”Solutions looking for problems(解決策が問題を探す状態)”
よくブロックチェーンは、「解決策」が「問題」を探して漂う本末転倒な「エラー状態」と揶揄される。
次世代の技術としてブロックチェーンという解決策ばかりを強調し、「解決する問題は何でもいいんです」と言わんばかりの傲慢な空気が少なからず業界にはあるからだ。
例えば「卒業証書の偽造を防ぐためにブロックチェーンが使えます」という触れ込みがあるが、「そもそも卒業証書の偽造ってそんなに問題だったっけ?」という疑問は当然残る。
上記のような事情があり、これまで「ブロックチェーンの一番のユースケースは仮想通貨」という現状から脱却できていないと言われてきた。
しかし、ビットコイン誕生から11年が経過した現在、確かにブロックチェーンを取り巻く環境は次のフェーズに移行し始めている。「解決策」が「問題」を探す逆転状態から、既にある問題の解決策としてブロックチェーンが注目され始めている。
その筆頭がゲーム業界であり、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)というブロックチェーンの1つの仕様だ。
「システムや技術オリエンテッドなものってあんまりうまくいかない。『それを使ってゲームを作るって何が楽しいことがあるの?』と思ってしまった」
エイリム社の代表取締役社長である高橋英士氏は、最初にブロックチェーンを使ったゲーム作りについて聞いた時の感想を率直に語った。エイリムは、世界的なヒット作であるスマートフォン向けRPG「ブレイブ フロンティア(ブレフロ)」などを手がけている。
「ブロックチェーンの意義を理解したのは、NFTの話をちゃんと聞いた時ですね。それがきっかけでした。その話を聞かなければ、ブロックチェーンゲーム?何それ?面白いの?みたいな話になっていたと思いますね」
ゲーム業界に20年近くいる高橋氏にブロックチェーンというワードが初めて響いたのは、ゲーム業界の長年の問題をブロックチェーン、とりわけNFTが解決できると理解した時だ。
そして、その話を高橋氏に教えたのは、2019年の夏、当時すでに「マイクリプトヒーローズ(マイクリ)」で日本のブロックチェーンゲームを牽引していたdouble jump.tokyoだった。
それから両社は急ピッチで新たなゲームの開発を進め、今年1月にブレフロのIP・クリエイティブとマイクリの技術・ノウハウを融合させた「ブレイブ フロンティア ヒーローズ(ブレヒロ)」のサービスを開始。
ゲーム内通貨購入や二次流通による手数料などですでに約5000ETH(約1億円、4月25日時点のレートで換算)の取引高を記録した。
元々ゲームのキャラクターやアイテムなどのデータには価値があった。ゲーム業界の長年の問題は、その価値を取引する仕組みが確立されていなかったことだ。端的に言ってNFTはその問題を解決する。
ブレヒロのプロデューサーである石川駿氏は、ただ単純に「楽しい」からゲームをやるというだけでなく、「ゲームをすることでお金になる、価値になる、小さなビジネスになる」という時代が来ているとみている。
ブレイブ フロンティア ヒーローズ(ブレヒロ)とは
全世界No.1ブロックチェーンゲーム『マイクリプトヒーローズ(マイクリ)』とシリーズ全世界合計3800万DLを誇るアプリゲーム『ブレイブ フロンティア(ブレフロ)』の世界を掛け合せた、新作ブロックチェーンゲーム。
配信後1週間イーサリアム累計取引量において、国内タイトル歴代首位を獲得。マイクリに次ぐ世界2位のDAUを維持し、快進撃を続けている。
また4月30日より、最上級のレアリティLegendaryのキャラクター販売を開始予定。
■ゲーム公式サイト
https://bit.ly/2WjJcYb
■専用アプリ
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■公式Twitter
https://twitter.com/bfheroes_pr
ブレヒロとNFTの衝撃
ブレヒロでは、ブレフロのキャラクターやアイテムがプレイヤーの資産となりプレイヤー間での譲渡や売買が可能だが、それを技術的に支えているのがNFTだ。
NFTは、その名の通りノンファンジブル=代替が不可能なトークンであり、1つ1つのトークンに固有の価値を持たせる技術は、「価値のインターネット」の真髄と言われている。
