平沢進『夢の島思念公園』考察

平沢進さんの楽曲『夢の島思念公園』について、歌詞の解釈をまとめました。関連のありそうなワードや、歴史的事柄について、総覧できるように作ってあります。片手落ちな部分や、解釈だけが先走っている部分がみられるかもしれませんが、ご了承ください。

更新日: 2017年08月02日

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この記事は私がまとめました

アニメ「妄想代理人」のオープニングテーマ。いじめ、労働問題、性風俗、シビアな現実から逃れようとする人々の姿を通して
近代日本が抱える社会問題がことごとくあぶりだされる衝撃的な内容のアニメ

タイトル

美しい名前、肩書きとは裏腹にその実態は「ゴミの島」でしかない。
そんな実在の土地、東京都江東区の「夢の島」という語に、戦後日本の姿を重ね合わせたタイトルであると思われる。 戦後の日本は、その華やかな謳い文句に釣り合うだけの発展を成し遂げたと本当に言えるだろうか。

歌詞

ラーイーヤーラライヨラ
空に見事なキノコの雲
ラーイーヤーラライヨラ
小道で餌をはむ小鳥の午後は

木漏れ日の芝に手を触れて キミと語ろう
ほらランチのベンチの上で 夢は花咲く

波の音を その胸に
憂鬱は沈めて
橋を明日に伸ばし
津波など案ずることなく

ラーイーヤーラライヨラ
あんなに見事な飛行機雲
ラーイーヤーラライヨラ
人気の通りに人行く午後は

微笑みでしばし手を取れば キミと歩こう
ほら「万事に休す」の声も 風がかき消す

明日の日はかまわずに
行く先は任せて
胸に鍵を掛けて
雪崩など信じることなく

二重の意味を持つ「万事に休す」の声

【万事休す】
今さら何をしてもだめだ、もうおしまいだ、という意味。

現代では一般的にこの意味で用いられることが多い・

サビとサビの間の間奏に入るバックコーラスの声は
「オワッターーーおわったーーーーーオワっったーーー」とも聞き取れる。
万事休すとばかりにネットに書き込まれ、蔓延する「おわった」の声が、その軽い響きに比して深刻な精神問題に根を持っていることを思うと中々きつい歌詞である。

万事休すの語源は禅の熟語「休息万事」に求められる。
休息とは、全く執着のない安らぎに至ること。 それを極めたのが「休息万事」である。 
つまり休息万事とは自らが凡てを「やめる」こと。 一切の執着心や囚われをすべて捨ててしまい、何ものにも囚われない、完全なる自由な境地を休息万事という。
(仏事Q&A其の百二十五)http://www.good-stone.com/hp/top/qa/qa-125.htm

ただ一つのフレーズに対しての解釈と考えれば
過度に深読みしすぎた内容かもしれないが、
しかし現実の日本で「万事休息」の声や「万事に休す」の声が
どちらも激しい風にかき消され聞こえなくなっているのは事実である。

第二次世界大戦

曲全体にかなり挑発的な歌詞が並び、第二次世界大戦で日本が負ったトラウマと、それに対する戦後日本人の向き合い方が表現されている。

原爆の歴史を哀れみの姿勢で見てはいるものの、
どこか他人事のような態度をとる人々。

絵空事のように、ワイドショーのようにただ「過激」な印象だけを受け取る人々。

さまざまに解釈が可能なフレーズなので、これについては一枚岩な解釈を押し付けないことが適当かと。

おそらく空襲について歌っている。

記録映像として辟易するほど見せられた「悲惨な戦争」について、近代人がどれだけ真摯に向き合っているのか。

第二次世界大戦で抱えた負の遺産、負の歴史を清算できないまま大国を目指そうとした結果、その日本が描かれている歌であると考えればこの歌詞も第二次世界大戦の爆撃機についての歌詞でしょう。

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