広野にがん治療薬研究拠点 年度内に整備へ

2020/06/26 08:16

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 放射線管理や東京電力福島第一原発事故に伴う環境影響などに関する研究に取り組む東京大アイソトープ総合センターは今年度内にも、広野町にがん治療用の放射性医薬品開発に向けた研究拠点を設ける。新型コロナウイルスをはじめとする感染症の診断薬の開発も目指す。町は既存の公共施設を提供するなどし、最先端の研究活動を支援する。町とセンターは二十五日、連携協力に関する協定を結んだ。

 センターが県内に拠点を設けるのは、廃炉技術研究や教育支援に重点を置く楢葉町のサテライトに続き二例目。放射性物質を組み込み体内でがん細胞を破壊する医薬品の研究・開発に取り組む。マウス実験などを通じ効果を確認する。効能を予測するシミュレーション研究なども行う。

 感染症の治療方針を早期に決める上で、精度の高い診断薬の開発も求められている。センターはこれまでの知見を生かし、放射線を活用した診断薬の実用化を目指す。当面は研究者二~三人が町に常駐する見通し。町内への関連企業の誘致も視野に、民間事業者との連携も進める。

 町は旧広野幼稚園舎を改修し、研究拠点とする方向で東京大アイソトープ総合センターと調整している。

 センターは原子力災害被災地域で放射線関連の研究を実施することで、復興の発信につなげる狙いがある。広野町は二〇一六(平成二十八)年一月、センターと放射性物質による汚染の測定と除染に関する連携・協力協定を締結している。

 締結式は東京都の東京大アイソトープ総合センターで行われ、鍵裕之センター長と遠藤智広野町長が協定書を交わした。