「僕自身も学生時代のゲーム体験としてオンラインゲームを1年も頑張ったら誰かに譲りたいというのは心理としてあったし、それはユーザーとしては当然のこと(中略)(ゲームのデータに)価値があるとみんなが分かっているのに取引しちゃダメなの?という思いはあった。良い悪いにかかわらず、需要として発生してしまう」
高橋氏は、NFT誕生以前のゲーム業界の課題を解説した。
ゲームデータの取引は、ゲーム業界ではリアルマネートレーディング(RMT)と呼ばれる。ゲームの提供者が管理しきれずユーザー間でもトラブルが発生することから概ね禁止されて来た。ただ禁止されても、ゲーム内のアイテムやアカウント自体を取引するアンダーグランド市場は存在していた。
PC用ハックアンドスラッシュ系アクションRPGであるディアブロ3などの場合は、例外的に、ゲーム提供者側が取引所を作るなどの試みをしたが、あまり受け入れられず終わっていた。
NFTの魅力は、「ゲーム業界が禁止してきたことを、すごく理にかなったシステムで真っ当に展開できる」(高橋氏)点だ。20年前にオンラインゲームが流行り出した時からずっと存在して来た問題をまさに解決するものであり「風穴を開けるもの」だった。
先述の通り、高橋氏はdouble jump.tokyoと出会いNFTの魅力に気づき半年ほどでブレヒロ のサービス開始にこぎつけた。ブレヒロ構想発表当時は「ブロックチェーン=仮想通貨という怪しいイメージ」から社内の反応はいまいちだったそうだが、今ではゲーム業界の同業者から問い合わせが来ているという。
「一番の鍵はブロックチェーンというシステムの中にノンファンジブルトークンという仕様が形成されたところですね。その意味において、実は仮想通貨というワードはいらない」
(エイリム代表取締役社長 高橋英士氏)
「投機」でないし「楽しい」だけでもない
NFTによってゲーム資産の取引を実現するブレヒロは、「投機」としてのブロックチェーンゲームと「ゲームは楽しい」という2つの常識を壊そうとしている面でも注目だ。
ブロックチェーンゲームの歴史は「投機」から始まった。例えば2017年後半に誕生して一世風靡したクリプトキティーズ。猫を飼ってレアキャラに育てることにユーザーは没頭したが、そのゲームをする理由は「猫の値段が上がるから」だった。
クリプトキティーズの猫たちの価格は高騰し、253ETH(当時11万ドル(約1200万円)の値段がついたこともあった。
一方、長年、ほとんどの人々にとってゲームをやる理由は「楽しいから」だった。一般的にゲームのやりすぎは良くないことと言われるし、時間やお金の無駄と見られる風潮すらある。
「今まで、ゲームばかりしていることは時間やお金の無駄だと言われ下らないものと見られてきた。実際、私もこの考え方がありゲームはしてきませんでした」
石川氏は上記のようにゲームの歴史を振り返った。
「しかし、ブロックチェーンゲームによって、ゲームをすることでお金になる、価値になる、小さなビジネスになる。これが、ブロックチェーンゲームの本質であり、新しい点であり、盛り上がっている理由です」
ゲームをやる理由は「楽しいから」だけではない。正当なビジネスの手段である。石川氏は、最近流行りのeスポーツと比較し、ブロックチェーンゲームの新規性を解説する。
「eスポーツは1人が1億円を得るような世界。ブロックチェーンゲームは1万人が1万円というか、10万人が1000円という考え方の方が近い。隙間時間でぽちぽちやることで新たな価値を生み出すことが可能。出勤時間とか帰宅時間にやるとか、プロゲーマーというよりサラリーマンゲーマー的な考え方が近い」
そして、新たな資産を得ることは投機を目的とするわけではない。
ブレヒロやマイクリの場合、ゲームをやる一番の動機は、「バトルに勝ちたい。大会に勝ちたい」であり「『勝ちたいから強い武器が欲しい』というところで値段がつく」(石川氏)。
「なぜギャンブルを脱することができたかというと、コミュニティがあってゲームの価値に対してコミュニティが値付けをするようになったからだ」
そのゲームをやりたいからゲーム内のデータに価値が生まれて結果として資産になるというわけだ。これは、日本が得意とするコンテンツ力やストーリー力の賜物でもあるだろう。
実際、ブレヒロのユーザーには株など投資経験者が多いという。石川氏は「ブロックチェーンゲームは遊べる投資。株は投資しても株で遊ぶことはできない。遊んで大会で優勝して褒賞を得る。それがある種の配当として楽しめる」と分析する。
(ブレイブ フロンティア ヒーローズ(ブレヒロ)のプロデューサー 石川駿氏)
