鈴木裕
地元の木工家具業者と愛知県日進市が協働で開発した新型コロナウイルス対策パネルが、ちょっとしたヒット商品になっている。角材とPET樹脂板を組んだ機能性が好評で医療機関や大学などから注文が相次ぎ、製造数は200台ほどに達した。同市のふるさと納税返礼品にも加わり、コロナ対策から一歩進んでビジネスチャンスになってきた。
同市のオリジナル飛沫(ひまつ)防止パネルは、縦横10センチ、長さ20センチの角材に入れた切り込みに、厚さ3ミリの透明PET樹脂板をはめ込んで使う。前面だけではなく、隣と仕切ってブースのように使うこともできる。シンプルだが、機能的でデザイン性も高い。
もともとは市役所の窓口で使うため、同市の「シミズ家具」(志水佳三代表)と同市財務政策課の桃原勇二主幹がアイデアを出し合って開発。4月に製造を始めた。
新型コロナの影響に苦しむ地元業者の支援の狙いもあり、報道で紹介されたところ県内の医院や歯科医院、大学、商工団体などから注文が入り出した。同市の市役所庁舎や保健センター、保育園、図書館に配置している173台を含め、200台ほどを製造したという。
6台を導入した愛知工業大建築学科の中井孝幸教授は、学生を面接で指導する設計製図の授業で使っている。遠隔授業が解除された当初は、フェースシールドを教員がつけ、さらに教員と学生の双方がマスクをつけて臨んだ。しかし、熱がこもり声が聞き取りにくいという意見が出たため、飛沫(ひまつ)防止パネルを使うことにしたという。
建築学科ということもあり学生に試作させる一方で、すぐに手に入るという利点から日進市のパネルも導入したという。中井教授は「角材とパネルだけのシンプルな構造なので、移動させるのも楽。少し値が張るが、長く使えそうだなと感じている」。同大では、ほかに2台注文しているという。
同市財務政策課の桃原主幹は「PET樹脂は、アクリル樹脂やビニールシートに比べて防火性が高く、消毒用アルコールへの耐性もある。地元産の優れた製品を広く知ってもらおうと、ふるさと納税の返礼品に加えることにした」という。返礼品は、高さや幅などが違う6種類のパネルを対象に、寄付額2万7千円~七万千円の7コース用意した。
シミズ家具の志水さんは「地元で培ってきた木工やプラスチック加工の技術を活用したパネルが、多くの人から高い評価を受け、ありがたい」と話す。なお、パネルの市販価格は、標準的なタイプ(幅60センチ、PET樹脂板の高さ45センチ)で1台6500円(税別)。(鈴木裕)
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