W 他の色を増すキングした白。優性白色。突然変異体。
or
w ノーマルカラー。

突然変異体である優性白色遺伝子Wは
他の遺伝子の色素を作る作用を直ちに中止させる作用を持ちます。
よってWWまたはWwの遺伝子系をもつ猫は白猫になります。

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雉虎猫は白猫ではありませんので
優性白色遺伝子に関し、劣性の同型接合体wwである、といえます。

以上より雉虎猫の被毛に関する遺伝子型を

A_ B_ C_ D_ ii L_ Oo ss Tts ww

と、考える事が出来るように思います。

この場合雉虎猫は
ブラウンマッカレル&スポテッドタビーということができるように思います。

しかし、
タビー遺伝子に関しTtsとするのは間違いで
単にT_とするべきなのかもしれません。

なぜならば、
A_の遺伝子型によってタビーが発現し、
かつ
Ooの遺伝子型によって

ブラウン・タビーの部分とレッド・タビーの部分が出来ている、
そしてレッド・タビーの部分は何らかの遺伝子の影響で不完全な発現となった

考える事が出来るからです。

この場合、雉虎猫はトービーということになります。
(トーティーシェル(赤と黒2色の色をもち、縞模様をもたない猫。所謂、錆猫)の
タビーバージョン(所謂、麦藁猫)、ということになります。

しかし麦藁猫という言葉は「赤も黒も縞」という条件を満たす猫を指すようです。

ですから
雉虎猫の場合
洋風に表現するとト-ビー(赤の入り方が不完全)、ということになりますが
和風に表現する一般名称がない、ということになりそうです。

猫被リとしては、
それでは雉虎猫が哀れ・・・という気分になります。(雉虎猫本人は気にしないと思いますが。)

猫被リとしては雉虎猫の柄の名を
とりあえず
何と呼んでいいか分からなくなってしまいました。
雉虎、と呼んでよいのでしょうか。

もし、このような柄を何と呼ぶのか
洋名、和名、どちらでも教えていただけましたら幸いです。
宜しくお願い致します。

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(どうでもいいことをさんざんこねくりまあした挙句これでした。ごめんなさい。)