【更新情報】(2019/12/14更新)
ENBの配当データを2019年に更新♪
ゆーたんです♪
エンブリッジの銘柄分析です。あまり知名度はないですが、カナダ株の時価総額で5本の指に入る大企業です♪
エンブリッジってどんな会社?
エンブリッジ(Enbridge、ティッカー:ENB)は、カナダのカルガリーに本社を置く北米有数のエネルギー企業です。収益は約464億カナダドル(2018年)ほどで、日本円に換算すると、約3.75兆円になります。主な事業は、原油や天然ガスのパイプライン運営・管理です。
(Image By:Adobe Stock)
カナダに本社がありますが、国内の収益比率は4割程度で、残りはアメリカとなっています。
基本的にはエネルギーセクターに分類されますが、ガス供給事業も営んでいることから、公益セクターとしての要素も含んでいるといえますね♪
エンブリッジの業績
※グラフはMorning star、ENBのIRデータより作成。データはカナダドルベース。
収益(売上高)、営業利益、純利益
収益はこの10年間で約3倍になっています。2016年にアメリカの石油・天然ガス会社であるスぺクトラ・エナジーを買収するなど、M&A(合併・買収)にも積極的です。営業利益率も徐々に値を切り上げている点が良いですね。
こうした産業は、パイプラインの整備やメンテナンスなど、設備投資に多額の費用がかかります。参入障壁が高く、他社の参入は困難で、生産量を増やすほど、1単位当たりの生産費用は低下していくことになるので、利益率も上昇していきます。
これは、規模の経済と呼ばれており、Enbridgeの業績にプラスの影響をもたらしていることがわかります。ちなみに、ほかの産業の例としては、鉄道などが挙げられます。
EPS、BPS、ROE
BPSは大きく成長していますが、EPSはこの10年間で横ばいとなっています。それに合わせてROEが大きく下降していますね。
先ほど挙げた通り、減価償却費が利益を押し下げている面もありますが、積極的なM&Aで、株式数が大きく増えたことも影響しています。
キャッシュフロー(CF)
営業CFは順調に成長していますが、設備投資の大きさが目立ちます。フリーCF(営業CFから設備投資を引いた値)はマイナスの年も多くあります。
2018年にようやくフリーCFがプラスに転換しました。営業CFマージンは上昇傾向にあり、ビジネスモデルは強固なものになりつつあります。
エンブリッジの配当
ENBの連続増配年数は1996年以来、25年となっており、この10年間で配当金は約4倍以上になりました。また、配当の据え置きはあっても、1953年以来、減配がない点も魅力的です。
2020年も四半期あたり0.738カナダドルから0.81カナダドルへの増配(年間配当金見込み3.24カナダドル)を発表しており、増配率は9.8%と高い水準を維持しています。もっとも、為替レートに応じてドル建ての配当金は変動するので注意が必要です。
2015年にはEPSが赤字であるにもかかわらず、配当を出しているなど、配当性向が100%を大きく超えている点を気にされる方も多いと思います。こうした状態は、利益以上に配当を出しているタコ足配当(タコが自らの足を食べることに似ていることからこう呼ばれます)であり、配当金投資をするうえでは、避けるべきものとされています。
しかし、Enbridgeの場合は、パイプライン整備にかかる費用が大きいことから、減価償却費も大きくなっており、その分、利益が押し下げられています。
減価償却費とは、工場や機械などを拡充する設備投資を行った際、設備は徐々に劣化していきますから、一定の年数にかけて、一定の金額を「会計上の費用」として計上するもので、いわば「支出を伴わない経費」です。
このように、設備投資が巨大で、減価償却が大きい企業の場合は、従来の利益指標では比較がしにくいため、税引前の利益に、減価償却費や支払利息などを加算したEBITDAという指標が良く使われます。
事実、Enbridgeは、EBITDAから、設備のメンテナンス費用や利払い費などを除いた、配当可能なキャッシュフロー(DCF)を算出しており、その額は、1株当たり4.42ドル(2018年)となっています。DCFで見ると、比較的配当には余裕があると考えることもできます。
エンブリッジの株価チャート(1972/12~)
ENBの株価は1973年以降、1997年くらいまでほぼ横ばいで推移しています。その後、株価は大きく上昇しましたが、2010年代以降の株価は横ばいとなっており、2015年4月に53ドル台の高値を付けたのち、調整が続いています。
S&P 500と比較すると、一貫して下回っていますね
株価が低迷している中で、増配が続いてきたためか、記事更新時点(2019/12/14)の配当利回りは6.42%とかなりの高水準です。
まとめ
プラス要因
参入障壁が高く、安定したビジネスモデル
先ほど挙げた通り、こうした業界は、設備投資が膨大のため、新たな企業が参入しにくい構造にあります。エネルギーは人々の生活に欠かせないものですし、天然ガスは燃焼時の二酸化炭素の排出量が比較的少ないクリーンなエネルギーとして知られています。
超長期的には太陽光や風力などの再生可能エネルギーにとって代わられる可能性もありますが、少なくとも今後30~50年間は需要は増えていくものと見込まれますし、石油業界よりも将来は明るいのではないでしょうか。
過去に減配がなく、カナダ株時価総額上位企業である
将来のことは誰にもわかりませんが、過去に減配がないということは、よほどのことがない限り、減配がないだろうということなので、安心感はありますね♪
マイナス要因
タコ足配当であり、減配リスクは付きまとう
2015年に、同じく北米で原油や天然ガスのパイプライン運営・管理を手掛けているKMI(キンダーモルガン、kinder morgan)が業績不振に陥り、75%の減配を発表、株価も一時70%近く、暴落しました。
パイプライン事業者は、想定する輸送量を下回っても、一定程度の利用料を支払う契約をしていることが多く、この契約ゆえに原油価格の変動の影響を受けにくいとされてきましたが、2014年以降の急速な原油価格の下落で、業績が悪化することとなりました。別の会社とは言え、似たようなビジネスモデルを展開している企業で、このような事態が起きたことは事実であり、Enbridgeも無縁ではいられません。
カナダ株の源泉徴収は15%であり、米国株の10%よりも高水準
確定申告で外国税額控除をすれば、源泉徴収分は戻ってきますが、その金額は負担している所得税に依存するため、所得税の負担が少ない場合は全額戻ってくるとは限りません。所得税を負担していない場合は、この分を取り返すことができないので、セミリタイアして配当金生活をするうえでは不向きです。
私は80株保有しています。減配リスクはつきまといますが、株価も魅力的な水準まで下落してきていますので、投資妙味がありそうですね♪