「人間として自然な活動」
ゲームを浸透させることで、ブレヒロは一般社会にとってゲームを身近なものとするきっかけになるかもしれない。高橋氏は、そもそもゲームをプレーして不特定多数のユーザーとアイテムを取引する行為は、古着の販売やメルカリでの取引となんら変わらない人間として自然な活動と見なされるべきと話す。
「ゲームだからとかブロックチェーンだからとか言うのは抜きにして、端的に人間の活動として、趣味で技術を磨いたり、良い素材を手に入れたり、良いデザインを自分で考案したりして売ったり買ったりという行為は人間なら絶対にする。ただ単にそれだけの話(中略)デジタルだったりゲームだったりするから、それって大丈夫なの?みたいな違和感があるのでしょうけど、古着を売るのと一緒。その辺で拾ってきた松ぼっくりをデコレーションしてメルカリで売ってますというのも同じ。新しいことだからなんとなく不安になるだけで、常に人間って何十年も何百年も前からやり続けているんですよ」
間違っているのは、ブロックチェーンやゲームという言葉にいちいち構えてしまう現代人なのかもしれない。言い換えれば、人間の経済活動の1つとして自然に受け入れられることが、もしかしたらブレヒロにとっての成功の形の1つなのかもしれない。
そこに需要と供給が有る限り「じゃああげるよ、売るよ、買うよ、みたいな行為」は当然発生する。
それを利用してゲームで頑張ってバイトしますという人が出てきたらそれでも良し。純粋にゲームを楽しみたいだけならそれも良し。高橋氏は、未来のゲームは普通にNFTを使った取引システムに対応するようになり、ユーザーは選択肢を持てるようになるとみている。
繰り返しになるが、ゲーム取引のニーズは昔からあったが、管理ができないことが問題だった。
高橋氏によると、当時からバイト感覚でゲームをする人は存在しており、例えば「3時から朝まで張りついて(レアアイテムを)3個ゲットしたよ」というようなゲーマーはいたそうだ。そうしたゲーマーの行為に報いる正当な仕組みを提供するのがNFTだ。
高橋氏によると、既存のゲームがNFTに対応することはすでに可能だ。
「日本勢で言えば既にサービスをしている巨大なオンラインゲームなどでも、彼らが興味を持ってやってしまえばできる。プレイヤーが所有しているアイテムを『ここで取引していいよ』ってやればできてしまう」。
その時、ブロックチェーンゲームという言葉すら意味をもたくなると高橋氏はみている。
「『ユーザー同士で取引ができるようになりました。詳細はこちらをご覧ください』と言えばいいだけでしょうね」
メタバースへ
ゲーム資産の取引が人間社会に自然に溶け込む時、同時に我々はもう1つの大きな転換点を迎えているかもしれない。
映画「レディー・プレイヤー1」に出て来るVR世界「オアシス」に見られるようなメタバース(仮想現実のスぺ―ス)の世界の到来だ。
石川氏は、メタバースの世界はすでに実現しつつあるとみている。
「レディー・プレイヤー1の世界の一部が来ているのはもう間違いない。マイクリで鍛えたキャラクターが他のゲームでも使えて、ゲームが上手いからETHを獲得できて、リアルのものに換金して生活する。黎明期の初歩的な段階だが、すでに実現はしている」
NFTの特徴の1つでもあるのだが、マイクリのキャラクターであるナイチンゲール、ダルタニャン、孫策がブレヒロですでに使える状態だ。石川氏は、VR端末の普及を待つ一方で、「どこかのタイミングでマージしていくだろう」とみている。
石川氏はメタバースは、リアルとは別の世界であるが、メタバースの方がデフォルトになる可能性があると予想した。
「デジタルの世界がアナログの世界を覆う可能性はある。将来的には、基本的にはデジタルの世界に居続けて食べる時だけアナログに戻るという人はいるのではいかと思います」
<ブレイブ フロンティア ヒーローズ(ブレヒロ)>
全世界No.1ブロックチェーンゲーム『マイクリプトヒーローズ(マイクリ)』とシリーズ全世界合計3800万DLを誇るアプリゲーム『ブレイブ フロンティア(ブレフロ)』の世界を掛け合せた、新作ブロックチェーンゲーム。
配信後1週間イーサリアム累計取引量において、国内タイトル歴代首位を獲得。
マイクリに次ぐ世界2位のDAUを維持し、快進撃を続けている。
また4月30日より、最上級のレアリティLegendaryのキャラクター販売を開始予定。
■配信日:2020年1月30日
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