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ハタチの誕生日に一人でホールのケーキを食べた話

私が大学生になって2年目の春、私はハタチの誕生日を迎えることになりました。

今日はその日のことについて書きます。

祝二十歳

その日は晴れでも雨でもありませんでした。どんよりとした曇空。私はその日二十歳になりました。

中学高校と進学し、大学一年の誕生日は一人虚しくアパートの一室で過ごし、二年年の春、その日が来たのです。

20回目の誕生日です。これは実にめでたい事です。

ついこの間、誕生日についての記事でも書きましたが、私は自分の誕生日に関して何かしらの特別な感情を抱くことはありませんでした。

だがしかし、この日だけは違います。この日は10代が終わり、20代になるという節目。法律でお酒もタバコもオッケーになる年齢です。

そう、特別だったのです。二十歳は特別。

だからこの日だけは去年みたいに、気づいたら誕生日が終わっていたなんてことには絶対にしないぞと心に誓っていました。

今日だけは20年間の中で一番特別で一番主人公になってやろうと。

お祝いの準備

さぁ、そうと決まればお祝いの準備です。当時一人暮らしをしていた私は祝ってくれる家族は居らず、また大学でぼっち生活極めていたので「お祝いするぞ!」とか言ってくれる友人もいませんでした。

しかし幸いにも私は「一人でも楽しめる性格」でした。

だから、祝ってくれる人がいるかどうかはあまり重要ではなくて、いかに派手な事をしてやろうかと考えてばかりいました。

プレゼントを買う

普段私は誕生日に自分に何かを買い与えるなんてことはしないんですけど、その日は特別です。

ニトリに行って、大きな大きな机を買いました。一人暮らししていた当時は、必要最低限のものしかなく、勉強は床でしたり、図書館に行ったりしてやってました。

しかしこれがあれば床で勉強する必要がなくなります。

買った机は後日郵送してもらい、ルンルンで帰ります。

帰っている途中で小腹が空き、その日はじめてのご飯を食べました。マクドナルドです。時刻は午後2時過ぎ。

私が頼んだのはチーズバーガーとベーコンレタスバーガー。普段マクドナルドで食べたメニューなど覚えていませんがこの日のことだけは覚えています。特別ですから。

それから夜のことを考えました。

夜はどうやってお祝いしてやろうかなとか、二十歳にやりたいことって何かな、とか。

そして、一個思いついたのです。

ホールのケーキを買う

二十歳になるということは大人になるということです。

そして、大人になるなら子供の頃に憧れてたあれをやろうと考えました。

そうです。

ホールのケーキまるまる一人で食べる。

です。

そうと決まればケーキを買いにいく必要があります。幸いにも私の住む近くにケーキ屋さんがあったのでそこで調達することにします。

「いらっしゃいませ」
入店と同時に控えめに頭を下げる店員さん。可愛らしい。ケーキ屋さんの店員さんは優しそうなおばあちゃんか可愛い女の子かのどちらと相場が決まってます。

「あっ、このチョコケーキください」
多分話し始めに「あっ」をつけるやつはコミュ障だ。私が証明してる。(悲しい)

私は店の中でも中くらいのサイズのホールのチョコレートケーキを注文しました。

すると可愛い定員さん
「何かお書きしますか?」

”何か”とはケーキの上に乗っている”誰誰ちゃんおめでとう!”とかいうプレートです。

全部自分が食べるのだからそんなものははっきり言えば必要ではない。それにプレートをつける場合はプラスで200円かかります。

いや、そんな…いらん…と思いました。

しかし、その日だけは特別です。

人生で一度しかない二十歳の誕生日。そしておそらく最初で最後になるであろうホールケーキ一人食い。

そんな素晴らしい日にプレートがないなんてあまりに寂しいじゃないか!

そう思って私は咄嗟に

「ください!」とこたえたのです。

すると店員さん「かしこまりました。それでしたら、なんとお書きしましょうか。誕生日の方のお名前伺ってもよろしいですか?」

私はハッと我に返った。これは自分自身に渡すケーキだ。店員さんはまさか自分で自分のケーキを買っているだなんて思ってもないはずだ。

だから普通に自分の名前を言えば、店員さんは、その人は今目の前にいる人とは別の人で私がその人の為にケーキを買いに来たのだと思ってくれるだろう。

しかし、なんかそれはずるい気がした。一人で祝うのを隠しているみたいで、せっかく二十歳という大人になったのだから堂々としてやろうと。胸を張って生きてやろうと。そして私は言いました。

「『おめでとう自分』って書いてください」

店員さんは一瞬目を丸くさせニッコリと笑った。
やっぱりケーキ屋さんの店員さんは優しい。

私が一人で誕生日を祝うヤバいやつだと知っても尚その笑顔を絶やさないでいてくれる。

ケーキを食べる

その日の夜は特別でした。大きなホールのケーキを一人で食べるものですから、贅沢をしている気分で、私は世界一幸せもんだとか思いました。

ケーキ一つで幸せになれるんです。お買い得です。幸せはケーキ屋さんに売ってます。3000円弱です。

と、そんな話をしていたらケーキを食べたくなりました。

今日はこの辺にしましょうか。

それでは、また。

:)