以後2.26事件を経て「統帥権干犯」という憲法にあいた風穴のために、日本はあの愚かな戦争に突入していってしまいました。

 ちなみに、敗戦後に独立を確保した最初の法務大臣が、犬養毅の三男、吉田内閣の犬養健で、犬養健法相が指揮権発動で汚職から守ったのが佐藤栄作自由党幹事長、憲政の初期に汚点を残した連中です。

 この連中の直接の子孫が、ほとんど同じ構造を、もっとたち悪く再生産している面がある現状を冷静に観察する必要があると思われます。

 黒川検事長定年延長は、明らかにこの国が壊れてしまうモーメントになりかけていまいた。

 それが、麻雀チョンボで辛くも脱出できた。まさに日本が崖から転落せずに済んだ、ヘアピンカーブ的な危機一髪だった、と言えるでしょう。

国の形を壊しかけたリスクからの脱出

 ここまで露骨に物事が明るみに出てしまうと、郷原信郎弁護士も指摘されるように、公職選挙法「交付罪」「受交付罪」の容疑によって、自由民主党本部の捜査は必須不可欠でしょう。

 この事件は、黒川問題を含め、国の本質的な構造にひびを入れかねない、とんでもない国家破壊的なリスクが、賭けマージャンがバレたなどという「ネズミ一匹」で辛くも回避された面がある、まさに危機一髪の出来事でした。

 故・團藤重光教授の観点に立つ、法務・検察の構造的問題なども指摘する必要があると考えますが、まずは真相の徹底究明と、膿を完全に出し切る措置が不可欠であるのは、誰の目にも明らかでしょう。

 現政権で「悲願」の何のと出ている「憲法」論議が、いかに問題外、論外であるか、自ら行動をもって示してしまったのが今回の顛末でしょう。

 正常化方向へ舵を切る契機として、二度とこのような腐敗堕落が繰り返されぬよう、的確な対処を講じる必要があります。

 今回の「ヘアピンカーブ」を奇禍としなければなりません。

 いまコロナ・パンデミックのみならず内政外交大変な時期、およそ日本が無用の憲法改変に手を付ける時期ではない。

 必要なのは、厳密な捜査であって、およそ改憲でゴタゴタする時期ではありません。