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記事

SLAPP訴訟の典型例である武富士訴訟の代理人が吉村洋文大阪市長

「元祖スラップ訴訟」とも ダブル選で都構想を目指す大阪市長の知られたくない過去

この記事によると、大阪市長である吉村洋文氏は、弁護士時代に、あのスラップ訴訟の典型例ともいうべき武富士のジャーナリストに対する名誉毀損訴訟の代理人だったそうだ。

『週刊プレイボーイ』で武富士の実態を連載しているジャーナリストの寺澤有さんに吉村市長らが武富士の弁護士となって2003年、2億円の損害賠償を求めて提訴。

しかし、武富士側は盗聴事件が問題になるや訴訟を放棄。寺澤氏は2006年、武富士と2億2000万円の損害賠償と謝罪広告掲載を求め、東京地裁に提訴した。東京地裁は武富士側の訴権の乱用を認め、寺澤氏への賠償を命じ、武富士は寺澤氏に1000万円支払った。

この武富士訴訟は、まさしく違法な訴訟提起であり、それ自体が不法行為になるという意味で、訴訟提起が不法行為になることを厳しく絞り込んだ最高裁判例の下でも文句なく賠償が命じられたものである。

その代理人として関与したとあっては、確かに寝覚めは悪く、上記の記事にあるように弁護士懲戒請求をテレビで煽った橋下徹弁護士が口を極めて非難したかもしれない事例だ。

確かに、上記記事の中で吉村市長が述べているように、理不尽な主張であっても代理人たるもの、当事者の主張を裁判所において代理して主張することは本来的職務であり、自分のクライアントの意見を裁判所にしっかり伝えることは恥ずべきことではない。

しかし、弁護士職務基本規定には次のような条項がある。

第十四条 弁護士は、詐欺的取引、暴力その他の違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。

弁護士が、刑事弁護において被告人の不合理な言い分を代弁することは、不合理であればあるだけ裁判所で通らないことにもなり、不正な行為を助長することにはなりそうにない。

しかし、上記のスラップ訴訟の典型例で、裁判所が「権利のないことを知りながら相手方当事者に損害を与えることを目的としてことさら提起した」と認定するような訴訟の代弁は、「違法若しくは不正な行為を助長」することに他ならない。

弁護士が、架空請求を大量に引き受けて、裁判所に大量請求するというような訴訟詐欺を引きければ、それは懲戒処分の対象となるであろう。もちろん架空であることは知らなかったということであれば別かもしれないが。さて、上記のSLAPP訴訟の典型とされる嫌がらせのための訴え提起において、吉村市長はどこまで事情を知りつつ代理人になったのか、単に子供の使いのように本人の主張を伝達しただけで本当かどうかは知りもしなかったのか、それとも、情を知りながらその手先として動いたのか、そのあたりが知りたいところである。

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